今月11日、厚生労働省が、家族を介護中の人の残業を免除するよう企業に義務づけたというニュースが流れました。社会問題となっている「介護離職」をゼロにするために打ち出された施策です。
早い人なら、20代や30代で親が要介護となり、仕事と介護の両立に悩んでしまうケースも少なくありません。そういう人にとって、今回の残業免除の義務化は朗報となるのでしょうか?
非正規雇用にも適用、条件は「要介護2」以上
今回の厚労省の方針では、残業の免除を就業規則に明記することを求めるだけでなく、国の指導に従わない悪質なケースは企業名を公表するとしています。実施は来年1月から。
適用される条件には、
【1】同じ会社で週3日以上の勤務を1年以上続けていること
(パートタイマーなど非正規労働者も含まれる)
【2】介護される家族の状態が原則、食事や排せつに手助けが必要な「要介護2」以上であること
などが挙げられています。申請できる期間は1ヵ月~1年間で、更新も延長もできるとされています。また会社に申請すれば介護対象の家族が亡くなったり、症状が回復して介護が不要になるまで残業が免除されるとのこと。
介護中の人の反応は…?
では、実際に家族の介護に直面している人は、今回の厚労省の方針をどのように受け止めているのでしょうか?
「残業しないことでキャリアが失速するのはイヤ。家族が介護をするという前提ではなく、介護を外注できる仕組みをもっと充実させてほしい」(20代後半・女性)
「働き盛りの20代を親の在宅介護に費やして後悔している。残業が免除になって在宅介護ができるようになっても、あまり救いにならないのでは」(30代後半・女性)」
「朝9時と夕方4、5時のデイサービスの受け渡しが問題。残業免除よりも在宅勤務や時短勤務の方が必要」(40代・男性)
「残業免除と同時に評価制度を整えたり、職場の空気づくりを進めたりしないと、現実的には難しい気がします」(30代前半・女性)
ヒアリングしていくと、残業の免除だけでは不十分である現実が見えてきました。残業の免除だけで終わらずに、「介護離職ゼロ」により効果的な施策が打ち出されることを期待します。
(編集部)