アラサーの海外留学座談会

「行くなら今しかない」 アラサー女性が仕事を辞めて海外留学する意外な理由

「行くなら今しかない」 アラサー女性が仕事を辞めて海外留学する意外な理由

女性が留学するタイミングは大きく分けて3回。1回目は親がお金を出してくれる学生時代、2回目は社会人になってからお金も時間も自由に使える20代から30代にかけて。そして3回目は子育てが一段落した頃。なかでも今、増えているのが、新卒で就職して5、6年キャリアを積んだ頃にする「アラサー留学」です。アラサー女子のリアルな本音が飛び出す、海外留学経験者の座談会を実施しました。

〈参加者〉
青山さん(31歳):金融業界に6年勤めて退職。28歳の時にボストンへ5週間語学留学。現在は派遣社員として働きながら資金を貯めて、次はイギリス留学を計画中。
田中さん(30歳):新卒で就職した不動産会社を辞め、29歳の時にハワイに2ヵ月語学留学。今度はニュージーランドにワーキングホリデーに行く予定。
新井さん(28歳):海外への憧れから空港の免税店に勤務。26歳の時に「もっと海外の人とたくさん話したい」と留学を決意、サンフランシスコに1年間語学留学。

就職して5、6年目がタイミング?

――なぜアラサーのタイミングで海外留学を?

青山:ボストンに留学したのは28歳の時だったんですけど、昔からずっと留学したいと思っていて、入社3年目くらいの部長面談の時にも「あと2、3年で仕事を辞めたい」と伝えていたんです。銀行の仕事は好きだったんですが、定年までいることを考えたら「ちょっと違うな」と思って。もっといろんな国の人と会って話したい、もっと学びたいと思いが強くなっていき、入社6年目で「今しかない」と留学を決め退職しました。

田中:私、実は英語が苦手だったんです。でも「英語が話せたらいいな」とずっと思っていて。丸6年社会人生活をしましたが、仕事に限界を感じて会社を辞めようと考えていました。仕事はやりがいもあるし楽しかったのですが、激務だったので「ずっと続けるのは無理だな」とどこかで感じていて。

ちょうどその頃、2020年の東京オリンピックが決まり、英語のスキルを身につけたら自分の世界が広がるんじゃないかと考えて、29歳で思いきって留学することにしたんです。

新井:私がサンフランシスコに留学した時は27歳だったんですけど、そのくらいの年齢って、お金も貯まってくるし、自由な時間も作りやすくて、逆に「行くなら今しかない!」という時期でもありますよね。

アラサー留学座談会

片言の英語でも恋愛話は盛り上がれる

――留学中の思い出は?

田中:ひょんなことからメキシコ人のルームメイト(女性)とハワイ島へふたり旅をすることになり……。おたがい片言の英語でしたが、仕事のこと、恋愛のこと、将来のことを話しまくって、ものすごく楽しかったです! きちんとした英語を話すことよりも意思疎通することが大事なんだと実感しましたね。それで英語への苦手意識が払拭されました。

青山:そう! 完璧に話そうとしなくてもいいんですよね。文法よりも自分の意見を伝えよう姿勢が大事。

新井:日本人は話せないのにペーパーテストが得意だから、上級クラスに入れられちゃってついていけなるケースが多いですよね。私もそれで全然授業についていけなくて。でも、まわりの留学生が励ましてくれてなんとか乗り切れたのが、すごくいい思い出です。

 

結婚資金を貯めるよりも、今は自分に投資

――留学資金は最初から貯めていたんですか?

青山:いや、全然(笑)。留学したいと思いつつも、趣味のダイビングに100万くらい使っちゃっていて。でも、「絶対に留学したい!」と思ってからの2年間は、働いたお金は全部貯めてました。現地で尿道結石になって5週間で帰国せざるをえなくなりましたが、当初は3ヵ月の予定だったので160万~170万円くらい貯金しました。

田中:丸6年社会人をやっていた間はそれなりの額をもらっていたんですが、飲みに行くしスーツも買うし、タクシーも使う。それでもがんばって200万円貯めて、そのうちの半分を留学費用にあてました。

――なぜ半分?

田中:29歳から30歳になる時期だったこともあり、「結婚したいから、ここで全財産なくなるのは怖いかも」と思ってたんじゃないかな。だから、半分の100万円は手元に残したんです。

でも、留学が想像以上に楽しくって! お金も時間も自由になるのは、独身の今だけだからと、今度のワーキングホリデーでは残りの100万全額使うつもりです。何十年も先のことを考えたら、今やりたいことに投資するのは全然マイナスじゃないな、と。

新井:私の場合、留学に250万円くらいかかったんですが、実家暮らしだし、普段もあまりお金を使うこともないから、無理なく貯められました。お金はかかるけど、自分のために使えるのは今しかないだろうし。

田中:だから、今30歳前後で留学する人が増えているんでしょうね。私のまわりもかなりいます。逆にアラサーで留学する男性は皆無ですけど。そのあたりの男女差は不思議ですよね。

青山:そうですね。女性の場合、自分でがんばって働いたお金だからこそ、ちゃんと目的を持って勉強したいという感じですよね。

田中:そうそう! 学生とか、親のお金で留学している子たちの中には授業をさぼって遊んでばかりいる場合もあるけど、社会人になって時間とお金の大切さをわかった今だからこそ、しっかり勉強できますよね。

アラサー留学座談会

「35歳までに結婚」と考えるのは日本人だけ?

――留学して恋愛・結婚観に変化は?

青山:私、実は結婚か留学かで悩んでいて。今度はイギリスに留学する予定ですが、結婚や出産をいつにするかを決めておかないと、このままズルズルいくのはマズいような気がしていて。留学を繰り返しているうちにいろんなことが狂ってきちゃいそうだなとちょっと心配です。私の場合、逆算して考えると35歳には結婚・出産したいかな。

田中:たぶん結婚で「35歳」を意識するのって日本人だけじゃない? 海外の人って、恋人というよりパートナーという感じで、おたがいに自立してる感じがします。20代前半でも40代でも結婚に関しては「誰かいい人がいれば」くらいの感じで、焦りってないですよね。

新井:留学するまではすごく安定志向で「何歳までに結婚する」なんて考えていたけど、海外に行くといい意味でも悪い意味でも人生が狂いますよね(笑)。結婚という概念にとらわれなくなりますしね。

田中:そう! 本当は30過ぎて婚活しなきゃいけない時期なのに、留学していろんなものが見えてしまうとそっちの方に興味がいっちゃって。アタマでは「恋愛して結婚しなくちゃ」と思っているけど、実際はあとまわしになっちゃう(笑)。

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「やればできる」と気づいて、人生がポジティブに

――他に留学して変わったことはありますか?

田中:留学期間はわずか2ヵ月だったんですけど、その時すごく充実していたからか逆に時間がとても長く感じられたんです。日本で何気なく過ごしていたら1年ってあっという間だけど、留学中みたいに目的を持って動いていると、日本での生活ももっと充実するのかなと思いました。

青山:留学から帰ってくると、人によっては急に日本での生活が色あせて見えることがあると思うんですが、それってもったいないなと思って。だから、私はどうすれば海外にいた時と同じように一日一日を楽しんで生活できるかを考えてます。例えば英会話カフェに行ったり、国際交流パーティーに行ったり。そこでできた友達と仲よく楽しく過ごしています。いかに母国で生活を楽しめるか、いかに自立して過ごせるかということをすごく考えるようになりました。

田中:まさに、ですね! 留学して、なんだか心は元気になりました。自信がついたのかな。留学って、ひとつの大きなハードルだったんですよね。前は「留学したいけど、本当に私にできるのかな」ってどこか自分を信じきれなかった。でも、実際に留学してみると、「これができたんだから、次も何かにチャレンジできるはず」と思えるんです。

青山:それ、わかります。留学先で出会う人に「いつかこれやりたいんだよね」みたいな将来の話をしていると、「じゃあ、今やればいいじゃん。なんでやらないの?」って言ってくれるんです。すると、「あ、そっか、やればいいのか」ってシンプルに思えるようになるんですよね。

新井:考えてみたら、留学って目的じゃなくて、「きっかけ」ですよね。留学することで人生に対してすごくポジティブになれた気がします。

取材協力:海外留学のEF
世界16ヵ国44都市で語学学校を運営する国際教育機関。

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