「アダムとイブのもつれる遺伝子」第2回

“相性のいい男”はTシャツの匂いでわかる

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“相性のいい男”はTシャツの匂いでわかる

「アダムとイブのもつれる遺伝子」
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“相性のいい男”の定義は人それぞれ。カラダの相性、ココロの相性、夫婦としての相性……。いつの時代も変わらない男女の「もつれ」を遺伝子学で解き明かしていく連載「アダムとイブのもつれる遺伝子」で、今回取り上げるのは、ズバリ、一緒に子孫を残すのに“相性のいい男”の見つけ方です。生命情報学がご専門の国際医療福祉大学助教、筒井久美子(つつい・くみこ)先生に、遺伝子学の観点から「優れた子種の見きわめ方」を教えていただきました。

「高身長&高学歴」が優れた子種とは限らない

いきなり、ドキッとするような質問ですが、「優れた子種」とは何だと思いますか?

最近、アメリカではすでにビジネスになっているエッグドナーやスパームドナー。「金髪」「青い目」「長身」「高学歴」といった人気の特徴を兼ね備えた人の、卵子もしくは精子を提供してもらい受精させるというものです。「そりゃ、私もお金さえあれば、そういうサラブレッドな子種が欲しいわ……」なんて、考えている人も少なくないかもしれません。

ところが、実は、誰もがうらやむ遺伝子を持つ子種が、あなたにとってベストの子種であるとは限らないのです。結論から言えば、「優れた子種」とは、あなたの遺伝子と相性がいい子種のこと。いくら人気の特徴を備えた遺伝子であっても、あなたの卵子とウマが合わなければ意味がないのです。

では、あなたの遺伝子と相性がいい子種は、どうやって見つければいいのか?
カギになるのは、「匂い」です。

「くさい男」はリストから外してよし

香水やシェービングローションの匂いがない状態で、「くさい男」と「いい匂いの男」がいますよね。種を明かしてしまえば、「くさい男」はあなたの遺伝子と相性のわるい子種で、「いい匂いの男」は相性のいい子種なのです。顔もいい、収入もある、性格も申し分ない。そんな理想の男性でも「生理的にムリ」という場合は、残念ながら遺伝子学的に見て相性はよくないのです。

最近の研究で、女性が感じるこうした「嗅覚」は、自分からいちばん遠い免疫型を持つ男性を嗅ぎ分けるためのものだったことが明らかになりました。

ヒトの体には免疫情報をつかさどるHLA遺伝子というものがあり、多くの型が存在しています。免疫システムはヒトが生き残るために必要不可欠なもの。つまり“生命力”を左右するファクターなのです。

誰がどの免疫型を持っているかは、本来、遺伝子そのものを調べなくてはわかりません。ところがヒトは、嗅覚で生殖相手の免疫型を判別できることが解明されたわけです。

男性は「選ばれる対象」でしかない

人間の感覚器は進化にともない退化しつつあります。嗅覚に関していえば、現代人が嗅ぎ分けられる匂いの種類は圧倒的に少ないとされています(ちなみにカメにもゾウにもまったく勝てないくらいヒトの嗅覚は低レベルです)。

ヒトの鼻には約400の嗅覚受容体があり、それぞれに特定の匂いを捉えています。たとえば「バナナの匂いの化学物質を捉える受容体」というように、匂いの種類と受容体がある程度対になるように決まっているわけです。

ここでちょっと疑問に思う人もいるかもしれません。

ってことは、私も匂いで“選別”されてるわけ?

大丈夫、心配ありません。「相性のいい遺伝子=自分から遠い免疫型」を嗅ぎ分ける受容体を持っているのは女性だけ。かわいそうに、男性には備わっていないのです。そう、男性は常に女性から選ばれる対象であり、選びとる主体にはなりえません。

体の匂いが強く出るのは、耳のうしろ、です。耳のうしろは皮脂腺が集中していて、体臭の発生源になっているからです。つまるところ、耳のうしろの匂いとは、いわゆる「汗くささ」。相手の汗だくのTシャツの匂いを嗅いで、「この匂い好きかも」と感じたら、遺伝子学的には相性抜群と言えそうです。

思春期の娘の「パパ、くさい!」にも理由がある

よく思春期の娘さんが「パパ、くさいから嫌い!」「くさくなるから、パパの洗濯物と一緒にしないで!」と言い出すのは、この匂いのメカニズムが関係しています。近親相姦は遺伝子学的にも最悪の選択ですから、父親を“男”として選ばないために、お年頃になると「くさい」と感じるようになるのでしょう。大人になってみると、「くさい」なんてひどいこと言ってたよな、と罪悪感を覚えますが、自然の摂理なので仕方ないですね。

免疫型を嗅ぎ分ける受容体は生まれた時からあるので、思春期以前から嗅ぎ分ける能力自体はあるはずなのですが、“父親のくささ” に気づいて嫌悪し始めるのは生殖できる年齢になってからという点が面白いですね。そのメカニズムはまだ解明されていません。

産後のセックスレスの原因も匂いにあった

匂いに関しては、夫婦間でも興味深いことが起こります。なんと、子どもを産んで母親になると、それまで夫に感じていた「いい匂い」がリセットされることがわかったのです。つまり、「いい匂い」だと感じなくなるということ。事実、子どもができた途端、夫を「くさい」と感じるようになる人も少なくありません。

結果として、「外で性欲を処理してほしい」と夫の浮気を黙認したり、「生理的に受けつけなくなった」とセックスレスに陥ったりするわけです。変化の激しい世界で生き延びていくには、兄弟姉妹が似たような遺伝子を持つよりも、異母兄弟、異父兄弟のように多様性のある遺伝子を持っている方が有利なので、このような「リセット機能」が備わっているとも考えられます。だからと言って、産後女性がガツガツ浮気をし始めるわけではないですが。

初対面でも“匂い”を意識する

「優れた子種=いい匂いの男性」だということはわかったけれど、初対面でいきなり体の匂いなんて嗅げないし……という声も聞こえてきそうですね。確かに、イヌやネコではないので、首のうしろを嗅ぐにはそれなりのステップを踏む必要がありますが、初対面でも“目星”くらいはつけられます。

たとえば、横切った時の匂い。ふわっと漂ってきた匂いがよかったら、望みあり。好みのタイプじゃなくても、あるいはイケメンじゃなくても、遺伝子的に強い子どもが生まれる可能性は高いので、検討の余地はあると思いますよ。

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アダムとイブのもつれる遺伝子

恋愛、結婚、浮気、ケンカ、離婚……生命情報学専門の国際医療福祉大学助教、筒井久美子(つつい・くみこ)先生に、様々な男女のもつれの原因を遺伝子学の観点から答えていただきます。

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