ウートピ若者レポート2016
ウートピの読者の皆様、はじめまして、たなかもみこです。私は、この春大学を卒業した新社会人です。ウートピの編集部の方(アラサー世代)とお話をしていたとき、今の若者文化をお伝えすると、すごく驚かれました。ツイッターやインスタグラムによる恋愛感情の可視化やイチャイチャの共有、「かわいい」ものの変遷……確かに、少し離れて見てみると、若者文化は過激で意味がわからないものかもしれません。でも、昔の巻物にも「現代の若者は意味がわからん、けしからん」と書いてあったと聞きますし、特別に今の若者が変わっているとも思いません。正直、「私たちにはこれが自然なんだもん」と憮然とした気持ちになることもあります。
この連載では、私がウートピ読者の皆さんと若者世代の橋渡し役となって、現代の若者文化をレポートしていこうと思います。
「けしからん」なんて、一刀両断せずに、優しい目で見守っていただけると嬉しいです。
“かわいくハートを作りたい!”問題
いかにかわいく写真に写るかということは、若い女子の関心ごとの上位に位置します。
そして、写真の写り方にもはやりがあり、その変化が最も分かりやすいのが指でハートを作るポーズ、いわゆる「指ハート」と呼ばれるものです。
これまでの指ハートは渋谷のギャルの名残りが強かった
これまで最もポピュラーな指ハートとして作られてきたのは、両手の指全部を使って作るもの。これはLINEの絵文字にもなってます。
▼LINEの絵文字でも用いられる指ハート。「ラブ」と打つと予測候補に出ます。
写真を撮るとき、「ハートマークを作る」と言えばこのポーズだという人も多いのではないでしょうか。
上の写真の左の女性のような、親指と人差し指でハートマークを作り、他の指を自然に広げる指ハートも羽が生えたハートという、よりかわいいハートマークとして用いられてきました。
▼ちなみにこれもLINEの絵文字になっています。「ハート」と打つと予測候補に出ます。
ハートマーク考察
以上に挙げた2つの指ハートは、2000年代初頭に渋谷のギャルたちがプリクラの落書きなどで描いていた、手描きのハートマークに限りなく近いです。
▼かつて手描きされてきたハートマーク。下がすこしくびれているのがポイントです。
アラサー世代の人のハートマークと言えば、これだと思います。でも今や、若者たちにとっての「ハートマーク」はこれではありません。もはやこれは懐かしい形で、若者が見ると「時代感じるな〜」って思ってしまうこともあります。
新たに手描きのハートマークとして描かれるようになったのは、以下のもの。
▼新たに描かれてきたハートマーク。くびれがなく、頭も浅いのが特徴です。
違い、わかりますか? さっきのものに比べて切れ込みが浅いですよね。このハートマークは雑誌『Zipper』などの原宿系ファッションを好む人たちが描いていたのがはじまり。今ではハートマークといえばこの形と定着するくらい広がりました。
『Zipper』でこのハートがはやり始めたのが2006年ごろ。今、25歳くらいの人たちまでは、このハートが主流だと思います。
そして、この手描きのハートマークトレンドが今から紹介する最新の指ハートにも大きく影響してくるのです。
最新指ハートは原宿系+K—POP
さて、ここからは最新の指ハートを2種類紹介します。まず1つめは、人差し指と中指を使って作るものです。
▼写真左がそのポーズ。分かりづらいので着色しました。
勘のいい人はお分かりになったのではないでしょうか。人差し指と中指で作られた指ハートには下にくびれがないため、かつてのギャルっぽいハートマークというより、原宿系の浅いハートマークに近くなっています。
一番左が、最新ハート。その隣が昔の渋谷系ハート。右二人は原宿系ハートですが形が従来型ですね。写真撮影の時のハートの作り方で、若者はその人の歳を類推することができます。
韓国発、最新指ハートその2
そして2つめは親指と人差し指の指先で小さいハートマークを作るというものです。
▼親指と人差し指の指先で作るハートは角度がポイントだそう。こちらも分かりやすく着色してあります。
この指ハートも言わずもがな、くびれのない原宿系のハートマークに近い形になっています。
実はこれらの最新の指ハートは原宿系だけでなく、K-POPアイドルたちの影響も大きく受けています。ライブやテレビ番組などでこれらの指ハートを作る彼らを見たファンたちがマネしていった結果、今では指ハートを作るならこっちの方がかわいいと言われるようになりました。
これらの指ハートが広まった理由には男の子でもさり気なくできるという点もあるようです。ツイッターやインスタグラムのカップル写真で、彼女と同じようにこのハートのポーズをしている男の子も見受けられるようになりました。
従来型の、手のひらで構成するハートマークは、なんとなくごっつくて、いつも自分が描いているハートマークとは違う。『Zipper』ハートが主流になって苦節10年。やっと、書き文字ハートから指ハートに文化が継承されたのです。
指への負担は、増加してるかも
読者の皆さん、この指ハートの革新的なかわいさ、わかりますか? これが現代の主流なんです。
余談になりますが、本記事で使用する写真を撮るために筆者自ら最新の指ハートに挑戦してみたところ、角度やハートマークをかわいく作るために必死にやっていたら指がつりました。実践するには少し練習が必要かもしれません。
(たなかもみこ)