川崎貴子の「自立という幸福」第八回

自己肯定感の高すぎる男性には注意! 乙武さん不倫騒動に見る、自分を愛する力の暴走

自己肯定感の高すぎる男性には注意! 乙武さん不倫騒動に見る、自分を愛する力の暴走
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先日報道された乙武洋匡さんの不倫騒動。5人もの愛人がいるという衝撃的事実と、妻と連名の謝罪文の掲載により衆目を集めました。川崎貴子さんは、この乙武さんの不倫は「強すぎる自己肯定感」が引き起こしたものだと推測します。

売っているものならプレゼントしたい! 自己肯定感

仕事で20年以上も女性のキャリアや人生相談に乗ってきた私は、常に女性達個人の「自己肯定感」の壁にぶち当たってきました。

彼女達は容姿に恵まれ、仕事もできて、性格も良い。それなのに、「私なんて……」と、謙遜ではなく心から自分の無価値を訴え、昇進や結婚のチャンスを自ら逃しまくるのですから何度歯がゆい思いをしたことか。それも、自己肯定感を得られるチャンスと言うのが「主に成育過程において」という取り返しのつかなさ。「売ってるならものならばプレゼントしたい!」という衝動に駆られたことは一度や二度ではありません。村社会で形成されていた昔の日本人ならまだしも、現代社会においては自己主張し、チャレンジを厭わない姿勢や高いコミュニケーションスキルが要求されてしまいます。それを行おうとするとき、彼女達の足をものすごい勢いで引っ張るのが「自己肯定感の低さ」だったりするからです。

自己肯定感の低い女性が惹かれる男性

そして、自己肯定感の低い女性達の恋愛、結婚相談に乗っていると、高すぎる自己肯定感を持った男性に惹かれるというケースが少なくありません。自己肯定感保持者は、社会的に成功する確率も高いでしょうし、卑屈じゃない男性というのは魅力的ですし、何より自分が持っていない感覚を無邪気に携えている姿は強烈に憧れとして映るのでしょう。

ただ私は、高すぎる自己肯定感を持つ男性は、以前対談でも話しましたが(参照:『現代ビジネス』二村ヒトシさんとの対談記事)あまりお勧めできません。心理学では自己肯定感は高いことを良しとする説が多いのでこれは私の個人的感想なのですが、「近づきすぎると迷惑な人が多いから」なのです。特に自己肯定感の低い女性達が彼らを夫や恋人にすると更に、ハードな修行道が夢いっぱいに広がります。

乙武さんは最高峰の自己肯定感を持つ

自己肯定感が高い男性は紛らわしく、上記の対談の二村ヒトシ監督がよくおっしゃっている「いんちき自己肯定」がずばり言い当てていると思うのですが、本当は自己評価が低いから世間的な物差しで良いとされるもの(金とか地位とか知識とか)を獲得していく「似非自己肯定感高い系」が大量に混じっております。この人達はこの人達で傍らにいたらしんどそうですが、私が言っているのは本物のほう。

自分の良いところも悪いところも肯定的に受け止め、真に「自分を愛する能力」を持っている人達のことです。私の知人にも何名かおりますが、その最高峰が乙武さんだと勝手に思っていたので、今回の不倫報道(付き合った女性の数は5名もいたと発表)を聞いたときには大量の「やっぱり感」に全身を包み込まれました。

彼の「五体不満足」という本には個人的に感動しましたし、その後の活躍もたくさんの人に勇気を与えるものであったと思います。奥様もそんな彼の快進撃を誇りに思っていたのではないかとまたまた勝手に推測します。ただ、自己肯定感の高すぎる人とは、世間の物差しではなく、あくまでも自分の物差しで突き進みます。

「ありのまま」をさらけ出す彼らに振り回される

ネット上で、「自己肯定感が高いということは倫理観の影響下にないこと」という一文を発見したときには痛くなる程膝を打ったのですが、だから彼らは生きづらくないし、チャレンジを恐れないし、どんなときでも「ありのまま」をさらけ出せるのです。

ところが、自己肯定感が普通もしくは低い人間たちは、ありとあらゆる倫理観の下に物事を判断し、行動するわけで、高すぎる人の行動は先ず理解不能です。

また、自己肯定感が高い知人達もそうなのですが、良く言えば「人の顔色を伺わない」。悪く言えば自分に近しい人間の「感情の機微」にあまり頓着しない傾向があると私は思っています。

自己肯定感は高すぎず、低すぎず、ほどほどが良い

「肉体関係もありました。不倫と認識頂いて構いません」と記者に対して潔く(?)答えたと言われる彼の一連の対応は、視聴者である他人には「はっきりした態度」に見えても、その屈託なく答えたであろう彼の報道を妻はどんな思いで見たでしょうか? 連れ添った夫なのに、「私には理解の及ばない人間である。」と、ぼんやり思いはしなかったでしょうか?

今回は妻が謝罪文を出すという異例のケースで、「子供もいることだし」と、乙武家がやり直すということが知れ渡りましたが、乙武さんの「ありのまま」を乙武さんと同じように愛し、同じぐらい肯定できるのはご本人以外にいません。いたとしたら唯一、それは「おかあさん」でしょう。妻がそれに伴走するのはなかなかの荒行です。

「自己肯定感は高すぎず、低すぎず、ほどほどが良い」と改めて思った次第であります。

(川崎貴子)

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