「実の父親に会いたい」と言われたら?【おときた議員×shin5 連れ子パパ対談】

「実の父親に会いたい」と言われたら?【おときた議員×shin5 連れ子パパ対談】
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爆笑問題の田中裕二さんやハーフタレントのユージなど、連れ子がいる相手と結婚しステップファミリーとなる芸能人は増えている。とはいえ、一般家庭ではステップファミリーであることを伏せる人が多い。まだまだ世間の偏見があるからだろう。また、日本は米国などに比べると特別養子縁組が進んでおらず、さまざまな課題があると言われている。都議会議員のおときた駿さん、Twitterのフォロワーが20万人を超えるshin5さんは、共にステップファミリーだ。当事者の2人が考える新たな家族の在り方、そして養子縁組についての思いを聞いた。

【前編はこちら】【おときた議員×shin5 連れ子パパ対談】両親は反対…それでも結婚に踏み切った覚悟

本心では実の父親に会わせたくない

――連れ子であるお子さんの実の父親との付き合い方について伺いたいんですが、お子さんは実の父親と会っているんですか?

shin5:結婚する前に息子が「父さんに会いたい、遊びに行きたい」と言ったことがあったので、そのときは会わせたいと思いました。僕が反対しちゃいけないと思って「会っておいで?」とは言ったものの、「ちゃんと帰って来るかな、なに話してるんだろう」って、めちゃくちゃ心配しましたよ。

で、オモチャをいっぱいもらって帰って来たんですが、それで楽しそうに遊んでいる姿を見たら複雑な気持ちになりました。結婚してからも、一度は「会いたい」と妻に言ったことはあったみたいですが、相手の都合が悪かったとかで会えなくて。それからは、息子から実の父親に会いたいというアピールは自然となくなりましたね。

おときた:うちの場合、妻と前の旦那とはほぼ没交渉になっているので、今のところそういうことは起こってないですね。でも人間には帰巣本能みたいなものがあるので、娘が成長してきたら自分のルーツを知りたいと思うだろうなと覚悟はしていて。

本人に「実の父親に会いたい」と言われたら、それは僕が止めてはいけないと理性ではわかっているけど、本音は「今はあなたが本当のパパだから、実の父親の存在なんてどうでもいいの」って言ってほしい。たぶん現実はそう甘くはないでしょうけど。

――shin5さんは、今後息子さんが実の父親に会いたいと言ったら、どう思いますか?

shin5:そこはやっぱり本人の意思を尊重すべきだなと思いますね。私たち親がそれを強く拒否してしまうと、いつか反動が起きるかも知れませんし。

家族によって異なる養子縁組届の考え方

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おときた駿さん

――おときたさんは、ブログで婚姻届と一緒に養子縁組届を提出したと書かれていたんですが、なぜ養子縁組届を出したのか、その思いを聞かせてください。

おときた:7歳の娘は、結婚する前から新しいパパができるのをすごく楽しみにしててくれたんですよ。「音喜多(おときた)」っていう漢字の書き方を練習してたり(笑)。なので、けじめというか「親になるんだ」っていう覚悟の証明をしなければいけないなと思いました。そして、娘も嫌じゃないってことだったので、7歳の判断が信頼できるかどうかという部分はありますが、届を出すにいたりました。

――shin5さんは養子縁組届を提出されていないですよね。「息子本人の意思に委ねたい」とのことでしたが、もう少しお子さんの成長を待ちたいという気持ちは、お変わりないですか?

shin5:そうですね。結婚するとき妻とも相談したんですが、妻と息子は親子関係があるのに、養子縁組届を出すことによって家族関係が「父・母・養子」となってしまうので、それはなんか違うよなと思い…。

それに、弟や妹が産まれたときに、「養子・実子」と戸籍上書くことになるので、それもどうかなと。だから、戸籍上は僕と息子は親子ではなくても、現実的にひとつの家族になれているなら、それはそれでいいんじゃないかと思って、いったん届を出さないことに決めました。

そして、息子の名字が何度も変わるのも違う気がして妻の姓に合わせたんです。まさか、結婚してすぐ父親になって名前まで変わるとは想像もしていませんでしたけどね。まだまだ、男性側の姓に合わせる人が多いですが、僕らのような家族が増えていくのもありかなと思いますね。難しいとは思いますが……。

親の権利ではなく子供の幸せを一番に

――日本は、社会的養護制度の下で暮らしている子供が約46,000人いるそうですが(平成28年1月現在、厚労省の発表による)、そのなかで養子縁組される子供は年間約400人とおよそ1%という低い現実があります。行政も時間と手間がかかる特別養子縁組に積極的でない傾向もあるようですが、おときたさんはこの実態をどう思われますか?

おときた:やっぱり世間には、血のつながりを大事にするとか古風な家制度みたいなものが残っているし、行政も同じく「血がつながっている両親が絶対」という感じで親権がものすごく強いんですよね。実の親がどんなに虐待しようが、ネグレストしようが、「子供を渡したくない」と言えば養子縁組はできません。子供の幸せを一番に考えるべきなのに、親の意見ばかりが尊重されてしまうんです。

どうしても親が育てられないなら、ほかの方に育ててもらうという選択肢もありだし、離婚した人が再婚して養子縁組で新しい家庭を築くのもひとつの形であって、それを行政がバックアップすべきなんですよ。無理に離婚率を下げようとか、親権者になんとか解決させようとか、そんな発想ばかりじゃなくて。

僕が個人レベルでできることとしては、「血がつながっていなくてもファミリーであって、こんなに仲がいいし、いずれ孫もできてどんどんつながっていけるんだ」という事実を伝えていくことです。一つひとつ事例を積み重ねて行政の制度を変えていきたいと思っています。

家庭内で肌の色が違う、多様性のある暮らし

――ご自身でも養子をもらいたいと、現実的に考えることはありますか?

おときた:それは妻とも真剣に話してますね。もちろん実子もほしいんですが、僕の理想は、連れ子もいて実子もいて、さらにまったく血のつながらない養子もいる家庭。さらに言うと、養子は外国人もしくはハーフで、肌の色も国籍もちがう。そういった子供って里親に引き取ってもらいにくいんです。そんな子供が三者三様の家族なんだけど、すごく仲がいい。それが究極の多様性だと思うし、次の指標にもなるんじゃないかなと。

shin5:この対談が決まってから妻とも話をしたんですが、もし4人目の子供がほしいと思ったとき、妻の体のことを考えると養子っていう選択肢もあるかなと思っています。ただ、世間には子供が欲しい・養子を迎えたいというご夫婦がたくさんいるので、僕たちがエントリーしてしまうと、そういう方たちが養子をもらえるチャンスが減ってしまわないかという心配もあって…

おときた:それはいいポイントですね。そもそも養子縁組は親のための制度じゃなく、恵まれない子供のための制度なので、親は(養子が)来るも八卦、来ないも八卦で当然なんですよ。たとえば、この子は絶対兄弟が3人ぐらいいるような環境で育てないとダメな子だって専門家が判断すれば、shin5さんのところが選ばれるかもしれない。子供にとってベストな環境が選べるように、たくさんの方にエントリーしてもらうのが一番いいことだと僕は思います。

shin5:そういった視点はなかったですね。そうしたら、双子が小学生ぐらいになって、次の子供がほしいけど体力的にむずかしいかもしれないとなったとき、エントリーするという選択肢は現実的にありですね。

ネクストジェネレーションの発信力に期待したい

――お2人が行っているブログやTwitterの情報発信も、そういったステップファミリーのイメージアップを意識されているんですか?

shin5:それはありますね。実際結婚して楽しいし家族にもなれているので、そういった多様性を認める空気が作れたら、とは思ってます。現状ではなかなかそうもいかないみたいで、誤解を受けるような批判をされることもあるし、Twitterのフォロワーの方から、「好きになった人と結婚したいけど、自分に子供がいるから戸惑っている」という相談がたびたび寄せられます。

20万人の方が見てくれているので個別に返信するのはむずかしいんですが、身近に相談できる場所が少ないんだと思います。なので、自分たちのようなステップファミリーが増えていって、身近な人に聞きやすい状況が増えていけばいいですよね。

おときた:今の世の中って、僕らのような親世代が情報発信してる時代じゃないですか。もう少し経つと、自分が連れ子だったっていうネクストジェネレーションの人たちが発信をはじめるようになりますよね。

たとえば、「私は母親が再婚して新しいお父さんができて、すごく幸せな家庭だった」ってことをSNSとかで発信するようになると、世間の意識はだいぶ変わるんじゃないかって僕は思ってて。今は、一段階目のロケットだけど、二段階目のロケットが発射されたときの効力に期待したいですね。

■関連リンク
おときた駿公式サイト
結婚しても恋してる (1) (ジーンピクシブシリーズ)
twitter:おときた駿shin5

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