昨年11月、7歳の女の子の母親である三次ゆりか江東区議会議員と結婚したことをブログで明かし、あまりの反響からサーバーをパンクさせたブロガー議員「おときた駿」さん。そして、7年前に4歳の男の子の母親である「はる」さんと出会い結婚し、結婚生活を綴ったTwitterのフォロワー数が20万人を超え巨大コンテンツ化する「shin5(しんご)」さん。
32歳の新米パパおときたさんと30歳の先輩パパshin5さんによる、ビッグな対談企画が実現した。血のつながらない子どもへの接し方、ステップファミリーの家族の絆、日本の養子縁組の課題など、トピックは多岐に渡る。同世代のお2人は、笑顔を浮かべつつ、ときに真剣な眼差しで家族への熱い想いを聞かせてくれた。
「マジで? そこいく? 俺」という率直な感想
――まず、奥さんとの出会いからお聞きしたいんですが、お2人とも相手にお子さんがいることは知っていたんですよね? そこで躊躇することって、なかったんですか?
おときた駿さん(以下:おときた):そもそも出会ったときは恋愛対象ではなくて、「食事に行きましょう」ってなって娘を交えて3人で食事したときも、付き合うなんて全然考えてなかったんですよ。ただ彼女が去年の4月、選挙に挑戦したとき、相談に乗っているうちに仲良くなって恋愛感情が芽生えていって。まぁちょっと「マジで? そこいく? 俺」みたいな戸惑いはあったかもしれないですね(笑)。人生で想定していなかった事態なんで。
でも裏を返せば、僕は早く子供がほしかったのにズルズルとこの年齢になってしまったので、タイムマシンを手に入れたっていうか、遡及的に“若いパパになる”って夢を叶えた、みたいな。そうやってポジティブな発想に切り替えたら、「全然ありだな」と思った。で、結婚まで進んだ感じです。
shin5さん(以下:shin5):僕も彼女に子供がいることは知っていましたが、でも結婚はしてない(いわゆるシングルマザー)と言っていたので、「じゃあ、一緒にどこか行きましょう」ってなって。まったく躊躇しなかったわけじゃないですが、子供がいることで気持ちにブレーキがかかるってことはなかったです。しいて言えば、同棲をはじめたとき「僕たちは幸せだけど、結婚してないこの関係が、ご近所からどういうふうに見られるかな」という不安は感じましたね。
口が達者な娘に試されている新米パパ
――お子さんとの接し方は結婚前から悩まれただろうと思うんですが、どうやって仲良くなったんですか?
shin5:僕の場合は4歳の男の子ってことで、何度も会ううちに自然と打ち解けていったんですよね。結婚前から、ケンカもいっぱいしましたよ。一緒に遊んでるオモチャを息子がとったから取り返すみたいな(笑)。で、僕が妻に怒られるっていう。
おときた:最初に3人で食事した日が、ちょうどハロウィンだったんですよ。だから子供のためにお菓子を持っていって。食事中は、妻よりも娘にばかり話しかけてたんですけど、それが2人にとって新鮮だったようです。僕としては意識的にそうしたんじゃなくて、会話の間がもたなかったからってだけなんですが(笑)。それからも会うたびに子供にプレゼントを持っていって、僕も自然と仲良くなった感じですね。
――ステップファミリーの方のお悩みで、「お子さんのしつけの難しさ」が多く挙がるそうなんですが、お2人は、どう感じていますか?
shin5:僕は結婚前からケンカをしていたぐらいなので、お互い気にかかることがあったら、その都度言い合ってましたね。子供のほうがけっこう真面目で、自分でできることは自分でするし、僕に対しても気になることはちゃんと言うんです。なので、対等な関係を作れてたかなと。ただ、強く言いすぎて泣いちゃったときは、距離の保ち方に気をつけなきゃなと思いました。叱るにしても、ちょっと逃げ道を作ってあげるとか。
おときた:僕は今、娘に試されてますね(笑)。こないだ娘が学校の宿題をやってるのを見てたら、答えをそのまま写してたんで、「写したらダメだよね、ちゃんとやろうね」って言ったんです。そうしたら7歳で口が達者なので、「パパは学校に来たことないでしょ。私のほうが学校のことをよく知ってるのに、なんでダメなんて言うの? ママはそんなこと言わなかった」とか言ってきて。どうしようと思いつつも、「パパは君の学校に行ったことがないけど、先生は、答えを写すのはいいって言わないと思う。先生がいいと言ったらパパも認めるよ。どう?」と言ったら、すごいふてくされながらも、ちゃんとやってくれました。あとで妻にそのことを話したら、「私の前では答えを写すなんてしたことないよ」と言われて。これ試されてるなと(笑)。
家族の絆を深めてくれた「セメントベビー」の存在
――shin5さんは4年前に双子のお子さんが誕生されていますが、実子が生まれて、長男との違いをなにか感じられましたか?
shin5:僕自身もなにか変化があるのかなと心配していたんですが、まったくなかったですね。双子が生まれる前、妻の入院期間が長かったので、その間息子と2人暮らしをしていたんです。そのとき2人きりの時間がたくさんあって、「早く赤ちゃん見たいね、一緒に遊びたいね」なんて話して。双子が生まれてからも、うまく寝られない日が続いたんですが、息子と協力して一緒に乗り越えた感じですね。
――そういう赤ちゃんのことを「セメントベビー」って言うんですよね。
shin5:セメントベビー? 知らなかったです。
おときた:連れ子がいる夫婦の間に生まれた実子のことを指すんですが、家族の絆を固める存在っていう意味もあるんです。shin5さんご家族の場合、双子のお子さんがセメントベビーとして機能しているんだなって思いますね。
――おときたさんは、将来実子が生まれたときのことを考えられたりしますか?
おときた:実際は生まれてみないとっていう気持ちはありつつも、頭でっかち人間なので養子縁組が進んでいる海外での事例を研究したり、本を読んだりしています。ステップファミリーの先輩方の悩みって、連れ子よりも実子をかわいがってひいきしてしまうとか、連れ子がなつかないとか、お子さんとの関係性が一番じゃないですか。でも案外、自分は問題ないかと踏んでるんですけどね。スーパーポジティブ人間なので。
「実の孫と平等に愛せるかわからない」という両親の本音
――以前のshin5さんへのインタビューで、ご両親から反対されていたというお話がありましたが、その後の関係性はどうですか?
shin5:以前よりわだかまりはなくなりましたが、結婚したいと両親に告げた24歳のとき「おまえなんか、もう知らん!」とかなり強く反対されたので、妻は両親に会いづらいみたいです。今、妻の両親の家に近いところに住んでいるので、交流はそちらとばかりですね。おときたさんは、反対されたりってありました?
おときた:僕の両親は反対までは言わなかったですが、結婚したい意思を伝えたとき、ちょっと難色を示されましたね。僕の母親はロジカルな人で、こんなことを言っていました。「孫たちがもっとたくさん増えたとき、あなたが連れてきた子を平等に愛せるか自信がない。もしかしたら差別してしまうかもしれないから、そういう自分が嫌だ」と。僕自身の覚悟はできていたけど、両親に面と向かってそう言われるのは想像していなかったので、「申し訳ないけど乗り越えてください」とお願いするしかなかったですね。
【後編はこちら】「実の父親に会いたい」と言われたときの正直な気持ち【おときた議員×shin5 連れ子パパ対談】
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結婚しても恋してる (1) (ジーンピクシブシリーズ)
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