「逃げ」の結婚はうまくいかない 不倫・離婚に至る、先走り婚の特徴

「逃げ」の結婚はうまくいかない 不倫・離婚に至る、先走り婚の特徴

学校を卒業し、社会に出ると次に話題になるのが「結婚の時期」。年末年始の帰省では、学生時代の友人に結婚報告をされた人も多いでしょう。しかし、焦って結婚をしてしまってはダメだと様々な結婚の形を見てきたライターの亀山早苗さんは警鐘を鳴らします。逃避のための結婚の末路とは?(編集部)

逃げのための結婚はうまくいかない

社会に出て3年経ち、5年経ち……。25歳、30歳という節目が近くなると、「ああ、早く結婚したい」と言う女性たちが増えてくる。

「私は専門学校卒だから、20歳から働いています。そろそろ疲れてきましたね。結婚して生活する上での経済的ベースを担ってくれる人がいれば、こんなにあくせく働かなくてもいいような気がします」(25歳)

「私は大卒で、今、7年目。会社組織にはうんざりしてるし、一緒に暮らしている親からのプレッシャーもあるから、早く結婚したい。会社をやめて親の監視下からも逃れられる。一石二鳥ですよね」(28歳)

結婚さえすれば、今、抱えている将来への不安とか経済的不安定などから逃れられる。喜怒哀楽も分かち合える。家庭という帰る場所があれば、もっと伸び伸び生きていけるはず……。そんなふうに考えてしまうのも当然かもしれない。

だがしかし! ちょっと待ってほしい。長年、不倫関係の取材を続けてきて、うっすらと見えてことは、「焦って結婚した人ほど、のちの結婚生活に不満を抱きやすい」ということ。だから不倫に走ることもあるし、ストレスを夫にぶつけて不仲になったりする傾向が強いのだ。

つまり、「今、自分が抱えている不安やつらさから逃げるための結婚はうまくいかないことが多い」ということ。

逃げの結婚で失敗した人たち

「親から逃げたくて結婚したけど、今度は夫からの圧力に耐えられなかった」
25歳で結婚したものの2年後に離婚したタエコさん(31歳)はそう言う。夫は7歳年上で、そこそこ経済力もあった。短大卒業後に入った会社で、残業も出張も厭わない働き方をしていたタエコさんは、すでに心身共にぼろぼろだと感じていたから、知り合って1ヶ月で結婚を決意。3ヶ月後には婚姻届を出した。

「最初は楽しかった。それまでできなかった料理を、本を見ながらきちんと作ってみたり、近所の図書館で本を借りてのんびり読んだり。だけど3ヶ月で飽きましたね。夫は平日は家で食事をほとんどしないし、週末はごろごろするか実家に帰るか。私は飼われた猫みたいな感じで、夫の機嫌をとるために存在しているのかなと思うようになってしまった」

外に出ると不機嫌になる夫

収入がないから、なんとなく居心地も悪い。夫がめったに家で食事をしないからといって、独身時代のように夜遊びするわけにもいかない。

「まれに、夫から昼間、用があって電話がかかってきて、私が外にいるのがわかると、『外なの? 何してるの?』と言われる。それを『仕事もしてないくせに、外で遊んでいるのか』と責められているように感じてしまう。実際、夫には『ヒマなくせに』と何度か言われたこともあります。こんなことなら、すべてを自分で選択、決断できる独身のほうがずっとよかったと思い始めたのが、結婚して半年後ですね」

我慢して1年同居したが、タエコさんは、ついに仕事を見つけてアパートを借り、別居に踏み切った。

「仕事を再開してみると忙しいし、やっぱり経済的には不安がありますけど、なにより自由がある。一生、仕事を続けていくことを考えたら、少しは専門性をもたなければと夜、週に3回専門学校に通い始めました。大変だけどやりがいがありますね」
離婚して初めて、自分の人生を自分の足で歩いている実感があると話してくれた。

「彼の肩越しに社会を見るのが楽しい」と言っていた20代

私自身も20代後半で結婚、3年ほどで離婚している。今思えば、自分にまったく自信がもてず、相手に世の中の盾になってもらおうと思っていたような気がしてならない。

「彼の肩越しに社会を見るのが楽しい」

そんなことを友だちに言っていたらしい。今なら、当時の自分に「ふざけるな」と言ってやりたいくらいだ。

結局は、自分の足で立ち、自分の目で社会を見て判断することが怖かったのだろう。だが、結婚したらしたで、私自身もその不自由さにいらだった。結婚前には気づかなかった家族観の違い、「妻」や「嫁」として求められる役割に、あっけなく疲弊した。

結婚して恋愛にうつつを抜かさなくてすむようになった分、仕事がおもしろくなったせいもあって、結婚生活は3年ともたなかった。相手は「自分の配偶者とアポをとらないと会えないような生活はイヤだ」と言った。おっしゃるとおりである。

そのころには、「彼の肩越しに社会を見る」のが鬱陶しくてたまらなかった。世間で起こる出来事などについて話していると、ことごとく価値観の違いが見えてきたのだ。今なら、「意見の違いがあるから、男女関係はおもしろい」と思えるが、当時はそんな余裕はなかった。「違う」ことが、そのまま息苦しさにつながった。だから私は逆に仕事に逃げたのである。そして結婚生活は消滅した。

未婚のままでも30代は楽しい

30歳を過ぎて独身を楽しんでいる女性たちはたくさんいる。

「なんとなく結婚のチャンスを逃しただけ。でも、自分ひとりで生活のすべてをハンドリングできる今の生活は気に入ってますよ。いずれ結婚を考えないわけではないけど、今の生活パターンを維持できるような相手がいれば、ね」(32歳)

「周りがどんどん離婚していっている状態なんですよ、今。子どもを抱えて苦労している友だちも多い。彼女たちが言うのは、『仕事を続けていればよかった』ということ。専業主婦だから、本当は離婚したいけど今はできないと我慢を重ねている人もいます。そういうのを見ると、結婚が決して幸せではないとわかるし、安定を手に入れたとも限らないと思う。どう生きるかは、自分が快適かどうかで決めたいですね」(34歳)

「ラクしたい」という気持ち

もちろん、出会ってすぐ結婚しようが、何かから逃れるつもりで結婚しようが、うまくいく人も中にはいるだろう。だが、「ここでないどこか」を求めたり、「ラクしたい」一心で結婚したりすると、やはりそれなりのしっぺ返しはくるものだ。

「強い恋愛感情がないままに結婚してしまった」
「恋愛の経験がほとんどないまま結婚した」

そういう女性たちに限って、40代で「運命の人に出会った」と婚外恋愛にはまるケースも少なくない。恋愛に慣れていないために、ボロを出しやすいのもそういった女性たちだ。

たっぷり恋愛もした、仕事もひととおり経験を積んでいい状況。そんなとき、ひとりで生きていけるけれど、一緒にいるともっと楽しいと思える人と出会って結婚した女性は、その後の人生も自分のペースで歩んでいける。
それまで培った恋愛や仕事での経験から、相手との妥協点の見つけ方もうまくなっているし、許容範囲も広くなっているからだろう。

結婚するもしないも、いつするかも結局は自分次第。だが、逃避のために焦って結婚しても、決して新しい人生は開けてこない。

(亀山早苗)

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