川崎貴子の「自立という幸福」第四回

女の直感はロジックで吐き出せ! 男性上司からYESを引き出す交渉術

女の直感はロジックで吐き出せ! 男性上司からYESを引き出す交渉術

男性と女性では考え方や感覚が違う。世界の半分は女性なのですから、双方の意見をうまく取り入れて仕事を進めていくのが、成功の大きな鍵となることは確実です。しかし、実際職場では「男性上司に意見が通らない」という悩みがよく聞かれます。特に女性向けのサービスなど、女性目線から提案しても上司からは「ピンとこない」という理由で却下され暖簾に腕押し。そんな時の対処法を川崎貴子さんに伺います。(編集部)

「男性上司に意見が通りません」

私は女性活用コンサルティングとして、クライアント企業の女性社員の相談に乗る事が多いのですが、このお悩み、実はとても多い。対象は主に男性上司で、「企画や意見が通らない」「その商品じゃ絶対に売れない! が通じない」など、特に女性向けの商品やサービスの企画開発の現場においては、相当数の女性達が歯がゆい思いをしています。

なぜ女の直感は当たるのか

女性による女性向け商品に対しての、さんざん考えた末の閃き、「これはいける!」という根拠なき確信は、実は当たっていることが多いと言われています。それは、同性としての消費者目線や消費者への共感力が多大に作用するから、が大きいのですが、女性脳の特徴も関係しているようです。

例えば、パートナーの浮気や家族が具合が悪いのを見破るのは女性の方が得意であると言われていますが、それは、「なんかいつもと違う」を女性は簡単に見つけるからです。女性脳は過去の膨大な記憶データから情動に紐づけて結果を抽出するため、その「一押し!」は膨大なデータ量とデータ保存先の深ーい奥行きから検索された結果なのです。

同時に、「3年前も部長のアイデアが当たらなかった」というような恨み節も、消費者として「そういえばこういうもの欲しいと半年前に思ってた!」などという過去の記憶も、瞬時にリアリティをもって思い出せるという機能を持っているから、と脳科学者の本で読んだことがあります。

女の直感はロジックで吐き出せ!

そんなミラクルな能力を持っているのに、何故に男性上司は女性社員の声に耳を傾けないのか?

それは、彼らにとって女性社員のアイデアや助言は、「何を言っているのかさっぱり解らないから」なのです。例えば会社が全員女性なら、「これ、すごく便利だと思わない? 可愛いし」「わかる! こんなのあったらいいよね。この線でいこうか」は通用しやすい。

業界後発でもブランドを確立した下着メーカーのピーチジョンは、女性社員たちばかりで「かわいい!」と思うものをどんどん作ってヒットを飛ばし、男性開発者たちが女性の年齢別に胸のデータを収集し、「機能重視ブラジャー」を作ってきた巨大下着メーカー達に脅威を与えました。(結局は後に傘下になりましたが。)

しかし、女性管理職比率が世界でもアジアでも最下位である我が国ニッポンでは、直属の上司も、そのまた上の上司も、役員も社長も男性であることが圧倒的に多いわけです。「かわいい!」と言ったら「そんなことは聞いていない」と返されるのが関の山。男性上司に、感覚的な話し方や個人的な好みと思われるような話し方をしていたら、企画なんて一生通りゃあしません。彼らは「根拠」「ロジック」「データ」を頑なに求めているのです。

「男性上司は外国人」だと認識せよ

感覚で出たものにデータなどそもそも無いと思われるかもしれませんが、データは後付けでいいんです。その変わり、ねつ造せず、根拠になりうるデータを必死で探し出す事。

上司が日本を全く知らない外国人だとしたら、日本の事を説明しながら提案してゆきますよね。「日本人にはこのような傾向があるのです。」と。信じてもらいたいのでデータの一つも出しますよね。

上司が日本人だからってその手間をさぼってはダメです。我々働く女性は、例え日本人同士であろうと「男性上司は外国人」だと認識していた方が絶対にいい。男と女は常に異文化コミュニケーションなのです。

上司に自分の考えをあらかじめ浸透させ、下準備をする

彼氏への不満やクレームを、酔っ払った勢いや、自分が言いたいときに言ってしまうタイプの貴女は、「タイミング」を常に意識して上司に提案致しましょう。上司が今忙しくないか?効く耳持ってくれている状態であるか?は常日頃から観察してベストタイミングを図る事。タイミングを逸して貴重なチャンスを逃してはなりませぬ。働く女は常に「機を見るに敏」たるべし。

また、上司に相談する体で「上司が何を考えているか」をヒヤリングしておくと自分の提案をブラッシュアップできるだけではなく、上司に自分の考えをあらかじめ浸透させ、どんなデータが必要かを把握することができてお得です。更に、同じように決裁権のある他の上司にも「相談と言う名の根回し」は大変有効です。相談されたら嬉しいのが男性上司。おまけに大変ラッキーな事に、上司に相談を持ちかけるのが上手い同僚男性は希少です。貴方の相談力で華麗に暗躍し、部署を超えて上司を増やしていけば、味方と知見が増えることは間違いないでしょう。

「純粋まっすぐちゃん」は必要とされない

ビジネス社会では「純粋まっすぐ君」は殆ど使いものになりません。同じように、「純粋まっすぐちゃん」と認定されてしまったら、仕事上での様々チャンスを棒に振る事になります。

「謀」の一つや二つお腹に抱えてこそ、上司を手玉に取って自分の意見を通せる「一人前」です。ルールを熟知し、通用する言語を操り、味方と知識を両手いっぱいに抱え、女ですもの、明日も笑顔で勝ち戦に挑みましょうね。

(川崎貴子)

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