書籍でビジネスを学ぶにあたって、自分の職種に直接関係のないジャンルも手にとってみると、今までにない気づきを得られる。しかし、書店に立ち並ぶビジネス書は玉石混交。学びを有意義なものにするためには、どの本を読めばいいのだろうか。ビジネスパーソンにおすすめの5冊を、オンラインサロン「Synapse」(シナプス)にて「ビジネス書キュレーションサロン」を開く田中伶さんに厳選してもらった。(編集部)
もう間もなく終わろうとしている2015年、ウートピ読者の皆さんにとって、今年はどんな一年でしたか?帰省で移動時間があったり、ゆっくりお家で過ごせる年末年始は読書にはピッタリの季節。今回は、「まだ間に合う!2015年中に読んでおきたい5冊」をご紹介します。
次世代の働き方「ALLIANCE」とは?
世界最大級のビジネス特化型SNSでもあるLinkedinの創業者であるホフマン・リード氏による著書。「ALLIANCE」とは、シリコンバレーなどを中心にメジャーになりつつある雇用形態のこと。従来の終身雇用制度からは離れ、「企業」と契約するのではなく「仕事」と契約し、かつ企業とも信頼で結びつく新しい仕事のあり方を提唱しています。
パラレルキャリアやクラウドソーシング、ちょっと前に流行ったノマドなど、新しい働き方が次々生まれる現代ですが、次世代の働き方は「ALLIANCE」?人の履歴書やキャリアのデータを保有する会社の創業者だからこそ見えている、次世代の働き方やその可能性に触れられる一冊です。
ネットによって今後の生活はどう変わる?
株式会社ドワンゴの創設者であり現会長である川上量生氏による一冊。私はこの本を「一家に一冊!」と勝手に思っています。タイトルにある”鈴木さん”というのは「風立ちぬ」などで有名なスタジオジブリの映画プロデューサーである鈴木敏夫氏のこと。2011年にスタジオジブリに入社し、鈴木氏に弟子入りをした川上氏が「自分にも分かるようにネットの過去と現在、そして未来を説明してくれ」と言われたことをきっかけに誕生しました。
ネットという広い世界に昔から生きる人々(書籍では”ネット原住民”と表現されています)と、個人がネットを通して世界に発信できるようになった現代。さらにプラットフォームという言葉が当たり前になる中で、生まれるもの、そして消えていくもの。
単純な知識としてではなく、今の自分の仕事はどうなる? ライフスタイルはどう変わる?といったイメージを膨らませながら読むと、読みごたえも十分!
経営学者たちの最新研究を学べる
年の瀬に発売されたばかりのこの一冊は、ポーターやドラッカーといった経営学書に疲れた方にお薦め。ビジネス書によくあるテーマについて、実は世界最先端の経営学者たちの論文や最新の研究ではこんなことが分かっている!という新しい発見ができます。不思議なことに、それらはどれも、私たちが書店では出会えないようなことばかり(「出会えない不思議」の答えは是非本書で)。
成功体験と失敗体験、より成功に近道なのはどっち?これからのリーダーシップに求められる能力とは? など惹きつけられるテーマの中で、それらの問いに対して、最先端の経営学者たちはどんな見解を繰り広げているのか? ということが学べます。難しそうなタイトルに躊躇してしまいそうですが、実際はとても読みやすく書かれているので、ビジネス書ビギナーにもお薦めです。
自分を見つめなおすのにぴったりな一冊
最後の一冊はちょっと毛色を変えて、「暮しの手帖」の前編集長としてお馴染み、松浦弥太郎氏による一冊。そのていねいな暮らしから派生した書籍を沢山出版されている松浦氏ですが、今年の4月にクックパッド株式会社に入社したことでも話題になりました。
『正直』はちょうどその頃に出版された書籍で、松浦氏がこれまで大切にしてきた仕事観や人生観を整理するかのように丁寧に書かれたこの一冊では、『自分の友だちは自分』『「普通」から抜け出す』『「最低にして最高」を知る』『正直親切笑顔』など。松浦弥太郎イズムが詰まっています。
10月に出版された、同じく松浦氏による『ひとりでいること、みんなとすること』も。慌ただしい日々から一度立ち止まり、今の自分が大切にしているものはなにか? そして何を大事に生きていきたいのか? 見失っているものはないか? と、自分自身を振り返るタイミングにはぴったり。
年末年始、ゆっくり流れる時間の中で、現在を知り、未来に触れ、そして自分自身を振り返る。そんな書籍に出会える読書の旅はいかがですか?