■第37回 会社に残るか、起業するか
大手企業に新卒で入って8年目になります。今、大学時代の友人から会社をやらないかと誘われて迷っています。現在の職場は体制が古いため女が出世できる環境ではないため、一生ヒラなら起業に賭けてみようかと思いつつ、現状は世間平均よりは多少給料もいいし、大手企業の社員というブランドもあります。起業して失敗したら、30代無職、下手すれば借金アリなんてことに?と思うと踏みきれません。もともとある会社の看板ではなく「自分」で食べていくことに憧れがあるんですが、そう甘いもんじゃないでしょうか。それとも、勇気を出してみていいものなのでしょうか。(コンサルタント/30歳)
男社会に負けんなよ的な気持ちで応援したいけど…
女性起業家、響きもカッコ良げだし、男社会に負けんなよ的な気持ちからもあなたを応援したい!
でも「そう甘いもんじゃないでしょうか」と言われたら、ほんっと、そう甘いもんじゃないからね!って言うしかないのよね…。
そもそも日本って先進国の中では開業率が最低レベルって言われるくらい低い国なんですって。
そんな起業にチャレンジする人自体が少数派の国の中で、いざ起業したとして、その企業が存続する割合は、なんと1年目で半分以下の40%! 5年目には15%! って世界なのよ。
普通に考えたら、「たったの1年で会社たたまなきゃいけないなんて、事前に計算できなさすぎよ!」ってツッコミたくなるんだけど、ノリノリで始めた会社の6割がたった1年で倒産するというのが、まぎれもない現実。
それに、倒産こそしないまでも、自転車操業でなんとか維持してるレベルの会社も多いから、「成功しました!」と胸を張って言えるレベルでうまく利益を出せる起業って、1%くらいって言われてるみたいよ。
成功率は「イケてる女子100人中1位になる」レベルよ
成功率1%ってすごくない?
女子校3クラス分の生徒全部の中で一番の美人1人だけが選ばれるような競争だって考えたらゾッとするわよね。しかも、起業するってことはそれなりに熱意なり勝算なりがある人たちの中でそれなんだからさ。「アタシそこそこイケてる」って思ってる女子100人の中で1位になるとか、ほんとムリムリムリ。どうしようもないカン違いブス数人くらいにしか勝てる気がしないわ…。
その上、あなたの場合は「友人から誘われて」ってパターンなわけでしょう。
誘われた後で、あなた自身がどれくらい本腰を入れるかにもよるけど、その誘ってくれた友人がどの程度のタマかってのが重要なのよね。
彼がマーク・ザッカーバーグや孫正義さんくらいのものすごい人物だったら、そりゃ付いてくべきだろうけど、そんなのがゴロゴロいるわけはないから、1年で倒産する6割の側に入ってる可能性も高いわけ。
だから、まずはその友人の起業に対する意識や環境をしっかり見極めないとね。たとえば前職なり血縁なりのコネで、起業した後のクライアントが最低限確保できそうな話なのか、とかさ。
憧れとほしいものが絞りきれてない
あと、「今は大手企業の社員というブランドがある」捨てがたさと、「会社の看板ではなく『自分』で」という憧れと、短い相談文の中で、欲しいものが絞り切れてないのが伝わってきて、頼りないのよね。99人のが力尽きていく中で1人のサバイバーになれるかってバトルロワイヤルに挑む前に、そんな当たり前の「どっちがいいかな〜」を悩んでるようじゃ心配だわ。「給料が安くなっても、大会社の看板を失っても、アタシという女一人の力で食っていきたい!それこそが我が天命なりッ!(稲妻)」とか宣言できた上で死に物狂いにならないと勝てない世界だと思うけど?
てなわけで、「友人から誘われた」起業話に迷ってる今のあなたの言葉からは、ただでさえ失敗する可能性が高い過酷なコースを生き抜けるバイタリティが伝わってこないから、アタシはおすすめしないわ。
大企業のブランドを使ってコネ作りから始めたら?
それでも憧れの「自分」看板を立てたい気持ちがあるのなら、まずは今の「世間平均よりは多少良い給料」と「大手企業の社員というブランド」というありがたい環境を利用して、本気の起業につながる勉強やコネ作りをするところから始めたら?
そこであなたなりの覚悟が固まって、いつかカッコいい女社長になれたら、アタシの店でパーっと飲みに来てね〜!