カルビー株式会社「フルグラ」インタビュー(前編)

カルビーを業績好調に導いた「フルグラ」 年商5倍の逆転劇とは

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カルビーを業績好調に導いた「フルグラ」 年商5倍の逆転劇とは

食品会社「カルビー」の業績が好調だというニュースが、ここ数年よく見られるようになった。2015年3月期には、6期連続で最高益を更新したことを発表。快進撃と言える状況だ。

カルビーは「かっぱえびせん」「じゃがりこ」などのスナック菓子も有名だが、近年はシリアルの「フルグラ」もお茶の間に広がり、業績アップを支える大きな商品となっている。

今でこそ売上が200億に迫る「フルグラ」だが、最初から消費者に受け入れられたわけではない。発売当初と比較すると、年商は実に5倍だそうだ。売れ行きが伸びなかった頃は「もうグラノーラ事業をやめようか」との声も社内から上がるほどだったと、フルグラ事業部 1課 課長・網干弓子さんは明かす。そこから今の地位を築くまでに、カルビーはどんな戦術を練ったのか。(編集部)

売り上げ低迷も「おいしい」を信じて邁進

——今年の7月にパン、シリアル類の売り上げランキング1位を獲得した「フルグラ」。最近では「朝食はフルグラ」という声をよく耳にするようになり、朝食の新定番というイメージでしたが、意外にもフルグラの歴史は古いと聞いて驚きました。

網干弓子(以下、網干):はい、初めてフルグラが登場したのは1991年。当時は『フルーツグラノーラ』の名前で、シリアル市場の一角という位置づけで販売していました。でもなかなか売れ行きが伸びず悩んでいたんです。

グラノーラ事業をもうやめようという声が上がる一方で、社内では「でもやっぱり美味しい!」という意見で一致。それから若い層、単身者をターゲットにして営業と販促に力を入れることにしました。すると10億円前後だった売り上げが30億円へとアップ。これが97年頃の話で、フルグラの第一次成長と呼んでいます。

——海外から来たという目新しさやオシャレさがウケたのでしょうか?

網干:そうですね。それまでのシリアルはコーンフレークを代表として子供向けイメージが強くありましたが、おしゃれで栄養バランスもよい、そんなハイブリッドな食品だということを伝えた結果、若い層にヒットしたんだと思います。

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網干弓子さん

シリアル市場を抜け出して朝食市場をターゲットに

――その後も売り上げはぐんぐん延びて、2011年には37億円を突破。第二次成長へと入るわけですが、そのときの戦略は?

網干:第一次成長後に、りんごやいちごなど日本人好みのフルーツを追加し製品をブラッシュアップ、さらに2011年に「フルグラ」に改名しました。それを機にシリアル市場から抜け出し、朝食市場をターゲットにすることにしたんです。

——それは「フルグラ=シリアルの一部」という世間の認識を変えて、パンやご飯と同じように朝食メニューのひとつとして捉えてもらうということですよね。

網干:はい、当時シリアル市場は約250億円。その中で30億円を売り上げるフルグラは決して売れていない商品ではなかったのですが、そこで留まらず17兆円とされる朝食市場にエントリーさせたかった。というのも、その当時世の中は朝活ブーム。朝食に注目が集まり始めた時期でもあったので、この時期を逃す手はないと考えました。フルグラが朝食を見直すきっかけになれるのではないか、まだまだ可能性があるのではないか、そう考えて市場を捉え直すことにしたんです。そこからフルグラを100億円ブランドにすることを目標にマーケティング活動をスタートしました。

目指すは「第三の朝食」としてのゆるぎないポジション

網干:まずはターゲットを若い層から主婦層へと移し、フルグラを朝の食卓に上げてもらうための工夫をすることに。そこで考えたのが『お友達作戦』です。いきなりフルグラを主役にしてもらうのではなく、朝食のお供にフルグラはいかがですか? パンケーキやオムレツと一緒にどうでしょう? という脇役に徹する作戦でまずは使ってもらうことを意識しました。

——その作戦で手応えを感じたのはいつですか?

網干:ヨーグルトと合わせたことが転機でした。朝食のお供にヨーグルトを選ぶ方は多いのですが、その大半がジャムやフルーツなどと食べるのが一般的。そこにフルグラを混ぜてもらえないかと思ったんです。あくまで主役はヨーグルトで、フルグラはヨーグルトのお友達として訴求することにしたのですが、それが大成功。ヨーグルトの乳酸菌とフルグラの食物繊維の相乗効果などもプラスとなってフルグラの価値も上げることができました。

——たしかにヨーグルトだけを食べるより、フルグラを入れた方が食感も楽しいし、おいしいです!

網干:まさにそこが大きなポイントです。従来シリアルやグラノーラは栄養や健康のために食べるものというイメージですが、おいしいから食べるという意識に変えて欲しかった。とくに朝ご飯は固定メニューにする方が多いと思うので、美味しくなければ毎日食べてもらえません。カルビーはこれまでも日本人の口に合う食品を開発してきました。その強みを活かして美味しさを追求してきたことで、ご飯やパンと並ぶ定番メニューとなれたのではないでしょうか。

「朝食茶屋」で新たなターゲット層を開拓

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「朝食茶屋」の様子

——今年は先日まで浅草で行われていた『朝食茶屋』でも和とコラボしたフルグラが話題になっていましたね。

網干:まだフルグラをご存知ない方に知ってもらうためのイベントとして、去年も「朝食屋台」をオープンさせたのですが、今年は『和』をキーワードに新しい朝食のスタイルを提案させていただきました。8月31日に発売されたフルグラ初となる和のグラノーラ「黒豆きなこ味」をベースに菊乃井主人、村田吉弘氏監修による「和グラ」セットを無料で配布。男性やシニア層などからも「新しい発見」「親近感が持てた」と好評を頂き、ターゲット層を拡大する一歩になったと思います。今後も認知度アップを狙いながらもリピーターのニーズに対する商品やサービスを提供していきたいと思っています。朝食のことを一番に考える企業でいたいですね。

【後編はこちら】カルビーが多様な働き方を推進する理由「社員の待遇アップは、最も大事な投資」

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