同性愛者で知られる有名な芸術家
こんばんは、ヒロコです。
私はレズビアンであるということを「芸術家には多いっていうものねえ…」なんて慰めなのか同情なのか感嘆なのかわからないことを囁かれます。
因みに人生で言われた衝撃ベスト1は「芸術家でレズビアンなんて絵がとってもうまいんでしょう!」でした。流石の私もその時は「私のデッサン、先生に無言でスケッチブック閉じられたことがあるよ?」なんて口が裂けても…言え…なかったよ…。
なんだか誤解が多い芸術界隈。では実際に本当に芸術家にゲイやレズビアンって多いのでしょうか?
同性愛者といわれている芸術家で有名なのはフランシス・ベーコン、アンディ・ウォーホール、内藤ルネ、あとは皆さんも大好きなムーミンの作者、トーベ・ヤンソンも同性のパートナーと二人で小さな島で暮らしていました。
ムーミンの作者は同性パートナーと生涯を過ごした
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンはとても長い年月を、同性のパートナーであるトゥーリッキ・ピエティラと二人、電気もガスも通っていない小さな島で暮らしました。
彼女は生涯自分自身のセクシャリティを「レズビアンである」とは明言していません。
しかし、トゥーリッキとの関係は大統領パーティーで、同性である彼女をパートナーとして出席したり、小説の中にもトーベとトゥーリッキなのでは、と思われる女性2人が仲睦まじそうに小さな島でボートを漕いだりしている描写が描かれています。
彼女のセクシャリティは、彼女が亡き今、誰も知ることはできないですが、一人の女性をパートナーとしてとても大切に生涯を過ごしたことがうかがえますね。
フランシス・ベーコンはゲイをオープンにしていた
さて、皆さんベーコンって聞くと何を思い浮かべますか? 大抵はあのピンク色の加工食品の方を思い浮かべると思うんですけど、実はベーコンという名の「ピカソを超えた」と称される、とても偉大なゲイの画家がいるんです。
彼の名前はフランシス・ベーコン。まだ同性愛者に対する風当たりが強い20世紀に、ゲイであることをオープンにして生きていた芸術家です。
彼は幼い頃から自分のセクシャリティがゲイであることに気がつき、退役軍人であった父親に家を追い出されます。しかし後に画家として大成し、生涯に渡り沢山の恋人と濃密な時間を過ごします。
彼の恋人の一人であったジョージ・ダイアーという男性とのエピソードに、こんなものがあります。
ジョージはベーコンの元にある日突然、アトリエの天井から落っこちてきました。ジョージは彼の家に盗みに入った泥棒だったのです。しかし、その美しさに一目惚れたベーコンは、「ベットにおいで、ほしいものはなんでもあげる」と言い、彼を恋人にします。
……何これ。かっこ良すぎません? 私も言ってみたいんですけど。因みに私は数年前ノンケの女の子を飼っていましたがある日突然逃げられました。甲斐性、ゼロです。
ちなみにベーコンの作品は、見る人によって好みがはっきり分かれると言われています。見る人をそのまま覆いかぶさるように「痛み」や「苦しみ」で襲いかかってきます。皆さんは、ベーコンの作品を観たとき、一体何を感じるでしょうか? この記事を読んで、少しでも興味を持っていただければ幸いです。
こうしてみると、ゲイやレズビアンの芸術家は、結構な数、いるように感じますよね。
けどそれって本当に「芸術家」だからゲイやレズビアンが多いのでしょうか? それともゲイやレズビアンは芸術の才能がある、なんて夢みたいな話が本当にあるのでしょうか?
LGBTは抑圧を作品にぶつける
LGBTの人々は長い間人と違うセクシャリティを持つ自分に対して酷い自己嫌悪を持つことが少なくありません。それに加え社会的にも抑圧された状態が続くことでどんどんフラフトレーションが溜まっていきます。
私自身もそうでした。自身のセクシャリティをカミングアウトするまでは、てきとうな男の子の名前を口に出して恋バナという女子のコミュニケーションツールに混ぜてもらう。そんな自分に嫌気が刺した日や、好きになった女の子に気持ち悪がられたりなんかした日には、自分がどうしようもない存在に思えて、一人泣きながら家に帰ったりしたものです(因みにその日の帰り道、おたまじゃくしのはびこる池に落ちて更に死にたさレベルは一気に20アップ)。
けど、私はカミングアウトをきっかけに、レズビアンと言っても誰も私を刺してこない! という驚くべき事実を知ってから、一気に作品の方にも力が出てきました。
今まで数十年間貯めてきた抑圧が、解放された時、それを芸術に向けて花開くLGBTの人もいるのではないしょうか。
そして前回も少し触れた言葉に「芸術家は常に自分のセクシャリティに対し正直でなくてはならない」というものがあります。
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この言葉をすこし詳しく考えてみると、「自分に嘘をついてはいけない」自分についてどこまでも正直に、どこまでも深く考え抜かなければならない。そうした時に、自分自身のセクシャリティについて考えるキッカケを得るのではないでしょうか?