
事務局で購入できる商品の一部。ジュードを使った製品の取り扱いは1974年にスタート。日本でも最も早い時期にフェアトレードを開始した。オンラインショップ「クラフトリンク」からも購入できる。
現在、日本では400以上ものNGO(非政府組織)が国際協力活動に取り組んでいる(外務省ホームページより)。バングラデシュやネパールなど南アジアを中心に、経済発展や開発から「取り残された人々」を支援している「特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会」(以下、シャプラニール)もそのひとつだ。1972年から息の長い活動を続けているシャプラニールは、日本のNGOの先駆け的存在。児童労働の削減・就学の支援や防災教育、フェアトレード商品の販売などを行うほか、書き損じハガキや本など身の回りのものを捨てずに海外協力に活かす「ステナイ生活」などに取り組んでいる。また、それらの支援活動の背景を学び、「ステナイ生活」のボランティア作業に実際に参加できる体験会も不定期で開催。その取り組みをのぞいてみた。
バングラデシュは働く子どもが約42万人
東京都内にあるシャプラニールの事務所。入口の周辺には、カラフルで温かみのある素材を多用した手工芸品が陳列されている。シャプラニールが扱うフェアトレード商品の数々だ。
近年、すっかり耳になじむようになった「フェアトレード」(開発途上国の原料・製品を適正な価格で継続的に購入する貿易の仕組み)という言葉。この日参加していた30代の女性は、習い事やグルメなど「おひとり様仕様」のさまざまな体験を提供するウェブサイト「ソロモーノ」を通してこの体験を知り、以前アルバイトしていたカフェでフェアトレード商品を扱ったことから、「自分にも何かできれば」と関心を持ったという。
集まった参加者は、まずバングラデシュやネパールでの活動内容、現地の児童や女性たちの労働環境などに関するレクチャーを受け、ここに並ぶフェアトレード商品が生まれる背景を理解する。
シャプラニールの渉外/ステナイ生活担当、上嶋佑紀さんによると、バングラデシュでは、家事使用人として働く子どもが約42万人いるといわれており、そのうち首都ダッカで働く14万人のうち、女児の割合が80%に上るという。そうした少女たちは月に数百円という低賃金で働かされ、雇用主から暴力やセクシャルハラスメントを受けるケースも多い。
フェアトレードはいちばん身近な海外協力
子どもが働かされる社会の裏には貧困がある。シャプラニールが行うフェアトレード活動「クラフトリンク」は、バングラデシュやネパールの女性たちが作った手工芸品を日本で販売。現地パートナー団体と協力し、適正な賃金と整備された労働環境のもと、継続的な発注を行って生産者の生活改善を目指している。
一般的にフェアトレード商品は割高という印象を持たれがちだが、上嶋さんは「クラフトリンク自体はギリギリの利益しか得ない価格設定になっています」と説明する。それは一重に生産者に適正な賃金を支払い、運営を維持するため。私たちが行う「ちょっと多めの出費」は、貧困国の女性たちが仕事を通して社会とつながり、尊厳を得ることを手助けする、一番身近な海外協力なのだ。
次回はもう一つの身近な海外協力である「ステナイ生活」のボランティア作業をレポートする。
>>>後編に続く
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特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会