セクシュアル・マイノリティーズとの付き合い方について、短いストーリー形式で考える連載「LGBTsさんといっしょ。」私こと「まきむぅ」と、私の妻である「モリガ」との会話をもとにお送りします。おしゃべりする気分でいっしょに考えていきましょう。
今回のテーマはこちらです。
Q.「自分はバイだ」って言ってた友人が、この間異性と結婚したんです。もうバイじゃなくなったってことなんでしょうか? 異性愛者のフリっていうか、無理して偽装結婚みたいなことしているんじゃないかと心配しています。
バイが結婚することは、なんにもおかしいことじゃない
まきむぅ「それ、単にアンジェリーナ・ジョリーなんじゃない?」
モリガ「……………………えっ??」
まきむぅ「いや、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの結婚みたいなものなんじゃない? ってこと。バイが結婚することは、なんにもおかしいことじゃないわよ。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーは、昔モデルで女優のジェニー・シミズとお付き合いしていて、そのあとブラッド・ピットと結婚したでしょ」
モリガ「彼女、バイなんだっけ?」
まきむぅ「うん。テレビ番組で『バイなの?』って聞かれて、『もちろんよ!!』って答えてる(※1)」

イラスト:小池みき
まきむぅ「『男性の魅力も女性の魅力もわかる』っていう彼女自身のあり方が、結婚によって変わるわけじゃないじゃない? 『自分はバイだ』って考える人が特定の人と結婚するのは、なんにもおかしいことじゃないのよ。相手の性別にかかわらずね」
モリガ「ブラピとアンジーが素敵な女優さんを見て『あの子カワイイよね~!』って一緒に盛り上がったりするの、それはそれで仲良し夫婦だもんね」
まきむぅ「スケールのでかい話ね……」
※1 アメリカのテレビ番組……2003年、ABCで放送された番組「20/20」。アンジェリーナ・ジョリーは、当時司会者だったバーバラ・ウォルターズに「バイなの?」と聞かれて「もちろんよ!!」と答えている。
「誰でもイケるってこと?」バイに対するありがちな勘違い
まきむぅ「そもそもバイセクシュアル(両性愛者)っていうのは、言葉の上の意味で言えば『男性、もしくは女性を恋愛対象とする可能性がある人』のことなのね。カリフォルニア大学のLGBTリソースセンターは、9月20日~26日の『バイセクシュアル啓発週間(#BiWeek)』に合わせてこんなことを書いています」
バイセクシュアルに対するありがちな誤解
×人間は、最終的には同性愛者と異性愛者のふたつに分かれる。
×バイだっていう人は、異性との結婚に逃げたいだけで、本当は同性愛者だ。
×バイは淫乱で、誰とでもセックスしたがる人たちだ。
(http://www.csuchico.edu/ttf/8.5x11biphobic.pdfより要約)
まきむぅ「こういう『人間は同性愛者と異性愛者のふたつに分かれるはずだ。どちらかひとつを選べない人は劣っている』みたいな考え方のことを、英語で『モノセクシズム(Monosexism)』って言ったりするのよ」
モリガ「それは個人の価値観であって、他人に押し付けるものじゃないよね」
まきむぅ「うん。あと『男の魅力も女の魅力もわかる』っていうことは、『男とも女とも同時に付き合う』とか『誰とでも寝たがる』ということを意味しないわよね」
モリガ「人間、好みのタイプってものがあるもんね……」
まきむぅ「とにかく、バイセクシュアルの人が自分をバイセクシュアルだと認識したまま結婚するっていうことは、全然おかしいことじゃないからね。そもそもすべての結婚が恋愛結婚だとは限らないし、人それぞれってことでいいんじゃないかなぁ」
今回のまとめ
×「異性としか付き合ったことがないんだから、バイじゃなくて異性愛者でしょ?」
×「どっちもイケるんだったら、異性と付き合って異性愛者になったほうがいいよ」
×「異性と結婚したんだから、異性愛者になったんだよね?」