9月17日に『バナナあ〜と バナナの正しい彫り方』を上梓したバナナ職人の赤井稲妻さん。今回は、筆者でもバナナが彫れるのか赤井さんにレクチャーしてもらいました。
【前編はこちら】バナナに水着の女の子が出現! ネットで話題の「バナナ彫り職人」に話を聞いてみた
いきなり彫るのはまだ自信がないので、まずは赤井さんのお手本を見せてもらうことに。彫ってもらうのは、バナナからのぞく二人のおじさんです。バナナを彫る際は、皮を全部は剥かずに後ろだけ残し、指で支えます。こうすることでバナナが安定し、作業中に折れにくくなるそうです。
さっそく彫っていく赤井さん。使っている道具は爪楊枝1本のみです。バナナにどんどんリアルなおじさんの顔が彫り進められていきます。
って、爪楊枝を舐めた!? そう、バナナを彫っていくうちにバナナの果汁やカスが爪楊枝にまとわりついていきます。それを食べながら彫っていくのが赤井流。
「あまり見ていると、舐め回したバナナのように思えて気持ち悪くなるので、見ない方がいいですよ」と、赤井さん。少しでもバナナをムダにしたくないというバナナへの愛を感じます。
ものの10分で、バナナの中からのぞく2人のおじさんが完成しました。目や顔の凹凸が非常にリアルです。キモかわいいという言葉が似合いますね。
さあ、次は筆者もチャレンジ。初心者でも彫りやすいデザインを相談してみると、トウモロコシがわりかし易しいということで、トウモロコシを彫ることに。
皮をカッターで剥いたら、爪楊枝で縦に3本ラインを彫ります。バナナは柔らかいのでそんなに力を入れなくてもいいのかと思いきや、深めにラインを入れなければはっきりとしたラインになりませんでした。
縦にラインを入れたら次は横にもラインを入れていきます。横のラインを入れることでトウモロコシの粒が表現されます。「横線は均等ではなく、大きさが違った方がリアルになりますよ」という赤井さんのアドバイスをもとに、彫っていきます。彫っていると、爪楊枝にバナナの削りカスがついてきました。赤井さんは舐めていたけど……一瞬ためらった後、思い切って爪楊枝を口へ持っていきぺろり。すると、一度舐めるとためらいがなくなりました。そう、食べながら彫り進めていかねばならないのです。
横のラインを全部引いたら、トウモロコシの粒をリアルに見せるため、一粒一粒の粒の角を取っていきます。「まだトウモロコシに見えませんね……」と漏らしたところ、赤井さんから「トウモロコシになる、トウモロコシになると念じながら彫ってください」と言われました。トウモロコシになるよう、強く念じながら彫ります。
時おり赤井さんの手を借りながらも、なんとかバナナで彫ったトウモロコシが完成。
達成感に包まれつつも、これ、どうしよう……と思った結果、そのまま皮をむいておいしくいただきました。
実際にバナナ彫刻にチャレンジしてみると、彫っている最中はただただ無心になれました。爪楊枝さえあればできるバナナ彫刻。ごく普通のバナナでも、食べる前に彫刻をすると、彫って楽しい・食べておいしいという一石二鳥を得られそうです。