アラサー女芸人「すごい論」インタビュー(前編)

可哀想でコアラのマーチが食べられない 日本一生きづらいアラサー女芸人「すごい論」の日常

可哀想でコアラのマーチが食べられない 日本一生きづらいアラサー女芸人「すごい論」の日常
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すごい論岡田萌枝さん

岡田萌枝さん

潔癖症、確認症、ベジタリアンetc……、生きていく上であまりに“NG事項”を抱えすぎている女芸人がいる。お笑いコンビ「すごい論」の岡田萌枝さんだ。自宅以外のトイレには入れず、扉が閉まったかどうかを心配しすぎてドアノブを壊すほど確認。動物の絵が破壊されることに恐怖を抱くため、コアラのマーチが食べられない。こういった症状について自らテレビなどでネタにし、あっけらかんとしているが、その生きづらさは想像を絶するものであるはず。

取材当日、現場に現れた岡田さんは、棚に置いてあったアヒルのぬいぐるみを見つけるやいなや手に取り、抱き始めた――。

取材開始直後にぬいぐるみに関心

岡田萌枝さん(以下、岡田):あ、このアヒルのぬいぐるみ。抱っこしていてもいいですか?

――? はい、いいですよ。

岡田:アニマルセラピーという療法があるのですが、それに近いもので、こうして撫でていると落ち着くんですよ。

相方・寺田友葉さん(以下、ともは):劇場とか、仕事現場でもいつもぬいぐるみを見つけたら触りに行くよね。

岡田:そうそう。小道具のぬいぐるみとか。先輩には「何やってるん?」って怪訝な顔をされることもありますが(笑)。あっ……!(撫でていたぬいぐるみを、手を滑らせて落としてしまう)……あ、すみません。私が抱えている症状の一つに、動物の絵が破壊されることに恐怖を感じる、というものがありまして。今のは“破壊”まではいっていないですが、落としてしまって、痛くないかな? って今少し不安になっています。

――そうなんですね。その症状は「潔癖症」みたいな名前はついているのでしょうか?

岡田:いえ、これは私特有のものでほかに例がないみたいです。名付けるとしたら、「動物画破壊恐怖症」とかなのかな。コアラのマーチとかは食べられないですし、パッケージに描いてあってそれを破かなければならないのもダメです。そのパッケージが捨てられて焼却炉で燃やされることを想像したら、辛い……。

すべてひっくるめると、「強迫性障害」なんです。そのカテゴリの一つに、「動物画破壊恐怖症」や、「潔癖症」、「確認症」、なんかが含まれます。ほかにも、私特有の症状はいくつか持っています。

――例えばどんなのがあるのでしょう?

岡田:例えば、相方は自己管理が苦手で遅刻が多めなのですが、相方の遅刻に対して異常な恐怖を抱いて、仕事がなくなる! などとストレスを溜めてしまう。名付けるなら、「相方遅刻恐怖症」といったところでしょうか。強迫性障害って、強迫行動(潔癖症ならば手を洗うなどの行動)をすると症状が悪化するんです。だから、相方に対して「起きた? 遅刻しない?」と心配してしまうとダメなんですよね。

ともは:なので、自分で目覚まし時計を増やして気を付けるようになりました。

たとえゴキブリでも「死」が怖い

すごい論岡田さん、寺田さん

岡田萌枝さん、寺田友葉さん

岡田:あとは、「死」に関する恐怖症もあります。自分が死ぬことが怖いんじゃなくて、自分以外の生き物が死ぬことが怖いんです。虫ですら死んでほしくない。普通は、死んでいるゴキブリを見たら「死んでた、良かった」ってなりますよね。私は生きているゴキブリのほうがいいんです。「生きてる、良かった」って。葬儀場の近く、火葬場の近く、お墓、遺骨など死を連想させるものも怖いです。物心ついた頃から死に対する恐怖はあって、「お父さん、お母さんはいつか死ぬんでしょ」って急に泣き出したこともありました。

――ほかの症状も幼い頃からですか?

岡田:いえ、最近になって自覚したものも多いです。潔癖症なんかは明確に気付いたのは高校生くらいですね。それまでは、なんかトイレ行くの辛いな、とぼんやり思っていた程度で、病気として捉えていませんでした。もちろん、知らないうちにストレスを溜めていたとは思いますが。

――先ほど床に落ちたアヒルのぬいぐるみを拾ってらっしゃいましたが、そういうのは大丈夫なんでしょうか?

岡田:床は大丈夫なんです。砂とかも触れます。床とか地面って、自然のものだから、自然界の菌が汚れを分解してくれるイメージがあって。落ちたものを拾って食べるのも平気。一般的な潔癖症でよくある「他人と同じお皿の食べ物をつつけない」とかもありません。私の潔癖症はわりと特殊だと思います。とにかくトイレがダメで、行けるのは基本的に自宅のトイレだけ。外で行くとしたら、デパートとかのキレイなトイレがギリギリ行けるラインです。

【後編はこちら】強迫性障害をいじりネタに 女芸人が自らの弱点を”笑い”にする理由

編集協力:プレスラボ

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