長続きカップルに学ぶ共同生活のくふう 大泉りかの「ふたり暮らしリアル」最終回

彼氏と一心同体は幻想 他人と同棲して失敗しないための基本の心得

彼氏と一心同体は幻想 他人と同棲して失敗しないための基本の心得
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同棲生活で一番に優先することとは?

最終回 パートナーは他人である

ともに暮らしているパートナーのことを「誰よりも知っている」「自分は理解者である」と、誰もが考えていると思います。が、実は一番近くにいても、他人である。その基本を忘れてはいけないのかもしれません。

経営の才能のない社長の妻がビジネスセミナーで変身

というのも、わたしの知り合いの話ですが、ある中小企業の社長の息子と結婚した女性がいました。数年の後、社長は引退し、自分の伴侶がその後を継ぐこととなったのですが、しかし、田舎の長男坊であるその伴侶には、どうみても経営の才能はありません。「このままじゃ、この会社は立ち行かなくなる……!」、そう思ったものの、その女性にしても結婚前に数年のOL経験があるのみ。しかし一大決心して、新幹線で東京まで通いビジネスセミナーを受講、その過程で知った自己啓発セミナーに感銘を受けて、気が付けば週に一度は東京に来るようになっていました。

さて、驚いたのは田舎に残された彼女の夫。東京に行く度にポジティブさが増し、目にキラキラという光りが宿っていく自分の妻が、まるで見知らぬ他人のように思えたそうです。おまけに、気が付けば「腐らない水」だとか、「部屋に撒くと空気が浄化される酢」だとかが家にどっさりと届くようになり、その上、会社関係者にも売りつけている。どうすることもできないまま、しかし、一方では、ビジネスセミナーで取得した妻の経営技術でもって会社は安泰に。まさか見合いで結婚をした際に、妻がこんな変身を遂げるとは思ってもいなかったそうですが、まだ離婚せずに穏やかに続いているのですから、よそ者のわたしが口を出す話でもありません。

授かり婚はゴールでなかった

ただ、これはパートナーが変化しても、たまたまパートナーシップは変化しなかった例であり、不幸な道を辿ることになってしまったカップルも事例もあります。

長年アルバイトで糊口を凌いできたものの、生活の先行きが見えないことに、シンドさを覚え始めた20代後半の女性が、たまたま知り合った男性と、授かり婚をすることとなりました。ようやく人生のゴールに辿りついた……わけもなく、そこからは“自分の想像していた素敵な家庭”とは違う、庶民的な慎ましい暮らしが待ち受けていました。

サラリーマンの夫の給料では、自分の望む生活はできない。かといって、小さな子供を抱えて働くことも叶わない。なにか手に職さえつけていれば、と思っても後の祭り。それでも、なんとかパートを見つけ「子供が手を離れるまでは耐えよう」と納得のいかない時給で働いていた矢先、パート仲間にとあるアルバイトに誘われました。

そのアルバイトとは「年齢・学歴・職歴等一切関係のない誰が初めても同じ、フェアな仕事」。その文句に惹かれて美顔器やサプリメントの販売を試みたものの、なかなか上手くは売れない日々。優雅な生活を送っている独身の女友達には「そういうのは、ちょっとね」と冷たく断られ、夫は「家のことがおろそかになっている」と不機嫌さを隠さない日々。

そんな、思うような生活のできない不満の矛先は夫へと向かい、やがて子供を連れて疾走、後日、夫のもとには弁護士を通して精神的・経済的DVを理由に離婚の調停を求める書面が届いたとのこと。この一連の騒動を間近で見ていたわけですが、いったい誰がこんなことになると、想像していたでしょう……。

「パートナーと一心同体」は幻想

たまたま例にあげたふたつは女性が激しく変身を遂げたように見えますが、しかし、もちろん、男性が“見知らぬ人”のように変わってしまうケースもあります。

恋人の男性と同棲していたところ、相手方が欝を患い、仕事はおろか、「朝起きて夜寝る」という日常生活も不可能に。いい加減に家を出ていって欲しいけれど、貯金も職もない相手を追い出すこともできず、ただひたすらに「別れたくない」と泣きつかれる日々。病院へ通っても、一向によくなる様子はなく、また情を考えれば、見捨てることもできない。彼女はいまだ、その男性と暮らしています。

「急に優しくなくなった」「突然、わたしのことをバカにするようになった」「お金の使い方に対して過剰に口を出すようになった」「しゃべってくれなくなった」「ものすごい剣幕で怒鳴るようになった」「殴るようになった」etc、パートナーの豹変を目撃すると、今まで信じてきたものが突然崩れ、足元がぐらつき、何を信じればいいのか、わからなくなるものです。

しかし、一心同体だと思い込んでいたことこそ、幻想だとすれば、自分とパートナーのためにできることは、おのずと決まってくるものだと思います。一番目に自分の幸せ、二番目のパートナーの幸せ、と優先順位を決めて、時にふたりで、またある時にはひとりで、幸せな人生を渡っていきたいものです。

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