第9回 家計の分担問題
結婚をして夫婦となった場合には、家計を同じにするのが一般的とされていますが、同棲の場合は家計を別にすることが多いそうです。しかし、家計を別々にしていたとしても、なんだかんだと金銭的な問題が生じるもの……というわけで、今回はふたり暮らしの家計問題について考えてみたいと思います。
家計を一緒にするのはやめたほうがいいかも
カップルで暮らす場合、2人で使うお金を管理する方法は何通りかあると思います。
ひとつは毎月それぞれが決まった金額を家計に入れて、その中でやりくりをするいわば“共同財布方式”で、もうひとつは、家賃は相手、光熱費はこちら、日常生活品は……というふうに項目別に分ける“項目別分担方式”です。もちろん、完全にすべての収入を合致させ“家計を同じにする”という方法もありますが、夫婦であっても離婚が珍しくない昨今、後々揉めるリスクを考えたら、基本に準じて、会計は別々にしておいたほうがいいかもしれません。
もちろん、「家計を一緒にするメリット」もないわけではありません。やはり家計はひとつにしたほうが、互いの無駄遣いが減り、貯蓄がしやすいという点もあります。ただし、「一緒に住むことを決意したパートナーが信頼できない……」というのは非常に悲しいことですが、男女の別れ際というのは、相手の思いも寄らない本性に触れることがあります。
わたしが知っている限りでも、女性側の心変わりで別れを切り出された男性が、腹を立てて共有の貯金を全部持っていったケース、それどころか家にあったブランド品までも売っぱらってしまったケースがありました。女性側に「一緒に住むまでしたのに、心変わりした」という負い目がある以上、「これで綺麗さっぱり別れられるのなら……」と泣く泣く諦めた、という事例も多くはないものの、数件は目撃しているので、近い将来、入籍することが決まっていたり、「〇〇円まで溜まったら結婚をする」という目標がない限り、家計を一緒にするのは、やめておいたほうがいいかもしれません。
共同財布方式と項目別負担方式
さて、では、“共同財布方式”と“項目別負担方式”のどちらがいいか、というと、それは個々のカップル次第としかいいようがありませんが、それぞれのデメリットとメリットをご紹介したいと思います。
“共同財布方式”の場合は、おおよそ掛かるお金を予想して、それぞれの取り決め分を財布に入れるため、不公平感が出ないというメリットがあります。デメリットは、カップルのうちのどちらかが、財布の管理をしなくてはならないところで、例えば、臨時の出費があったり、少し贅沢しすぎるなどして、その月の生活費が足りなくなった場合、管理する側が「自分のやりくりは下手くそなのではないか……」と思い悩んだり、また、共同財布の中身を気にすることなく、生活費を無駄遣いしようとするパートナーにイライラを覚える可能性もある、ということです。
一方で“項目別負担方式”の場合は、どちらかが、何かに特に拘りを持っている場合はメリットのある方法だと思います。例えば、「食材だけは、少し高くてもオーガニックで安全な食材を使いたい」という希望がある場合などは、その拘りがあるほうが食費を負担すればスムーズです。片方が「冷暖房は潤沢に使用したい」というなら、そちらが電気代を負担する、という振り分けです。ただし、デメリットとしては、お金にだらしのないパートナーの場合「今月苦しいから、立て替えておいてくれない?」という申し出をしてくる場合があること。酷い場合は、なし崩し的に「毎月、すべて自分が払っている」という自体に陥ることも……。
いくら楽しい生活を送りたくとも、無い袖は振れぬ、というのが現実。きっちりと話し合い、「自分ばかりが負担している」と思わないで済む生活パターンを構築したいものです。