厚生労働省の「人口動態統計」に記載された初産平均年齢が、統計開始後初めて30歳を超え「30.1歳」になった。最近では30代の妊婦はまったく珍しいものではなく、40代・50代で出産する著名人もチラホラと報道されている。2013年にラジオパーソナリティの坂上みきが53歳で出産、2011年に野田聖子議員が52歳で出産したことは記憶に新しい。
その一方で、「本人の努力次第で、超高齢妊娠・出産も可能になる」と希望を持つ女性に警鐘を鳴らすのが、オーストラリアのウェブサイト『マンマ・ミーア』に掲載された記事
「このセレブは49歳で出産したけれど、あなたもできるとは限らない」だ。アメリカセレブの超高齢出産事情を探ってみよう。
相次ぐセレブの超高齢出産は、自然妊娠ではない?
(以下、抜粋して翻訳)
アメリカの女優、ローラ・リニーが出産したというニュースが飛び込んできた。45歳の時に結婚した夫との間に、49歳で第一子を出産。他にも、2013年にはハル・ベリーが47歳で、ジョン・トラボルタの妻ケリー・プレストンが48歳で出産している。さらに、スーザン・サランドンやマーシャ・デイビスなど、40代後半で出産したセレブリティは数え上げればきりがない。
相次ぐセレブの超高齢出産に対し、ビバリーヒルズの医師は「外見が美しいセレブリティは、私たちとは違う、というわけではないのです。子宮や卵子も年を取ります。相応な加齢を重ねた子宮と卵子により、40代後半で自然妊娠する確率は極めて低い」という。
「体外受精でも45歳以上での成功例に出会ったことがない」
「母体が加齢すれば、卵子も同じように加齢します。卵子の加齢は妊娠率を低下させる上、流産の確率や染色体異常の確率が顕著に高くなります」と語るのは、ブリスベンの産婦人科医、ブラッド・ロビンソン。体外受精でも年齢が大きな壁なのだという。
「もしも雑誌に掲載された『セレブリティの妊娠のニュース』と同じように、妊娠できなかった女性たちの記事を掲載するとしたら、イエローページの厚さになるでしょう。有名人の奇跡の妊娠は、女性にとんでもない期待を与えてしまっている。実のところ、体外受精であっても、45歳以上での成功例に私は出会ったことはない」とオーストラリアのリック・ポーター医師は語る。
40代後半の妊娠は、卵子提供を受けている可能性が高い
「だからといって、解決策がないわけではない。体外受精では、卵子が一番の問題なのです。45歳の女性が自分の卵子を使って体外受精した場合、着床率は3%を切る。しかしもしも健康で若いドナーの卵子を使用した場合、(10倍以上の)40%に跳ね上がるのです」(ポーター医師)
40代終盤といえば、一般の女性たちが閉経を迎えるころ。同年齢で出産しているセレブリティたちは、やはり卵子提供を受けている可能性が高いと推測できる。
セレブリティであろうとも、妊娠・出産という個人的な出来事の詳細を伝える義務はない。しかし、妊娠を望む女性が、彼女たちがどんな方法で妊娠したのかを正しく把握しないままでは、現実的なタイムリミットを見誤ってしまう可能性がある。体外受精と卵子提供が可能な環境があっての超高齢出産なのだ。
(文=Yuka TAKAHASHI)
画像:Original Update byJanine