第16回 「彼がSで私もS」
交際3か月の彼がいます。最近、ベッドで「お前のこと奴隷って呼んでいい?」とか、「お尻叩いていい?」と要求されます。彼はどうやらSっ気があるようなのですが、実は私もSなのです。彼をM男として服従させたいのですが、カマトトぶって交際してきたので、静かに受け入れるしかないのか悩んでいます。どうしたらいいでしょうか。(31歳・アパレル)
ゲイの中ではそういうグッズが人気だったりする
あら今回は、平和かつ、彼氏ナシ読者ガールズからしたら贅沢なお悩みなのねぇ。カップル両者のSっ気がチャンバラしちゃいそうで困るってことか。女子サイドが「実は彼をM男として服従させたいのに」って悩みなんて、ウートピらしくていいじゃないの。
ちなみにゲイの場合は、タチ(攻め側)が慢性的に不足していて、デキたはいいものの、性的にはウケ同士で困っちゃう~って話のほうがよく聞くわ。でも大丈夫なの! ウナギがあるから! ウナギってのは、別名・双頭ディルドといって、両サイドをそれぞれの秘部(秘部なのに全開……)に挿入することで、ウケ同士が一つになれちゃう人類補完グッズ。うちの元ネンゴロな社長はこのグッズが大好きで、まだ肉体関係があった当時に、海外旅行へ持って行こうと(なぜかアタシのほうの)スーツケースにウナギを入れようとして、「そんなものが映るX線検査はイヤじゃ!」と大げんかになったことがあるわ。そもそもアタシ、タチ寄りだしウナギそんなに好きじゃないし……。って、話が脱肛、じゃない脱線しすぎね。
SとMは表裏一体
アタシ、ストレート女性のSの女王様の知り合いもいるし、もちろんゲイのスキモノの世界でもSM要素はポピュラーなので、それなりにいろんな識者の声を聴いてきたんだけど、割と共通した意見が「SとMは表裏一体」だったり、むしろ「Sはサーバント(奴隷)のS、Mはマスター(主人)のM」ってこと。あなた自身もSを自称するくらいなんだから、そのへんの感覚は分かってるんじゃない?
アタシ自身、変態寄りのプレイ遍歴については、20代の、スケベおじさんにヤられるM寄りウケ期から、30代の、スケベおじさんをやっつけるS寄りタチ期への変遷があったので(そして枯れぎみ40代へ……)、両方の感覚も快感も分かってるつもり。人の中にある「支配する興奮」と「服従する歓び」の、どちらにフォーカスを当てて、没頭するかって作業だから、引き出して、なりきる気や技さえあれば、どちらも楽しめるものだと思うの。そしてお澄まし平常心の時に、そのノリノリの状態を思い出すとどっち側にも振り切っててこっ恥ずかしい……。
彼氏をスライド調教しちゃうのもテ
あなたが、保守的な男の欲望に辱められるばかりのスタイルではなく、女性上位ポジションで男を弄んでやりたいという、性的にも熟れ頃の30代に突入してるのはステキなことだわ。もう、どんどんやっちゃってほしいゾ。で、結論から言えば、上手にスライド調教していけば、そういう男は結果ほぼM的にも扱えるんじゃないかと思うの。
奴隷扱いだのスパンキング(お尻叩き)だのを提案してきた時点で、普通じゃないプレイへの熱量をもってるわけだから、その向きをうまく変えていけばいいのよ。淡白な男に変態を楽しんでもらうのは大変だけど、もとから変態志向なら、あとは配役を変えて遊ぶだけだもんね。
そもそも、普通の付き合い風に始まった相手に途中からそれを出すってよっぽどのタマよ。一般的には彼女枠じゃなく、風俗とかセフレ相手の時だけに変態欲求を出してる男のほうが多いんじゃないかしら。
ただの偉ぶりたい男ならさっさと見限りなさい
あとは、まずあなた自身がM役を思い切り楽しむ気持ちで導入していけば、精神的にはSMにありがちな「どっちが、より歓んで、場を支配しているんだか分からない状態」に持っていきやすいんじゃない。文字通り相手を包み込み飲み込むウワバミパワーの中で、じわじわと出していく「こっちが気持ちよくさせてあ・げ・る」感は、ベタなSっ気で挑んだステレオタイプな男をいつの間にか、Mっ気の波に沈めちゃうことも可能なはず!
彼のほうが、この展開を楽しんでくれる、より深みのある変態であることに期待するけど、ただのエラぶりたいバカ男としての「奴隷扱い」発言なら、つまんない意地であなたの下剋上プレイを受け入れないかもね。でもその場合はスキモノのあなたにとって、そもそも格下の対戦相手だったってことよ。
てゆーか、十分ノリノリで2人揃って変態そうなカップルに、これ以上アタシが何を背中押してやる必要があるんだか……って気になってきた。思う存分MにもSにもなり切って、スキモノ同士楽しんでちょうだい!