よく聞く離婚理由のひとつに“性格の不一致”が挙げられます。結婚の経験のない人からしてみると、「そんなもの、最初からわかって結婚しているんだろう」と思うかもしれませんが、共に暮らす生活の些細なシーンで、ようやく露見する“性格”というものがあることも確かです。
もちろん、長らく暮らしていた実家のルールや、ひとり暮らしで身に着けたライフスタイルによって、がっちりと築き上げられた習慣や常識を持つふたりの人間が、ひとつの家の中で暮らすのだから、相容れない部分が出てくるのは、当然のことです。思いやりと尊敬を持ち合い、ふたりにマッチした“いい按配”を模索していくことこそが、結婚生活というものだと思うのですが、そうは頭で理解をしていても、互いに譲れない小さな差異の積み重ねが、いつしか大きなストレスになる、ということもまた事実。だからこそ、“性格の不一致”で離婚をするカップルが後を絶たないのです。
……と、こんなことを言うと、自分のペースで暮らすことに慣れている未婚の女性は「やっぱり結婚なんてしないほうが楽なのか」と思うかもしれませんが、そういうわけでもありません。人と共に暮らすことでしか得ることのできない歓びも多くある。
そこで、自分とパートナーの両者がストレスを感じずに、一緒に仲良く暮らしていくには、どうすればいいのかを、この連載で探っていきたいと思います。これまでわたしが結婚生活の中で感じてきた問題を毎回1テーマずつ取り上げ、それについてパートナーと一緒に暮らす女性たちの意見とともに考えていきます。これから先、結婚や同棲を望んでいながらも、不安を覚えている女性は勿論のこと、結婚相手との生活に疲れつつある、という既婚者の方にも、読んで頂けたら幸いです。
同棲や結婚などで、パートナーと一緒に暮らしている女性に、いつも試しに聞いてみることがあります。それは「貴女のパートナーは、トイレットペーパーを替えてくれますか?」という質問なのですが、これを尋ねると、結構な確率で「NO」という言葉が返ってきます。
残ってる10センチでパートナーの性格が露見する
その「替えてくれない」という行動にも幾通りのパターンがあるのですが、その代表的なひとつが「使いきった、そのままの芯だけがフォルダにある」というもの。我が家もこれに当たることが非常に多く、用を済ませてからそれに気が付いた場合は、非常に身動きを取りにくい状態で、新しいペーパーを棚から補充することになるため、同居している夫の、その自分勝手さには、イラッとせざるを得ません。
それに比べれば、「フォルダに嵌めずに、床に転がしてある」のは、怠惰ではあるけれども、とりあえずは困ることはないから、まだ許す余地はある……というところでしょうか。けれど、「誰かが嵌めてくれるだろうという、その甘えた考え方に、腹が立つ」という友人の既婚女性の怒りも十分に理解できます。
「いつも、アリバイみたいに10センチだけ残ってる」という返答もありました。優しい女性ならば「10センチだけ残してくれていたのね」と思うかもしれませんが、恐らくは優しさではなく、「替えるのは面倒くさいけど、叱られるのも嫌だから」の10センチで、パートナーの狡い(こすい)性格が露見する瞬間です。
この“パートナーがトイレットペーパーを替えてくれない問題”についての解決法を、人妻の皆さまに聞いてみたところ、「常に2~3個は手の届く籠の中にストックしている」「下にもうひとつ予備を入れられるカバーを付けている」という対策を取っているという人が多いようですが、しかし、これらは自衛であり、根本的な解決ではありません。
居酒屋のトイレのように説教を壁に貼る
では、替えない側の気持ちはどうなのでしょうか。想像通り、ほとんどの男性から返ってくるのは「面倒くさいから替えない」という返答で、「トイレットペーパーは、女性のほうが多く使うので、交換は女性の側のすることだと思っている」という声もありました。ただ、「僕は替えます」という男性が数人いたので理由を尋ねたところ、異口同音に「妻に厳しく叱られて」とのこと。なので、きちんと叱って教育すれば、面倒でも替えてくれるように、成長はしてくれるようです。
しかし、わたし個人の考えとしては、“立派な大人を叱って躾ける”ということに抵抗があります。相手を甘やかさず、きちんとトイレットペーパーを替えるようになってもらうには、どうしたらいいのだろう……というわけでひとつ思いついたのが居酒屋のトイレのように説教を壁に貼る方式です。“オヤジの小言”のようにするか“マツタケの露……”のようなポエムにするか“ここが一番ゆっくり話せる場所だと思ったので”の某チェーン店形式にするか、と考えることを楽しめるのは、トイレットペーパーを替えてくれないパートナーがいてこそ。そう前向きに考えれば、立った腹の虫を治めることができそうです。