6月と言えば、話題になるのがボーナス。経団連が発表した妥結額の平均は2008年以来の高水準という話もある一方、女子会でボーナスの話はご法度という声も聞かれる。その理由を探った。
リーマンショック以来高水準のボーナス
経団連が発表した大手企業の今夏ボーナスについての調査によれば、妥結額の平均は91万3,106円と、リーマンショック前の2008年以来7年ぶり高水準になったという。昨年夏の集計結果よりも、2.43%多くなっている。
民間調査会社の労務行政研究所では、東証一部上場企業の122社におけるボーナス平均は73万4,434円で2年連続上昇している。
大手企業だけでなく、価格.comによる「2015年夏のボーナス」の調査では、推定平均金額は61.6万円で昨年比5.8万円増加となり、やはり全体的に増加している傾向が見られた。
ボーナスの使い道はやはり「貯金」
全体としては増加の傾向を示しているボーナスだが、使い道はやはり「貯金」が最多のようだ。前出の「価格.com」調査にて、最も多い使い道は昨年に引き続き「貯金」であった。だが、「金融商品の購入・外貨預金など」や「金融商品の補填」での増加も目立っており、「商品・サービス購入」や「旅行・外出をする(国内)」にも増加傾向が見られた。
凸版印刷株式会社「Shufoo!」による既婚女性1万1,345人を対象にしたボーナスの調査でも、自分または配偶者の夏のボーナスの使い道は「貯蓄」が最多だった。ちなみに、「自由にボーナスが使えるとしたら何に使いますか」との問いには、「旅行」(51.4%)と回答した人が最も多く、「ファッション」(10.82%)、「外食」(10.81%)がそれに続いた。現実的には貯金をするが、本当は旅行などの消費活動に充てたいと考えているようだ。
女子会でうかつにボーナスの話をしてはいけない?
増加傾向があるというボーナスだが、もらったボーナスについて楽しげに女子会で話すのはNGだ。女子会でボーナスの話題になり、多くもらっている人とそうではない人との温度差に不穏な空気を感じたことのある人はいるのではないだろうか?
「ボーナスの出ないブラック企業に勤めているので、ボーナスの話題は遠い国のおとぎ話みたいに聞こえる」(32歳・出版)
「7月に開催される女子会はいつもより豪華な店がセッティングされるので、欠席している」(30歳・派遣)
「ボーナス直後に女子会に行ったら、一流企業の友達との格差が激しくて肩身の狭い思いをした」(28歳・IT)
などの愚痴を聞くこともある。
なぜ女子会でボーナスの話はNGなのか。それは、会社のみならず雇用形態の違いがボーナス支給額、そしてボーナスの有無にまで関わるからだ。
ボーナスは雇用形態や企業による違いが現れやすい
総務省統計局の調査によれば、2015年1月〜3月期における「役員を除く雇用者」に占める非正規の職員・従業員の割合は37.7%である。また、厚生労働省の調査によると、正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている「不本意非正規」の割合は、非正規雇用労働者全体の18.1%となっている。単純に計算してみると、10人集まる女子会なら1〜2人が非正規雇用である可能性が高いことになる。女子会に参加している友達が、この中の1人かもしれない。
もちろん、企業によるボーナス支給額の違いもある。「東洋経済オンライン」では「賞与の多い」トップ200社が紹介されているが、その中の1位(372.0万円)と199位(166万円)の間ですら、支給額の差は歴然だ。加えて、同じ社内でも部署や昇進しているかといった違いによって、支給額は変わってくるだろう。
たとえ気楽な友達同士だからと言って、開けっぴろげにボーナスの話をすることは難しいのだ。
ニュースでも取り上げられ、季節の話題にもなりやすいボーナスの話だが、企業や雇用形態の差異が現れやすい性質を持っているとも言えるだろう。話す内容と場所には気をつける必要があり、お互いへの気遣いが試されるところかもしれない。