女の嫉妬より、男の嫉妬の方が時に恐ろしい。カメラの前で微笑むこの女性はインド人のラクシュミさん。15歳の時、嫉妬した元カレに酸をかけられ、元の顔を失くしてしまったのだ。現在24歳の彼女は、その事件をきっかけに「もう自分は一生恋愛も結婚もできない」と全てを諦めていたそう。しかし、その横には優しそうに彼女の肩を抱き、笑顔を並べる男性が。そう、ついにラクシュミさんにも春が来たのである。
皮膚が剥がれ落ちる恐怖…普通の少女を襲った悲劇
ラクシュミさんはインド・デリーに住む、普通の少女だった。しかし2005年、事件は白昼堂々起こる。彼女が15歳の時、年が倍以上の恋人に結婚を申し込まれ、「結婚を断った」という理由で酸をかけられてしまう。当時のことをラクシュミさんは以下のように鮮明に語っている。
「バスを待っていたら、元カレとそのお兄さんの彼女がやって来ました。彼らは私を地面に突き倒し、酸をわたしの顔全体にかけたのです。わたしは泣いて助けを呼び、通り過ぎる車にも手を振りましたが、誰も助けてくれませんでした。目はきちんと開かず、わたしの身体は誰かに燃やされているのではないかと思いました。そして、手から顔から、落ちて行くように皮膚が剥がれて行きました」
自分の顔が受け入れられない
24歳になった彼女は、これまでに7回以上もの手術を繰り返し、少しずつではあるが回復していった。しかし、事件が起こってすぐは、自分の顔が全く受け入れられず苦しんだそうだ。一瞬にして自分の顔が無くなってしまう恐怖は言い表せないだろう。そうして、元の顔を失った彼女は心を閉ざし、一人で行きて行く覚悟をする。
彼女を救った運命の出会い
事件があってからというもの、彼女は恋愛と結婚を一切諦めていた。しかし、ひょんなことで恋人のアロクさん(26)に出会い、人生は一転する。愛されることで自分の顔を受け入れ、そして誰かを愛することを学んだのだ。彼は酸による女性へのテロ「アシッドアタック(酸攻撃)」に反対を訴える活動家だった。そして二人は打ち解け恋人同士になった。恋人のアロクさんは以下のように話す。
「今まで一度も外見が重要だとは思ったことはない。わたしはラクシュミさんの美しさを発見したから、外見は問題ではないんだ。彼女はとても美しい人。そして、彼女のハートには美しさが横たわっている」
アシッドアタックを撲滅したい
そんな二人の夢はアシッドアタックの被害者をなくすこと。インドやパキスタンなどアジアを中心に、アシッドアタックの被害者は後を絶たない。その事実は、男性中心の社会において女性が権力を持てない地域の現状を伝えている。苦しんだラクシュミさんがこの先も幸せであることを祈りたい。