
Facebookより
昨年の夏、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者支援のアイスバケツチャレンジが流行しましたが、今度は「おっぱいでコーラを挟むチャレンジ」がネットで広がり、物議を醸しています。
冗談で始めた偽のキャンペーンだった
このキャンペーンは、ある女性が胸の谷間にコーラの缶を挟んだ写真を、「#HoldACokeWithYourBoobsChallenge」(おっぱいでコーラを挟むチャレンジ)というハッシュタグを付けてネットにアップしたところ、瞬く間に広がり、たくさんの女性や男性が半裸の胸の間にコーラの缶や瓶を挟んだ写真をアップしました。
参加したほとんどの人は、乳がんの啓蒙と寄付金集めのためのキャンペーンだと思っていたようですが、実はそうではなかったことが明らかになりました。
英国の新聞『インディペンデント』の記事によると、このキャンペーンはラスベガスを拠点にするアダルトモデルのスカウト会社の男性とモデルの女性が、冗談で始めたそうです。
嘘から出たまこと? 本当に寄付しようという動きも
しかし、あまりにもネットでの反響が大きく広がりすぎたために、本当に寄付しようという動きもあるようです。モデルの女性は同紙に対して次のように述べています。
「私たちがこれを始めたときは乳がんとは何の関係もありませんでしたが、参加する人が自分の好きな慈善団体に寄付したり、チャレンジを行ったりするのは彼ら次第です」
さらに彼女は、乳がん検診やマンモグラフィーの重要性をも訴えています。
「現実に向き合いましょう。一部の人は自分には絶対に起こらないと思っています。若すぎるからとか、胸が小さすぎるからとか……。だから、ちょっと面白くて間抜けなことをすることによって、乳がんで乳房を失ったり死んだりすることを避けられたら、それはいいことではありませんか」
また、英国の乳がん患者を支援する慈善団体「ブレスト・キャンサー・ケア」の広報担当者は同紙に次のようにコメントしています。
「インターネットやソーシャルメディアが人々のツールや機会となって、啓蒙や慈善団への資金調達のためにキャンペーンを行うことは素晴らしい。しかし、これは我々が関与しているキャンペーンではありません」
乳がん患者をどれだけ傷つけたか
こう見ると美談のようですが、一方で批判的な意見もあります。
女性向けブログメディア『ジェゼベル』には、次のようなコメントが掲載されました。
「このキャンペーンのフェイスブックページは、女性たちが胸を披露する場になっていて、さらに乳がんと関係なく、誰が一番か選ぶ品評会のようになってしまっている。おっぱいの写真をさらすよりも、乳がん患者を支援するボランティアをしたり、寄付をしたりするほうがいいのではないか」
また、オーストラリアの新聞『ヘラルドサン』には、「乳がん患者をどれだけ傷つけたか。今頃、チャリティーをすると言っても遅い」と激しく非難する論調のコラムが掲載されていました。
ネットの情報は一瞬で世界に広がりますが、ちょっといい話や感動の動画など、あまり良く考えずにシェアしてはいませんか。そのワンクリックの前に、少し立ち止まってみることも必要かもしれません。
参考記事:The Independent
(リプトン和子)