いまだ「女性のあこがれの職業」として語られることも多い、客室乗務員。しかし、初代客室乗務員は、女人禁制の職業だったことをご存じでしょうか? 客室乗務員という職業が登場した1920年代は、女性の社会進出がごく一部に限られており、男性がその職に就いていたのです。その後、女性の客室乗務員が誕生したのは、1940年代になってからでした。
米人気ブログ『SOCIOLOGICAL IMAGES(ソシオロジカル・イメージズ)』で紹介された、女性客室乗務員のイメージ変遷と、その背景をご紹介しましょう。
1940年代「女・子供にも安全」をアピールするため、女性を登用
1940年代後半、科学技術の進歩により、空の旅は大幅に快適になりました。そこで、航空会社は、今まで一般人にあまりなじみがなかった飛行機旅行の顧客層を広げる方法を模索。そこで、それまで一般的でなかった女性の客室乗務員を本格登用し、機内が「居間のように快適な場所」であり、「女・子供にも安全な場所」とアピール。女性の社会進出がまだまだ制限されていた時代に、敢えて女性を採用したのでした。
60・70年代はセクシーなスッチーさんが登場
60・70年代に入ると、飛行機旅行も馴染みのあるものとなり、航空会社はマーケティング策を変更。当時まだビジネスマンが主要顧客層だったことを踏まえ、女性客室乗務員の「女性としてのセクシーさ」を前面に押し出すようになりました。
この流れを端的に表しているのは、当時の客室乗務員の制服。当時アメリカにあったパシフィックサウスウエスト航空は、ミニスカとブーツが組み合わさった制服が有名で、1970年当時は日系航空会社のANA(全日本空輸株式会社)も、膝が見える丈のスカートと、明るいイエローカラーが特徴的な制服を採用していました。
女性の性を強調する「スチュワーデス」の廃止
一方、この同時期に、労働運動やウーマン・リブ運動が盛り上がった社会情勢を受け、女性客室乗務員らが自らの職業的権利のために立ち上がる動きが活発になりました。そこで、女性性を強調する「スチュワーデス」という職業名称は廃止となり、現在使われている「客室乗務員」に改められたのです。
Google画像検索で違いが明らかに
前述の記事では、「Stewardess(スチュワーデス)」と「Flight attendant(客室乗務員)」をGoogleで画像検索したときの比較を考察しています。
ちなみに、日本語の「スチュワーデス」「客室乗務員」で画像検索を試してみると、
このような結果が。
「スチュワーデス」で検索した場合は、若い女性がポーズをとっている画像や、コスプレ画像が多く出てきますが、「客室乗務員」で検索すると、手を前に重ねてビシッと決めた女性の画像が多くヒットするのが印象的です。
時代の潮流にもまれ、変化を遂げてきた「女性客室乗務員」は、社会における女性の地位を示すバロメーターと言えるかもしれません。