「女のプロ」の肩書きを持ち、多くの女性たちから支持を得ている人材コンサルティング会社、株式会社ジョヤンテ代表取締役の川崎貴子さん。彼女の元には日々、アラサーやアラフォー女性たちが仕事や恋の相談にやって来る。そんな悩める女性たちにうってつけの著書『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)が先日発売された。その発売を記念したイベントが都内某所で行われたので、女のプロにご指南いただこうと、足を運んできた。
イベント内で目玉となったのは、AV監督の二村ヒトシさんとのトークショー。女性のリーダー的存在の川崎さんと、男の欲望を具現化する職である二村さんという興味深い組み合わせのトークショーは、一体どんな話が飛び出すのだろうか。
この日の最初のテーマは「なぜ、男と女は愛にすれ違うのか」。
女性は愛を目指すのに、愛になると男性は愛情表現をなくしていく
川崎貴子(以下、川崎):恋の延長線上に結婚した方は多いと思うのですが、安定期に入ると、いわゆる恋から愛にかわりますよね。そのときの男性というのは、女性から見るとサボっているようにしか見えないんですよ。前は記念日にレストランを予約してくれたのに、「愛しているよ」と言葉で言ってくれたのに、それが急になくなって「俺がここにいるから愛してるってことだろ」ということですとかね。
二村ヒトシ(以下、二村):おっしゃる通りで、実際に男はなんで愛せないのかと、役割的にサボっているとしか言えないんですね。男性は社会的にビジネスの世界で、世の中を回していく役割の中で、サボっていたものが多過ぎる。
川崎:そうなると、女性は、愛は損なのではないか、恋の方が良かったと思うんですよね。多くの女性たちは愛を目指すんですが、愛を得ると男性は愛情表現をなくしていく。だから、恋を繰り返したい。
二村:だから、「愛は技術」って話なんですけど、男はそれを知らな過ぎる。恋というのは人間のエゴ。全ての人間には心に穴が空いていると思っています。その穴は男性社会によって広げられてしまい、それを埋めようとする行為が恋。でも、愛というのは心の穴を埋めようとする行為からは一番ほど遠い。愛には何の見返りもないじゃないですか。ぜひ男性にも川崎さんの著書を読んでいただき、技術を習得してもらいたい。
対等な夫婦関係になるとセックスレスが増える
続いてのテーマは「愛とエロスは共存するのか」。
二村:愛は相手を尊重することとか、お互い様であることを言うじゃないですか。それに対し、恋は差別であると、作家の中村うさぎさんが言っているんです。上下関係のないところに恋は生まれないと。
川崎:深いですね。これからさらに働く女性が増えていけば、夫婦関係はより対等になっていくと思うんです。そうすると、さらにセックスレスが増えることが想像されます。
二村:そして、バカなおっさん共が不倫をするんですよ。差別できる、自分が見下せる女性を相手にして。おっさんたちは若い女性のことを愛していないですからね。差別の対象が欲しいだけですから。
川崎:差別があればエロスが増量するということですね。
男性はAVからリビドーを、女性は少女漫画から男性に愛してもらうことだけを教わる
二村:でも、エロスは悪いものであると言ってしまうと、潤いがなくなってしまいますよね。「愛の技術」というのは対等な人間同士がエロスをもてる技術です。男性は気持ち悪いんですが、自分のリビドーを持っています。それを学ぶのがAV。男はAVの中で愛し方は教わらない代わりに、「自分が何に興奮するか」というのを教わるんです。
逆に女性は、少女漫画により「白馬の王子様を待つ」ということを刷り込まれてしまいます。素敵な男の子から愛してもらうことを教えてもらうだけで、リビドーは学ばず、まさに川崎さんの言う「愛の技術」を教わらずに大人になってしまう。
川崎:対等なだけでエロスを感じなくなるとすると、女性は自分たちのリビドーというものが何なのか、知っていた方がいいのでしょうか? 目の前の男性が自分の思い通りの台詞を言ってくれないから辛いんですよ。女性は風俗もないし、ホストクラブはちょっと違いますし、BLファンの人も増えてきているとは言いますけど、一般的ではないですよね。
二村:BLというのは女性のひとつのポルノの形であって、それがジャニーズとか、韓流とか、全部入れたら相当な形で、昔よりかは豊かになっているとは思いますね。でも確かに、女性がそういう娯楽を楽しむことは男性社会からOKとされてはいないのは良くないなぁと思いますね。
川崎:夫婦の中でエロスを保つことは可能なんでしょうか?
二村:可能というか、それを目指していきたいと。奥さんって面白い存在ですよね。僕ね、30年くらい奥さんと一緒にいるんですよね。未だにケンカするしね、コミュニケーションは面白いですよ。なるべく家の中でコミュニケーションをとった方がいいと思います。
川崎:相当な努力がないと愛とエロスは共存できないですよね。工夫やモチベーションを保ち続けていないと。その工夫の仕方は夫婦によってそれぞれですが。
「愛とエロスは共存できるのか」という論議はお客さんまで巻き込み、「籍は入っているけど夫婦ではない、セックス好きの仮面夫婦になればいい」と、意見する方も。男と女のすれ違い、そして、愛とエロスは、男女が一生背負う課題であり、その答えはカップルごとに違っていそうだ。