イギリス人女性のリナ・ターナーさん(36歳)は、イギリスのファッション雑誌『Stylist』に、自分自身と結婚をする「セルフ・ウェディング」を開催することを語りました。
日本のソロ・ウェディングはひとりきりでの結婚式
日本でも「ソロ・ウェディング」という、ひとりで結婚式を挙げるサービスが最近話題になりましたが、このサービスの一番の目的は、「ウェディングドレスを着てみたい」「ウェディングドレスを着た自分の写真を残したい」という主旨が強かったと思います。あくまでも、ふたりではないひとりきりでの結婚式、というイメージがあり、少々感傷的なイメージも否めませんでした。
ところがリナさんの場合、日本のソロ・ウェディングとは主旨が違うようなのです。「セルフ・ウェディング」とは何なのか? そして、なぜリナさんはそれを実行するに至ったのでしょうか?
誰かと交際することは、非常に苦痛な経験が多かった
イギリスの地方出身のリナさんは、英語と演劇を学ぶためにロンドンへ上京。就職して仕事を数年経験したのち、バックパッカーとなり、アフリカをメインに巡り、旅を終えてからはロンドンには戻らず、ロンドンの南にある港町ブライトンへ移住し今年で8年目。現在は企業のコンサルタントとして勤務しています。彼女自身、特別変わった人生ではないといいます。
「これまで私は3人の男性と交際する機会がありました。でも、全て長続きすることはなかったのです。 なかでも、最後の恋愛は辛い終焉を迎えたことが、セルフ・ウェディングのアイディアに結びついたといえます。誰かと交際することは、非常に苦痛な経験が多かったんです。ようやくひとりになったときに、自分自身に戻れたような気がして、とても心地よく感じている自分がいました」
こうして、自分自身ひとりであることが、自分にとって幸せだと発見したリナさんは、セルフ・ウェディングを実現させるために行動を起こし始めました。
愛犬のエラ、そして友人、家族が全員参加してくれる予定
役場に「自分自身と結婚する方法はあるかどうか」問い合わせしてみたのです。ところがイギリスの法律上、結婚は必ず誰かとするものであり、ひとりではできないという返答。社会的にはまだセルフ・ウェディングは認められていないものの、「独身で人生を謳歌していることを祝福したっていいじゃない?」という彼女のアイディアは幸運にも、多くの人に支持されたようです。
「セルフ・ウェディングのアイディアを友人や家族に話した際、全員が喜んで賛成してくれました。特に両親はいつもポジティブに、私がありたいように生きて行けるよう、全力でサポートをしてくれるのです。
結婚式にはヴィンテージのウェディングドレスを着ます、愛犬のエラ、そして友人、家族が全員参加してくれる予定です。ハネムーンには『Big Beyond』という団体のプロジェクトで、エチオピアのハマー族らとともにボランティア活動に参加する計画をたてています」
ブライトンで開催される芸術祭の催しの一部として執り行われる
なんだか聞いているだけでもワクワクしてしまうセルフ・ウェディング計画。ひとりだけれど、家族や友人に恵まれた彼女は、ひとりではないことが 十分に伝わってきます。最後に彼女はこう語っています。
「私は運命の人を待ち続けることで、人生の希望を失いたくはないのです。誰か、ではなく、私そのものが自分にとって必要な存在だからです。独身であっても人生を楽しむことは可能だということ、それもひとつの人生の選択肢だということを『セルフ・ウェディング』で提案したいと考えています。とはいえ、ひとりで生きていくことを宣言するわけでもなく、パートナーは持たないと決めたわけではないのです。合う人がいればもちろんウェルカムなんです(笑) 」
リナさんのセルフ・ウェディングは5月14日、ブライトンで開催される「Brighton Fringe」という芸術祭の催しの一部として執り行われる予定です。ブライトンは昨年、イギリスで初めて同性結婚式が行われた場所でもあるのだとか。
筆者のまわりには、結婚してしまったがために「自分ひとりの時間が少なくてつらい」と嘆いている女性もいます。パートナーと出会って結婚することが幸せとは限らないのです。リナさんのアイディアとポジティブな行動は、今後、女性の生き方の選択を増やす大きな可能性があることを感じさせてくれます。
参考記事:STYLIST