「結婚していない女=負け犬」と大胆に定義づけ、大論争を巻き起こした10年前のベストセラー、『負け犬の遠吠え』(講談社)。著者の酒井順子氏いわく、結婚して「勝ち犬」になるにはコツがあるそうです。題して「負け犬にならないための十ヵ条」。ブームから10年が経った今、そのいくつかをピックアップして改めて検証してみました。
「ナチュラルストッキングを愛用する」(文庫版、285頁)
勝ち犬を象徴するアイテム、それは「ナチュラルストッキング」であると著者は言います。常識的な丈のスカートから伸びるナチュストをはいた脚は、男性に「普通さ」というエロスを感じさせる。この「普通であることのエロさ」を、男性は好むそうです。結婚したいなら、「ナチュストに膝丈スカート」といったコンサバファッションが一番なのですね。
コンサバファッションは決して、ラクではありません。ストッキングからムダ毛が透けて見えないよう、脱毛は必須。ナチュストにパンプスを履けば、靴ずれや外反母趾の可能性もありえます。こうした無理に耐えられるくらいの気概がなければ、勝ち犬にはなれません。「無理はしたくない」「ラクだから」とカジュアルな格好ばかりしていては、負け犬街道まっしぐらというわけですね…。
「名字で呼ばれないようにする」(同290頁)
独身女性は「名字で呼ばれがちな女」と「名前で呼ばれがちな女」に分かれるそうです。名字はユニセックスなもの。「酒井~」と気軽に名字で呼ばれる女性は、男性から気を遣われない存在になりがちです。
一方、「私のこと、ジュンコって呼んでね!」と言えるタイプの女性は違う。名前には性別がハッキリとあらわれます。日頃から名前で呼ばれていれば、自分でも女らしさを意識する機会が増える上、男性にも自然と、「この子は女なんだな」と思わせることができる。結婚したいなら、恥ずかしがらず「◯◯って呼んでね!」とアピールし、「名前で呼ばれる女」になることが大切なのですね。
「女性誌を読む」(同283頁)
「女性誌というのは、読みすぎるとバカになりますが、読まなさすぎるとブスになる」と著者は言います。勝ち犬になるには、光文社の『JJ』『VERY』あたりがオススメとか。こうした雑誌は、いかにして配偶者をゲットするかを説く「実用書」であるといいます。
最近では『JJ』が、2011年に「おしゃP」(アパレルプロデューサーなど、おしゃれな仕事をこなす女子)ブームを作り出し、『VERY』でもワーキングマザー向けの特集が増えています。働く女性の増加に伴い、『JJ』『VERY』は変わりつつある。でも両誌が、「結婚は女の幸せ」という価値観を前提としていることに変わりはありません。勝ち犬を目指すには、こうした不変のメッセージを自意識に刷り込ませるため、定期的なチェックが欠かせないでしょう。
『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなった10年前と比べ、未婚率は下がるどころか上昇の一途をたどっている現在。婚活がなかなかうまくいかない女性は、先人の知恵を借りるつもりで「負け犬にならないための十ヵ条」を実践してみるのも良いかもしれません。