人と仲良くしたい、なのに、うまく行かない。そんな悩みに国境はないようです。
カナダに住むオーディン君(13歳)は今年3月、自分が友だちだと思う15人に誕生日会への招待状を送りました。ところが参加者はゼロ、返事すらなし。オーディン君は、学校でいじめを受けていたのです。
落ち込んだ彼の姿を見て、母親のメリッサさんはある行動に出ました。
「自分はひとりじゃない、って感じられる誕生日にしたいの」
メリッサさんはフェイスブックで、地元の母親コミュニティに呼びかけをしたのです。息子がいじめを受けている、誰も誕生日を祝ってくれない、彼の誕生日をすてきな日にするアイディアがあれば教えて欲しい――と。
するとこのことは、瞬く間にネットで話題に。オーディン君のもとには、日本を含む世界中からお祝いメッセージが届きました。
Birthday wishes for Odin coming from around the world (via @Sysomos). #odinbirthday http://t.co/yqU1PMkSB5 pic.twitter.com/VmrwWHDNmb
— Steve Ladurantaye (@sladurantaye) 2015, 3月 20
また当日には、実際に数百人もの人々が誕生会に参加。
What a night! Awesome turnout for an amazing guy. #odinbirthday pic.twitter.com/EbwgeFHMJa
— Keri Ferguson (@KeriFerg) 2015, 3月 21
参列者には息子を亡くしたおばあさんから、手書きのバースデーカードを持ってきた6歳と4歳の兄弟までいました。その光景に、オーディン君はこう言ったといいます。
「こんなに多くの人が自分のことを考えてくれるなんて」
そんなオーディン君ですが、母親のメリッサさんによると、彼はアスペルガー症候群であることを学校で悪く言われたのではないかということです。人間関係に「うまく馴染めない」と、オーディン君はたびたび口にしています。
アスペルガー症候群の特徴とは
厚生労働省によれば、アスペルガー症候群には例えば以下のような特徴があります。
・暗黙のルールが分からない
・冗談や比喩・皮肉が分からない
自分がアスペルガー症候群に当てはまるということに、大人になってから気づく人も。原因はまだ解明されていませんが、少なくとも保護者の育て方のせいではないということは分かっています。
現代の医学では根本治療ができません。また、そもそもこういった特徴を「症候群」と呼んで病気扱いすること自体に異論もあります。ともあれアスペルガー症候群は、公的支援、時には薬の処方を受けて向き合っていけるものです。当てはまると感じた場合は、各都道府県の精神保健福祉センターで相談できます。
身の回りの人がアスペルガー症候群だとわかったら?
ひとくくりに「アスペルガー症候群」と言われても、特性には個人差があります。しかし基本的には、以下の接し方を心がけるとよいでしょう。
・回りくどくない、具体的な言い方で伝える
身構えて一線を引く必要はありません。アスペルガー症候群であってもなくても、みんなすでに一緒に生きているのです。ちょうどオーディン君の誕生日を世界中が祝ったように。彼は今、2歳のころからの夢だった、海軍への入隊を目指しているということです。