「地域しあわせラボ」筧裕介さんインタビュー(後編)

都会に集まる女たちと、田舎に残る男たち―地域活性のプロがすすめる、いま婚活に適した街

都会に集まる女たちと、田舎に残る男たち―地域活性のプロがすすめる、いま婚活に適した街
地方に移住して幸せに暮らす可能性

筧裕介さん

>>【前編はこちら】地方移住で人は幸せになれるのか? 研究者が語る、お金と幸福度の意外なカンケイ

2014年に地域と幸せの関係性をテーマにした研究プロジェクト「地域しあわせラボ」を立ち上げた、筧裕介さん。前編では、「しあわせに暮らせる地域」「しあわせを感じる女性の傾向」についての分析をご説明いただきました。後編では、アラサー女性が向かうべき地域について、お話をうかがいます。

独身男性は田舎、独身女性は都会に集中

――都会で働いてばかりいると、婚期を逃しそうで心配です。婚活に適した町は、あるのでしょうか?

筧裕介さん(以下、筧):一体どこに独身の男性がいるかと言うと、田舎や、平地が少なく農業に不向きな中山間地域といわれているところで、独身の男性比率がとても高いです。一般的に、女性は大都市に集まり、男性は地方に残っている傾向があります。

一番わかりやすいのは札幌です。北海道の女性は、札幌から先には出ることが少なく、男性は地元に残って家の跡を取るか、東京に出てきます。ですから、札幌は感覚でいうと、1:1.1くらいの割合で、女性が多いんです。

同じことが福岡にも言えて、九州中から女性が福岡に集まっていて、男性は仕事ができる人は東京に行くし、もしくは地元に残っている。福岡に飲みに行くと、女性の4、5人グループだらけなんですよ。会社でも、独身の同僚が東京から福岡に転勤すると、東京に戻ってきたときにはみんな結婚してます(笑)。

男女バランスがいろんなところで崩れていて、都会に住む女性は競争率が高く、結婚相手を探すことが難しいんだと思います。

山間地域が超高速光ファイバー完備

――若い人が多く移住したり、盛り上がっている地域はありますか?

:おもしろい町はいっぱいありますよ。有名どころで言うと、島根県隠岐郡海士町です。この島は、2003年に町長になった山内道雄さんが、島が生き残るために、空家になっている家屋をリノベーションするなどの住宅対策や就農支援を行ったり、役場の臨時職員として雇い入れたり、島外の人に島の商品価値のあるものを発見してもらう「商品開発研修生」制度を設けるなど、移住を推進するための様々な政策を行ってきました。その結果、人口約3,000人の島に、20~40代の働き盛りの若者を中心としたIターン者が約200人も集まっています。

また、徳島県では、山間地域にも全域で、超高速の光ファイバー網が整備され、ITのインフラがとても進んでいます。とりわけ、山に囲まれた神山町は、IT企業の本社同様の機能を持つ“サテライトオフィス”の誘致に成功していて、IT企業の最先端とも言える町になっています。

町づくりをする上では、西日本の自治体の方が圧倒的に進んでいて、特に、山陰や四国などの自治体は過疎化が深刻なので、以前から危機感を持って、いろいろと実践しているので、それが結果に出ていると思います。

活気のある街にはユニークな市長あり

――もしも、移住してみようかなと考えた時、何に注目して調べたらよいですか?

:若い人が多く、元気な地域は、市長さんがユニークな人である場合が多いので、市長の考え方をチェックするのはいいかもしれないですね。やっぱり、町全体を変えようとする流れをつくれるのは、トップの人なので、市長さんを中心に、活躍できる人が集まってくるんですね。それから、民間の中で一体どんな人が町づくりをしているのか調べてみると、その町が10年後明るいかどうかわかると思いますね。

――最後に東京の生活に疲れ、新天地での生活を考えるアラサー女性に、移住という選択について、メッセージをお願いします。

:女性は男性に比べてフットワークが軽く、しかも、環境適応力もあるので、地元にも受け入れられやすい傾向があると思いますよ。女性はこうと決めたら動きが早く、アラサーくらいの年の方が、良い会社に勤めていたのに、突然辞めて、パリでパティシエになっていたりするんですよね(笑)。

僕の知り合いにも、元々出版社で働いていた40代の女性が、茨城県のつくば市に移住して、フリーランスで仕事を始め、新しい町で楽しそうにやっていますよ。僕も最近は東京にあまりいません。最初は、大変かもしれませんが、自分の個性に合った町を探して、女性から地方への流れを加速してもらえると、うれしいですね。

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