女性なら誰でも感じたことがある電車、バス、その他公共の場での不快な”視線”。他人のことをジロジロと眺めまわす人は、眺めているときの自分の表情に気付いているのでしょうか?
昨年末公開されたインドの動画広告『Dekh Le』は、そんな不快な視線をスマートに啓発する内容で話題を呼んでいます。
美しい映像で問題提起 制作はインドの映像学生
話題の動画広告は、昨年末、インド映画100周年を記念して開催された映画祭「CINEMA100」で公開されたもの。同動画は、女性に不快な視線を送る男性たちが、女性の身につけたサングラス、ヘルメット、鏡に反射する自分の顔を見て、自分の表情にハッとする、という内容。動画で流れているBGMでは、ヒンディー語で「私を見ているときのあなたの顔を見て」との歌詞が歌われています。
広告動画の製作者はインドの映像学生ら。同動画は、男性らに「考え、内省し、実行すること(Think, Reflect, Act)」を啓発する目的で作られました。インドでは現在、2012年にデリーで起こった痛ましい集団強姦事件を機に、男尊女卑が根強い社会のあり方が問われている最中です。
視線のNGラインって? ネットユーザーの間で論争勃発
Youtubeにアップロードされた同動画は、再生数が280万回を超え、好意的なコメントが数多く寄せられています(2014年1月23日時点)。
「美しい動画ね。女性の立場から言わせてもらうと、他の人に見られるのは構わないの。でも、まるで肉の塊を見るかのような目つきで見下されるのは不快」
「こういう広告って、もっとたくさん、もっといろんなところに必要」
しかし、中にはOKラインとNGラインの境界について問題提起する声も。
「女性にとって嫌な視線を送るべきでない、というメッセージは分かるけど、動画を見る限り、チラッと見るのもNG、というふうにとれるなあ」
「実際には、女性はイケメンにアプローチされるのは喜ぶ…(中略)…怒るのって、相手がブサイクなときだけでしょ」
不快な視線のポイントは、見つめる時間の長さ
上記の問題提起には様々な返信が寄せられましたが、その大多数に共通して見られたのは、「見られている方が不快に感じたときがNGライン」との認識。しかし、相手を不快にする視線とは、そもそもどのようなものなのでしょう?
調査してみたところ、一つのポイントとなりそうなのは、「見ている時間の長さ」。2013年2月にマイナビウーマンが20代社会人女性を対象に実施したアンケートによれば、「露出した部分を見られることについてどう感じるか」という質問に対して、「あまり長い時間や、頻繁だと不快に感じる」との回答が74.5パーセントを占めたそうです。
誰でも魅力的な人にはついつい目がいってしまうもの。しかし、人への視線の送り方は気を付けなければ、と女性である筆者も考えさせられる動画でした。インドの社会情勢ゆえに話題になったこの動画。世界各国、男女問わず、この動画をきっかけに自分自身を見直してもらい、「視線」で嫌な思いをする人が少しでも減って欲しいものです。