筆者が住むフランスの高校の校舎には、コンドーム販売マシーンがあるらしい。それほどに、高校生たちの間では男女の交際が進んでおり「妊娠中絶を避けるために、避妊具をちゃんと買いなさいよ」という暗黙の了解のようだ。
日本では高校の校舎にコンドーム販売機があるなんて、想像もつかない。となると、思春期の高校生たちは隠れてコンドームをどこかで買うしかないし、そもそも避妊せずに妊娠するリスクを上げているのかも。
こういう話から、フランスは随分性教育が進んでいるのかな? と思うけれど、意外にも子供を持つ親は「何歳の時に、どんな風に、どこまで話すべきなんだろう?」という疑問をもち悩んでいるよう。
これらフランスの親たちの疑問に、専門家が答える記事が『マダム・フィガロ』のウェブ版で掲載されていたので一部を紹介しよう。
ポイントは「性の話をするのはタブーだ」と感じさせないこと
Q.何歳から性教育をするべきなのでしょうか?
(以下、回答は性科学者のGhislaine Parisさんによるもの)
A.生まれてきた赤ちゃんに対して、ビズ(キス)をしてあげることで愛情を伝える。まずそれから性教育が始まると言ってよいでしょう。そして、赤ちゃんの前で「パパとママが手をつないだり、キスをしたりするのは愛し合っているからなのよ」と説明をしてあげることも大切です。
幼稚園に入る頃には「愛とは何か?」という基本的なことを説明してあげましょう。この年頃になると、子供自身が性愛について十分に感じることができます。「嫉妬、悲しみ」というような感覚を身を持って体験するようになるのです。親は子供がどんなことを感じているのか、真剣に聞いてあげましょう。
Q.子供からの質問を待った方がよいですか? それとも、親から話を切り出すのがよいでしょうか?
A.どちらも合わせて行うのがよいでしょう。子供は自分が聞いたこと、見たこと、発見したことを自然に質問してくるものです。ポイントは「性の話をするのはタブーだ」と感じさせないことです。そうでなければ、子供が愛やセックスに関わる際、「変だ、危険だ、話をしてはいけないことだ」という感情を持たせてしまいます。
また、この頃に女の子と男の子の身体の違いについても話してあげるとよいでしょう。この性の違いのおかげで愛があり、赤ちゃんが生まれると話をしてあげるのです。
以上、2つの質問と答えだけでも、日本とフランスの文化の違いを感じるアドバイスが見られる(フランスでは子供が小さくとも大きくとも、両親は子供の前でキスをするし、手を握ったりする)。
「同性愛」についてしっかり教えるべき
他にもフランスらしいアドバイスとして、「同性愛」についてしっかり教えるべきだというコメントもあった。ただし、同性の友達との友情と愛情の違いについて触れ、混乱を避けるよう注意もある。
フランスでは日々の会話やテレビでも「同性愛」について耳に入ってくることが多いので、親が教えないままにすると間違った知識を耳に入れて、「アンチ同性愛者」になりかねないからだ。
「セックスを楽しむこと」に罪悪感を抱く人も多い
日本でこのアドバイスをそのまま活かせるとは限らないが、子供の頃から「性はタブー」という雰囲気を感じ取って大人になった人は多いのではないかと思う。
そのせいか、私の周りの女性には「セックスを楽しむこと」に罪悪感を抱いたり、「セックスが苦手」という人も案外多い。それが理由で離婚した友人までいる程だ。
「性は愛の為に大切なもの」そして、「タブーなことではない」これは、大人になった今でも覚えておきたい性教育のポイントかもしれない。
参考記事:Madame Figaro