壇蜜や遠野なぎこも悩む「薄毛女子」が増加中! 毛髪専門ドクターに聞く、原因不明の髪トラブル対策

現在、薄毛や抜け毛といった毛髪のトラブルを抱えている日本女性は約600万人もいるといわれています。日本の人口に割り当てると女性の約10人に1人の割合。壇蜜さんや遠野なぎこさんなど、芸能人の中でも薄毛に対するコンプレックスを公表している方が数多くいらっしゃいます。
今回は毛髪に関するトラブルを専門的に治療する毛髪専門クリニック『銀座HSクリニック』の院長、北嶋渉先生に女性の薄毛について詳しくお話をお聞きしました。
薄毛女子が急増!その原因は日本人女性の美意識の高さにあった!
――女性の薄毛が多くなっているその理由はどのようなものなのでしょう?
北嶋渉先生(以下、北嶋):薄毛などの毛髪トラブルに悩む女性の全体数は変わっていませんが、クリニックを受診される患者さんの数は年々増加しています。受診される患者さんが多くなっている理由は専門的なクリニックが増えたということもありますが、日本人女性の美意識が昔に比べ高くなっていることが挙げられますね。他人が気づかないような変化にも敏感に反応し、気にする人が多くなってきています。
――男性の場合は男性ホルモンが原因とされていますが、女性の薄毛はどのような原因が考えられるのでしょうか?
北嶋:女性でも男性ホルモンが原因のいわゆるAGA(男性型脱毛症)を発症することもありますが、女性の場合は頭部全体の毛髪が薄くなる「びまん性脱毛症」を発症しているケースがほとんどです。びまん性脱毛症の原因は加齢に伴う老化によるホルモンバランスの変化や貧血、内臓疾患、ストレス、過度なダイエットなどさまざまなものがあり、原因を特定するのが極めて難しいといえます。
――ストレスは脱毛の原因に大きく関わるものなのですか?
北嶋:関わるとは思いますが、ストレスとかって数字とかで計れるものではないので、実際のところはよくわからないのです。
――薄毛を発症してしまいやすい人の特徴は何かありますか?
北嶋:よく、ロングヘアの方が薄毛になりやすいとかっていいますが、髪の長い短いは特に関係ないですね。見かけも同年代に比べて老けている人が薄毛を発症しやすいというわけではありません。ただ、母親が薄毛傾向にある場合は薄毛になりやすい要因を持っているといえますね。体型や声などが似てしまうように、毛髪も似る傾向にあります。
――ライフスタイルの中で注意した方がよいのはどのようなことでしょうか?
北嶋:ありきたりですが、やっぱり睡眠を規則正しくとること。一般的に体にいいことは髪にもいいですから。ゴールデンタイム(22時~2時)に質のよい睡眠をとることが重要です。
あとは食生活。体に悪そうな偏った食事というのはあんまりよくないです。偏食は健康を損ねるので、当然、頭皮の健康も損ねることになります。
シャンプー・コンディショナー、パーマや染髪の影響
――シャンプーをする上で注意すべきポイントとは?
北嶋:頭皮をあまりゴシゴシ擦らないことですね。爪を立てず、指の腹で優しく洗うことが大切です。あとはすすぎをしっかりとすること。頭皮の脂を出した方がよいとよくいいますけど、実際、そんなに擦らなくても汚れは落ちるものです。洗顔と同じですよ。泡をつけるだけでも汚れはある程度落ちます。顔をゴシゴシ洗う人って今の時代あまりいないですよね。頭皮も顔と同じです。
――頭皮を洗うブラシとかマシンとかは使わない方がいいのですか?
北嶋:良い悪いは一概には言えませんけど、やっぱり手の方が感覚を掴みやすいので、自分の指の腹で洗う方が良いと思います。ブラシだと刺激を与え過ぎてしまう恐れがあるので、使うならマシンの方がいいかもしれませんね。
――薄毛対策のためにはどのようなシャンプーを選ぶべきなのでしょう。
北嶋:シャンプーは特にないんですよ。その人にとって使い心地がいいシャンプーを選ぶのがベストです。例えば乾燥肌の人は脂をとり過ぎるシャンプーはあまりよくないといった感じですね。シャンプーを使用して頭皮のかゆみやかぶれなど異常がでる場合は合ってないと言えますが、何もなくて、何となく髪の調子がいいと思えるシャンプー、それがベストです。どんな成分の入ったシャンプーがいいとか、ノンシリコンがいいとかアミノ酸系がいいとかも特にありません。
――コンディショナーが頭皮につくのはあまりよくないと聞きましたが、やはり気をつけるべきでしょうか?
北嶋:あんまり気にしなくていいと思いますよ。実際、どうやろうがついてしまうものですしね。当然、メーカーもそういうこと前提に作っているので、そんなに関係ないと思います。
――パーマや染髪が薄毛を招くというのは事実ですか?
北嶋:あんまり関係ないですね。ちゃんとしたサロンでちゃんとした製品を使用すればそんなに問題ではないといえます。
――男性の薄毛より女性の薄毛の方が改善できる可能性は高いといえるのでしょうか?
北嶋:高くはないですね。一度、結構薄くなってしまった人の場合は自分のケアだけでは限界があります。100%治るとは言い切れませんが、セルフケアよりはクリニックで治療を受けた方が薄毛を改善できる可能性は高いでしょう。
3か月くらいのセルフケアで効果がなければクリニックへ
――薄毛が気になったらどのようなケアをすべきなのでしょうか?
北嶋:睡眠の確保や食生活などの生活習慣に気をつけて、シャンプーの仕方に気をつけて、それでも改善しなかったらクリニックに行ってみるというのが一番効率的だと思いますよ。3か月くらいセルフケアを続けて、それでも効果がなかったらそれ以上続けてもあんまり意味がないと思うので。育毛剤や養毛剤を使ったケアの効果をみる期間もだいたい3か月くらいですね。あと、ヘッドスパや頭皮マッサージも頭皮環境を整えるという点では良いケアだと思います。
――クリニックで行っている治療はどのようなものですか?
北嶋:当院で行っているのは飲み薬と育毛剤の処方ですね。これが基本。あとはノーニードルメソセラピーという毛根の成長因子を頭皮に浸透させる治療を併用される方が多いですね。個人差はありますが、ノーニードルメソセラピーは薄毛が進行してしまった人に対して効果が現れやすい治療になります。針を使わないので痛くはありませんが、2週間に1回、約半年間治療を続けることで効果を実感されるケースが多いです。
――薄毛に悩む女性にひと言お願いします。
北嶋:薄毛を改善するためにクリニックを受診するというのは、結構ハードルの高いことだと思うんですよ。でも、3か月悩んで、セルフケアをやってみて、それでも悩みが解決しなかったらクリニックに来てほしいですね。それこそヘアサロンでヘアケアを受けるような感覚で。一度診察を受けてみることで、悩みやコンプレックスから解放されるきっかけになると思いますよ。
●北嶋渉
銀座HSクリニック院長。銀座HSクリニックは毛髪治療を専門とする皮膚科医院。院内は清潔感のあるサロンのような雰囲気。治療ルームは完全個室。丁寧なカウンセリングにも定評あり。患者個人の状態に合ったオーダーメイド治療で薄毛の改善、健康な毛髪の維持に取り組んでいる。
(橋本真澄)