リクルートゼクシィなび代表取締役社長・貝瀬雄一氏インタビュー(前編)

「我々が少子化を食い止める」 ゼクシィが“婚活ビジネス”に参入したワケを社長に直撃

「我々が少子化を食い止める」 ゼクシィが“婚活ビジネス”に参入したワケを社長に直撃
ゼクシィが婚活ビジネスに参入したワケ

リクルートゼクシィなび代表取締役社長・貝瀬雄一氏

恋愛に消極的な若者が増えている。リクルートマーケティングパートナーズの「恋愛観調査2014」によると、20~40代未婚者のうち、恋人がいる人はわずか26.5%。20代男性に限ると、これまで恋人と「付き合ったことがない」人が4割にのぼる。一方、恋人がいない人の3人に2人は「恋人が欲しい」と考えており、「恋人探しの方法が分からない」という若者像も浮かび上がる。こうした現状を受け、リクルートは昨年12月、「ゼクシィ縁結び」「ゼクシィ恋結び」という2つのサービスを開始した。これまで「花嫁」を対象にしてきた「ゼクシィ」が、ついに婚活ビジネスに参入する意図とは? 最近の20代、30代男女の恋愛、結婚観にひそむ「問題点」とは? リクルートゼクシィなび代表取締役社長、貝瀬雄一氏にお話を伺った。

“混ぜるな危険” 「婚活」と「恋活」は全くの別物!

――今回、「ゼクシィ恋結び」と「ゼクシィ縁結び」という2つのサービスをリリースされた経緯を教えて下さい。

貝瀬雄一さん(以下、貝瀬):我々ゼクシィには、「少子化を食い止めるために結婚を増やしたい」という思いがあります。ですので、メインブランドは「ゼクシィ縁結び」という、主に30代を対象とした「婚活」サービスです。このスピンオフとして「ゼクシィ恋結び」という「恋活」サービスという構造になっています。メインブランド「ゼクシィ縁結び」の前身は、リクルートが提供していたTwinCue(ツインキュ)というマッチングサービスですね。

――「婚活」と「恋活」を同時に進めていくということですね。

貝瀬:我々は「混ぜるな危険」と呼んでいるのですが、「婚活」と「恋活」は違うんですね。たとえば、「婚活パーティー」と「街コン」は近いもののように語られますが、「街コン」は婚活というより「恋活」なんですよ。友達と2人で出掛けて、わいわい飲食店を巡りながら、ついでに恋人を探す。街コンには、「お見合いに行ったわけじゃなくて、飲食店巡りを楽しむために行ったんだ」という、いわゆる「言い訳の機能」があるんです。そういう気軽でオープンなイメージがないと、20代は入りづらい。対して、「婚活」と名前がつくと、ユーザーさんは30代が中心になります。「恋活」と「婚活」では、ターゲットの年代が違ってくる。

2030年には男性の4人に1人、女性の5人に1人が一生独身に……

――サービスを開発されるなかで、若者の結婚観として浮かび上がってきたものはありますか?

貝瀬:今、未婚男女の半数、約800万人にパートナーがおらず、その9割はいつかは結婚を希望しているんです。となると、720万人が結婚相手を探しているんですね。その方々が恋愛・結婚に至っていない理由を伺いますと、「出会いがない」。もうひとつ衝撃的な数字が、現在、未婚の方の4人に1人、約28.9%が、これまでに一度もお付き合いをしていない。20代男性では4割に上ります。このままいくと、日本はマズイことになると思いました。生涯未婚率も2030年には男性が4人に1人、女性は5人に1人というのは、将来が明るくないな、と。

――男女ともに「出会いがない」ということですね。

貝瀬:「出会いがない」とおっしゃっている方々、20人くらいに、直接お話を聞いたんですが、僕が思っていたよりも「職場恋愛」に対しての温度感が冷めてきているように思います。1960年代前半までは、お見合い結婚が7割くらいで、そこから自由恋愛が増加しましたが、「お見合い」の機能をどこが代替したかというと「職場」なんですね。この流れが崩れてきているのと同時に、転職も増えてきて、非正規、派遣社員などの増加、さらに女性の社会進出など、「働き方」が多様化する中で、職場での出会いが少なくなってきた。職場以外に、出会いを探しに行きたいけれど、その環境がどこにもないというのが、私の感じているところです。

合コンにも消極的な若者たちが求めるのは「偶然の出会い」

貝瀬:とはいえ現在「出会い」のきっかけで多いのは、合コンも含めた「友人の紹介」や「同じ会社や職場」です。ただ、昨今は「合コンで出会うって、ちょっと軽いよね」という価値観もあるようです。「職場も合コンもダメ、じゃあ、理想の出会いは?」と聞くと、「同窓会」と。でも、同窓会って2年に1回とかでしょう(笑)。若い人たちは「自然で偶然的な出会い」を求めているのですが、それが、かなり概念化している。そうこうしているうちに、20代が30代になり、出会いのチャンス自体が減少していくわけです。

――ゼクシィさんのサービスを含め、「データによるマッチング」サービスが増えれば増えるほど、同窓会や、カフェで隣り合わせ、という「運命的なもの」への憧れが強くなる、というジレンマを感じます。

貝瀬:逆にいいますと、我々はサービスを通して新しい「自然な出会い」の形を提案し続けていきたいと考えております。すでに「ABCクッキング」との料理イベントですとか、「皇居ラン」も企画しました。「皇居ラン」では男女40人ずつが皇居を一周して、そのあと着替えてパーティーに移るんですが、最初に一緒に走った時の印象と、着替えた後の印象が違いますし、お酒も入って、非常に盛り上がりましたね。

「最後の恋を楽しむ」プロセスを手助けする

――「自然な出会い」の演出があるんですね。よく、婚活パーティーというと、男女がズラっと並べられて、30秒ごとに話して、というイメージがありますが。

貝瀬:あれは、業界では「回転ずし」といいます。合理性は高いのですが、我々はもう少し肩ひじ張らずに気軽に出会いが生まれるサービスも考えていきたい。そこで、「私は走りに来た」「お料理をしにきた」という入口の“言い訳”が大事になります。婚活というのは、「最後の恋を楽しむ」というプロセスですよね。そのプロセスを楽しんでほしいのです。

>>【後編につづく】20人と会えばほぼ結婚できる? ゼクシィなび社長が語る、結婚における「神様の確率論」

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