遺伝子やホルモンは知るほど面白い。生命科学アカデミー5

「星占い」には根拠があった! 生まれ月をベースにした最新の遺伝子研究

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「細胞から考える」を掲げ、最先端の研究をベースにスキンケアアイテムやサプリメントなどを展開する「fracora(フラコラ)」。同ブランドが運営するYouTube番組「生命科学アカデミー」では、最先端の生命科学の知識を紹介しています。

私たちの体の中では、健康維持のために様々な物質が働いています。その一つが「遺伝子」や「ホルモン」であり、健康寿命を延ばすために、ものすごいスピードで研究が進んでいる分野でもあります。

そこで、「生命科学アカデミー」は今回、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の伊藤裕(いとう・ひろし)医学部名誉教授をゲストに迎え、遺伝子やホルモンに関する最新研究について語っていただきました。第5回目のテーマは「西洋占星術を科学する」。科学的な観点から見た西洋占星術の信ぴょう性とは——。聞き手は生命科学アカデミーのHIROCO学長です。

生まれ月は性格やかかりやすい病気にも影響?

——伊藤先生は、西洋占星術アドバイザーの資格をお持ちだとか。「占いは科学」とよく言われますが、これは本当でしょうか。

伊藤裕教授(以下、伊藤):最も私が得意とする分野ですね(笑)。占いにもいろいろな種類がありますが、有名なものに血液型占いがあります。皆さんがよくご存知のように、血液型は遺伝によって決まり、A・B・O・AB型の4種類しかありません。A型の人は几帳面、B型の人は自由、O型の人はおおらか、AB型の人は個性的……といったイメージを持たれることが多いですが、専門家としては、血液型の違いだけで性格が分類できるとは思えないんですね。一方で、星占いに関しては、信ぴょう性が高いと僕なりに考えています。

——なんと! それは、どのような理由からでしょうか?

伊藤:以前、子宮の中の環境が遺伝子に影響するとお話ししましたが、お母さんのお腹の中にいた時期によって、性格やかかりやすい病気が変わってくることがわかっています。赤ちゃんの遺伝子の使われ方というのは、外の気温や、お母さんがどんな季節の食材を食べていたかによって決まってくるんです。

お母さんのお腹の中で、いつどんな成長をしてきたかというのは、生まれた月から逆算できます。そして、西洋占星術は、実はその時期の特性を見ているんです。これに関しては科学的な研究も行われていて、最近では、アメリカのコロンビア大学で、生まれ月ごとの「かかりやすい病気」に関する論文も発表されました。

母親が浴びる日光の量が赤ちゃんに影響

——生まれ月と、病気のかかりやすさが関係しているというデータが出てきたんですか!?

伊藤:そうです。中でもおもしろかったのは、3月、4月に生まれた人のデータですね。星座でいうと、魚座や牡羊座。この時期に生まれた人は、心臓の病気や脳卒中にかかることが多いというデータが出ています。ちなみに、一番病気にかかる率が少なかったのは、5月生まれの牡牛座の人たちでした。

このデータに対して、いま最も有力なのが、日照時間の影響に関する説です。つまり、太陽の光をたくさん浴びられる季節に、お母さんのお腹の中で一番大事な時期を過ごした人たちと、そうではない人たちとでは、病気のかかりやすさが違うんですね。

——日照時間は何に影響するのでしょうか。

伊藤:私の分野で言うと、ビタミンDです。ビタミンDというのは、太陽の光によって活性化される物質で、「欧米は日照時間が少ないためにうつ病になりやすい」という話もよく聞きますよね。

ビタミンという名前がついていますが、実は、ビタミンDはホルモンの一種です。体内でコレステロールから作られる物質であり、太陽の光を浴びると、皮膚、肝臓、腎臓で生成されます。

最近わかってきたことは、ビタミンDが赤ちゃんの胎盤に作用して、その機能を変えるということ。これは、いま一番新しい医学領域の話ですが、胎盤からは、色々なホルモンが出ているんです。そうやって出てきたホルモンが、赤ちゃんに供給されている。

簡単に考えると、お母さんが太陽の光を多く浴びると、ビタミンDをたくさん作ることができ、その影響を胎盤が受けて、胎盤由来のホルモンが赤ちゃんにたくさん供給されることになります。それによって、赤ちゃんの体内でエピゲノムの変化が起こり、生まれてからの太りやすさや、糖尿のなりやすさが決まることがわかってきたんですね。

病気にかかりやすい臓器を知り事前のケアを

——そういうことが、科学的に証明されてきているんですね。生まれ月とかかりやすい病気の関係を、一覧で見られる本などは……。

伊藤:宣伝になってしまいますが、私の著書『「超・長寿」の秘密――110歳まで生きるには何が必要か』(祥伝社新書)に載っています。具体的には、各星座の人が、どの臓器に気をつけたほうがいいのかという内容。これは、私たちの体が、お母さんのお腹から出てくる順番によって決まります。4月生まれの牡羊座は、頭の病気にかかりやすいんです。先ほどご紹介した、コロンビア大学の研究とも合致しますよね。

——頭から足に向かって病気が移動していく?

伊藤:はい。7月生まれの蟹座は、Cancer=がん、特に胃がんにかかりやすいです。私は11月生まれの蠍座ですが、大腸・泌尿器・前立腺が危ないですね。

——私は2月生まれですが、どんな病気にかかりやすいでしょうか?

伊藤:1月生まれの山羊座を越えると、体の部位が足しか残っていません。魚座の人は、ウオノメくらいしかかかる病気がない。嘘のようですが、一応、これは真面目に言われている説なんですよ。

よくあることですが、4月生まれの子が学校へ行くと、体が大きいのでなんとなく大人っぽく見られて皆から頼られますよね。リーダー気質もあって、学級委員などに指名される人が多い。ただ、リーダーというのはプレッシャーがかかるし、ストレスも高いじゃないですか。そういうことが重なって、血圧が上がり、脳卒中になる人が多いというのが、僕の仮説です。

星座と健康リスクの関係が本当かというのは、まだ推測の域を出ていませんが、ケアすべき臓器を知っておくことは悪いことではないですからね。

体内時計をつかさどる「時計遺伝子」

——先ほど、太陽の光の話が出ましたが、体内時計をつかさどる遺伝子群である「時計遺伝子」についても教えていただけますか。

伊藤:私たちは全員「時計遺伝子」を持っていますが、なぜ「時計」かというと、外部からの刺激に関係なく、同じ周期で時を刻むことができるからです。この時計の周期、あるいは振れ幅を変える2つの要因があり、1つが「食べること」、もう1つが「太陽の光」なんですね。

人間の目に光が入ると、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)がその光を感じて、体全体に命令が伝わっていきます。それによって、体内の時計遺伝子がリセットされるんです。先ほど、太陽の光によってビタミンDの生成量が変わるとお話ししましたが、何時くらいにどういった周期で光を浴びたのかということも、エピゲノムを変える非常に大きな要因になります。

——いつ光を浴びるのがベストなんですか?

伊藤:朝起きた時は、必ず自然光を浴びたいですね。窓越しでも構いません。

——「お母さんのお腹の中」というワードが何回か出ましたが、妊娠中はシミができやすいので、UVケアを入念にされる方が多いと思うんですよね。日焼け止めを塗った場合も、太陽は浴びていることになるんでしょうか?

伊藤:これまでは主に光の明るさが研究の対象となっていました。そういった意味では、光の質というか、赤外線とか紫外線など、人間が感知できない波長の光がどれだけ影響を及ぼすかは、まだわかっていません。なので、UVカットをしたほうがいいかどうかということも、現在進行形で論議されているところですね。

——これから研究が進んでいくんですね。

伊藤:現在の眼科領域で、一番ホットな議題だと思います。

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