2月12日は「オートファジーの日」!企業やメディアがオートファジーに注目する理由とは

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2023年2月12日にオートファジーの日が制定されました。これは、オートファジーの最新の研究と産業活用のさらなる発展を目指し、アカデミア集団と企業が集まって発足された一般社団法人日本オートファジーコンソーシアムが制定(一般社団法人日本記念日協会 認定)したものです。

同日、日本オートファジーコンソーシアムの代表理事を務める、大阪大学 栄誉教授 吉森 保先生をお招きし、「生命科学アカデミー」(主催:fracora)と「UHAココロカラダチャンネル」(主催:UHA味覚糖株式会社)で、「2/12 オートファジーの日記念!オートファジー秘話を語る」が生配信されました。

本イベントには、吉森先生のほか、美容と健康メディア『からだにいいこと』編集長の奥谷裕子さん、UHA味覚糖株式会社 執行役員の松川泰治さん、「生命科学アカデミー」のHIROCO学長こと竹腰泰子さんが登場。オートファジーについてたっぷりと語り合いました。

※本記事は「生命科学アカデミー」と「UHAココロカラダチャンネル」で配信された内容を、ウートピ編集部で再編集したものです。

オートファジーってダイエット方法のこと? 実は、違います。

2016年に大隅良典先生(東京工業大学栄誉教授)がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで話題となった「オートファジー」。

大隈先生とともにこの分野の第一人者として評される吉森先生は、哺乳類のオートファジーの役割について研究し、さまざまな病気との関連を調べています。著書『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(日経BP)は、細胞や生命科学の基本から「科学的思考」まで学べると多くの人の間で話題となりました。

吉森先生の著書『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(日経BP)

吉森先生によると、オートファジーとは「細胞が持っている働き」とのこと。活性化することで、病気の予防、ひいては健康長寿の近道につながると個人の健康や社会にとって良い影響があると期待されています。しかし、まだ一般への認知度は低く「オートファジー=ダイエット」だと考えている人も少なくないようです。

吉森先生は「最近ではダイエット法としても取り上げられていますが、実は違います」と言い、次のように説明します。

「それ以上の働きがあることをまず知っていただきたい。人間は約37兆個の細胞からできていて、それぞれの細胞にオートファジーという仕組みが備わっています。目には見えない細胞の中の小さな世界で、細胞のシステムをメンテナンスしているのがオートファジーです。例えば、病原体やアルツハイマーの原因となるタンパク質の塊などを分解する働きもします。オートファジーは、健康の維持に重要な働きをしているのです」

なぜ2月12日がオートファジーの日なの?

高齢化社会において、健康維持は大きな課題です。その課題解決のカギを握るオートファジー。けれど、なぜ2023年の2月12日がオートファジーの日に制定されたのでしょうか?

オートファジーの歴史について吉森先生は次のように解説します。

「オートファジーは1950年代に発見されましたが、しばらく研究が進まず、その働きはよく理解されていませんでした。

そのような中で、酵母を研究対象にしていた大隅良典先生が1993年にオートファジーに必要な遺伝子を発見したのです。それにより、各分野でのオートファジー研究が急速に進み、その功績により大隈先生はノーベル賞を受賞しました。

ちなみに、ベルギーの生化学者クリスチャン・ド・デューブ氏が、1963年に初めてオートファジーという用語を公式の場(ロンドンで開催のCiba Foundation Symposium on Lysosome学会)で使った日が2月12日であったため、この日をオートファジーの日と制定しました」

「日本オートファジーコンソーシアム」を立ち上げた理由

吉森先生は日本の研究について、「基礎研究の分野で世界をリードしていたとしても、応用する段階になると失速しがちなのが日本の現状です。オートファジー分野も応用研究の特許数では米国、中国、韓国に負けている状態なので、産官学で連携して巻き返すための仕組みを作りました」と話しました。

その仕組みが、2020年に設立された「一般社団法人日本オートファジーコンソーシアム」とのこと。大隅先生を最高顧問として迎え、吉森先生が代表理事を務めています。

オートファジーに対する企業の注目が高まる中、産官学を一体化した研究を促進するため、定期的なシンポジウムやネットワーキング会を開催するなど、精力的に活動を行っています。

オートファジーが『健康トレンドキーワード賞』を受賞した背景

イベントの後半からは、『からだにいいこと』編集長の奥谷裕子さんが登場。雑誌で取り上げた理由について次のように話します。

「デトックスやCBD(カンナビジオール)など、海外発の健康ブームが日本で流行るケースが多いなか、日本から世界へ広めていけるものがあるということに感銘を受けました。また、バランスのとれた食生活や十分な睡眠など、昔からからだにいいと言われてきたことがオートファジーに関係している点も、大変興味深いですね。

そのような観点から、雑誌『からだにいいこと』でも『2022年 からだにいいこと大賞』の『健康トレンドキーワード賞』の一つにオートファジーを選定しました。オートファジーに注目したサプリメントや化粧品も、『からだにいいこと大賞 ヘルス部門』のウェルエイジング賞を受賞しています」

日々の暮らしで気をつけるポイントは?

今回の配信では、視聴者からの質疑応答時間も設けられました。

「食事の時間によってオートファジーの働きは変わりますか?」という質問について、吉森先生は「一番避けていただきたいのは、寝る間際に食べることです。オートファジーを上げるスイッチは睡眠時にオンになるのですが、寝る間際に食べると、アミノ酸や脂肪によってオートファジーの働きが抑えられてしまいます。また、ダラダラと食べ続けるのもおすすめできません。食べ続けていると、オートファジーの働きが抑えられたままになってしまうからです」と回答。寝る前の食事は控え、オートファジーのスイッチを入れてから寝ることの重要性を説きました。

また吉森先生は、「日々起こるオートファジーを止めないことが大事」と解説。「ザクロの成分に加えて、アスタキサンチンやカテキンなど、普段の食事で摂取できる成分もオートファジーの活性化に役立ちます。他にも、適度な運動や睡眠など、昔からからだにいいと言われてきたことがオートファジーの助けとなることがわかってきました。とはいえ、からだにいいと言われてもなかなか実践できないのが人間です。そんなときは、ぜひ私たちの研究を思い出してください。『科学的な裏付けがある』と思えば、モチベーションが上がるかもしれません」と自身の体をケアするコツについて話しました。

■動画で見る方はこちら

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