「恋人が欲しい」「結婚したい」というアラサー女性。焦って合コンに参加したり、女子力アップに励んでみるものの、結果はイマイチ。一生懸命になればなるほど傷つくばかり……。いったい、何がいけないの?
そんなこじれた胸の内を、これまでたくさんの「人」「恋愛」に触れてきた、女装家、エッセイスト、バーのママであるブルボンヌさんに聞いてもらいましょう。最終回は、「ただの盛り上げ役になってしまう」というお悩み。
「ブルボンヌさん、私はつい合コンで盛り上げ役になってしまいます。気付いたらいつも幹事、積極的に下ネタを話すので、楽しい合コンにはなり、周囲にはいくつもカップルが誕生しましたが、私に恋の予感はゼロ。どうしたらいいでしょうか」 N・Tさん(東京都・30歳 会社員)
二丁目は気立てのいい子は大好きです
いい子じゃない! アタシはこういう子は大好きだよ。盛り上げ役になっちゃうのは、色々な要素があるんだけど、実はこういう子の半分はそれなりに顔立ちも整ってる子が、根っからの芸人気質で盛り上げる。でも残り半分は、良くも悪くも自分がおしとやかにしているだけで男性が寄ってきてくれないから、全体の役割としてまさしく「女芸人」の役割を買って出ちゃう。そういう子たちは顔面的にもレベルが高くなかったりする。
でも二丁目はこういう子は大好きだから。二丁目は受け入れるわよ。「アンタは本当にいい子よね。ブスだからモテないけどね」って正直に言ってあげるわ。でもね、顔面がたいしたことないのに、モテる風に振る舞っている方が、男性からの失笑の的になるから。盛り上げ役の子たちを、男たちも「あの子はいい子だな」と思ってはいるのよ。付き合いたいとは思わないだけで。だけどアタシは、こういう子の気立てのいい部分をちゃんとアリだと思ってくれる男が現れると思う。思いたい。だって性格がいいもん。
恨みは「くさみ」の発生源。ご注意あれ
問題は、中途半端に「私だってちやほやされたいのに、なんとなく顔面で負けている気もするし、実際しゃべりも上手いから盛り上げ役になってるけど……」って恨みつらみも発生しやすい状況になること。そこが強いと人としての「くさみ」になって、性格の悪い女芸人になっちゃう。
ちゃんと性格を見る男もいるよ。でも、そういう人は合コンには来ないと思う。だから、合コンで鍛えられた優しさを、他の生活の部分で発揮して「いいやつだな」って思われればいいのよ。
あとは「私がやってあげてる」とは思わないで。「合コンでは可愛い子たちが目立つけど、私はみんなを笑わせる方に自分の価値を見出すし、そんな自分を楽しもう」と思えるくらい前向きでいてほしい。
20代も特に前半は、顔面偏差値が与える差がすごいけれど、若い頃チヤホヤされてた子がこじらせた30代になると厄介よ~。時間が経てば、どうやっても若々しさ、瑞々しさは劣化するもの。年齢とともに、物理的な顔面偏差値の差は縮まってくるの。その分それまで培ってきた人の良さなり「こいつと毎日一緒にいたら楽しいだろうな」という部分が大切になってくる。最終的には顔じゃないんですよ。
恋愛は「少年性」と「母性」の組み合わせ
私が四半世紀一緒に暮らしているパートナーがいるんだけど、本来のアタシの好みとは真逆の人なのね。でも愛情も深いし、きっと死ぬまで一緒なんじゃないかなとも思っている。恋愛って、「少年性と母性」という組み合わせが多いと思うの。それで言うと、私は少年側で同居人は母側。やんちゃな自分を許してくれると、相手は本当に甘えられる存在になってくるし、しみじみと感謝できる存在になってくる。だから母性とか、包容力がある女は、少々ブスでも最後にいい男をモノにできると思うわ。
ウチに来る子で、面白い女がいるんだけど、決して美人じゃないのよ。でも旦那は年下で、ゲイもノンケもみんながカッコいいと絶賛するイイ男なの。最初はみんな冗談で「金でも握らせてるんじゃないの」と言っていたくらい。どんななことも平気でする女芸人みたいな子なんだけど、家ではお弁当作って持たせたり、ちゃんと相手に尽くしてるのね。
遊びたい男を泳がせることのできる器の大きさを
そのダンナは年下の遊びたい盛りだから、ちょっと他の女をつまみ食いをしてしまうこともある。でもその子は「そのくらいの男の方が魅力的じゃない?」って。大きな心で見ているからこそ、イイ男があの奥さんの側にいるし、男の本能で若い女とフワっとした浮気をしても、最終的に戻ってくるのは奥さんだし、ずっと離れないんだと思う。
男は種まき本能があるから、あまりにも縛られると苦しい獣なんだよね。そこを母性的な感覚で泳がせてくれたら、男にとって器の大きいいい女に映ると思うよ。若くもない、超美人でもない女が「絶対浮気は許さないからね!」と言ったら、その男はその女に何の魅力を感じればいいのって話。自分が若くなくなって、とくに顔面が優れているわけでもなければ、譲歩できるところは譲歩していきたいじゃない。
心の大きい女が、最終的に本当の上玉をモノにできるんだと思う。つまらないことを言う女は最終的に面倒臭い女になってくるもの。「人を笑わせる側」に回る優しさを自分で楽しんでると、いつかきっと気付いてくれる「本当のイイ男」が現れるって思うな。
●ブルボンヌ
女装パフォーマーエッセイスト、タレント。新宿二丁目のゲイミックスバー「Campy! bar」をプロデュースするなと多方面で活躍。『午後のまりやーじゅ』(NHK第一)木曜パーソナリティー、『ハートネットTV』(NHK)にも出演。