「みんなもしてる」が背中を押す… 夫婦問題専門家に聞いた、今年の“不倫ブーム”3つの理由

「みんなもしてる」が背中を押す… 夫婦問題専門家に聞いた、今年の“不倫ブーム”3つの理由

既婚女性が不倫の一線を越える理由

『昼顔』『同窓生』『若者たち』『紙の月』『さよなら私』など2014年は不倫ドラマのあたり年だった。なぜ今、「不倫」が視聴者の心をとらえるのか。不倫に踏み出してしまう女性を後押しするものは何なのか。「恋人・夫婦仲相談所」の所長であり、All aboutでのコラムや数々の夫婦についての著書を持つ二松まゆみさんに話を聞いた。

1. 夫は“いい人”だけど……。解消できないプチ不満

大ヒットしたドラマ『昼顔』や、現在、放送中の昼ドラ『シンデレラデート』では、世間では評判がいい“いい夫”への細かい不満が募っているところに、アクシデント的な出会いで恋に陥る様子が描かれている。二松さんの著書『妻たちの昼の顔 実録 赤裸々不倫体験』(kindle版)では、30代から50代の既婚女性が、実際に不倫に走る背景が赤裸々につづられているが、妻たちが抱えているものは「夫への不満」だ。

「夫婦関係が揺るぎないものだったら、いくら素敵な男性が現れても浮気しませんよね。『昼顔』でも夫への不満は小さなものでした。大したことがない不満も、積もり積もると、夫婦の足場がグラつくもの。夫が世間的には“いい旦那さん”だった場合、小さな不満があっても、愚痴をこぼすこともできません。そうしたプチ不満が増幅しているところへ、優しい言葉をかけてくれる男性が現れたら、そちらに走ってしまうことも。プチ不満の内容は人によって様々。セックスレスだから不倫する、という単純なことではありません」(二松さん)

2. 「エア恋愛」のつもりが。“恋愛感情”で燃え上がるセックス

既婚女性も、仕事を続けていたり、家庭の外に活動の場が広がったことも、現在のブームの要因と二松さんは指摘する。

「ジャニーズや韓流アイドルに熱を上げる“エア恋愛”という言葉が浸透しました。“エア”なうちは可愛いものですが、それが現実になれば不倫になる。SNSで同級生に再会した、スポーツジムに素敵なインストラクターがいたなど、現代は結婚していても出会いが多い。何かのはずみで一線を越えてしまうことも」(二松さん)

また、不倫ドラマにつきものなのは、ロマンティックで濃厚なセックスシーン。現実でも不倫相手とのセックスは盛り上がる模様。なぜ長年慣れ親しんだ夫よりも、不倫相手とのセックスのほうが盛り上がるのだろうか。

「女性は恋愛感情があると、オーガズムに達しやすくなります。不倫経験のある既婚女性は、みんな夫よりも不倫相手とのセックスの方がいいと言います。長年連れ添った夫には、家族としての愛情を感じても、恋愛感情は薄まるもの。ひとたび恋愛でなくなると、関係が戻ることは難しい。寂しい気持ちを抱いていたところに、夫以外の男性に、“女”として扱ってもらうと、『まだ私は女として見てもらえるんだ』と嬉しくなりますし、その分、興奮が高まるのかもしれません」(二松さん)

3. 女性の経済力向上で、離婚されてもどうにかなる

不倫ブームは結婚後も働く女性が増え、経済力が向上したことも関係しているという。

「既婚女性の不倫が終わるときは、ほとんどが夫にバレたとき。不倫関係を解消して家庭に戻る女性も少なくありません。ただ、80年代に放映された『金曜日の妻たちへ』の頃の不倫ブームと今が異なる点は、働く女性が増えたこと。不倫がバレて離婚に至っても、その後どうにか生活できるようになりました。女性の経済力の向上が不倫へのハードルを下げたと言えます」(二松さん)

また、二松さんは、今のブームが不倫を後押しすると可能性もあるという。

「大義名分があると、不倫しやすくなります。著書の中でも『みんながしているから』という理由で不倫に走ってしまった女性もいました。40代50代になると『夫が浮気をしているから私も』というリベンジ不倫が増加します。とはいえ不倫は、あるときコロっとしてしまうもの。何が後押しするかは、その人によって異なりますよ。江戸、明治、不倫は昔からある。今のブームはテレビドラマの影響が強いのですが、いつの時代も不倫はハイリスクローリターンということを忘れないで欲しいと思います」(二松さん)
 

●二松まゆみ 恋人・夫婦仲相談所所長・作家(通称すずね所長)。未婚女性からも恋愛結婚sex相談が増加中。「セックスレス」「理想の結婚」「アンチエイジング」「ED」のテーマを幅広く考察。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン制作委員。日本メンタルヘルス協会心理学基礎コース終了。『夫婦仲がよくなるちょっとした習慣』(中経出版)『モンスターワイフ』(講談社)『夫とは、したくない。』(ブックマン社)『キョウイクSEX』(主婦の友社)など著書多数。メールマガジン「となりの寝室事情」など。

(編集部)

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