年を重ねるにつれて髪の毛が細くなってきた気がする」「頭頂部がぺたんこになってきた」「梅雨の季節はうねりがひどくなる」--。
髪についてのお悩みは尽きないもの……。
そこで、今回は、毛髪診断士の齊藤あき(さいとう・あき)さんに「ダメージケアのポイント」について伺いました。
髪の大敵は「乾燥」と「摩擦」
——頭皮や髪の毛がダメージを受ける要因を教えてください。
齊藤あきさん(以下、齊藤):例えば、季節によるダメージの主な原因は、夏は紫外線、冬は乾燥です。これからの時期は、特に乾燥してくるので、髪の毛のキューティクルが開いて、タンパク質や水分が出やすくなってしまいます。
乾燥すると、お肌の角層がペラペラとめくれてきますよね? それと同じで、乾燥すると、髪がパサつくので、乾燥を防ぐことがとても大事です。また、キューティクルはとても薄いので、摩擦もダメージの大きな原因になります。特に就寝中は、5kgほどの重さがある頭と、下にある枕にはさまれて、より摩擦度が高くなります。
——「乾燥」と「摩擦」が大敵なんですね。
齊藤:そうですね。キューティクルは、ちょっとしたことで傷ついたり、はがれたりするので、こまめに保湿してきちんと保護してあげることが大切です。そのため、日中はもちろん、就寝前にも、加水分解ケラチンやシルクなどのタンパク質成分を補ってください。アウトバス以外にも、ナイトキャップを使ったり、シルク製の枕カバーに替えたり、加湿器をたいたりして、就寝時の乾燥や摩擦に気をつけましょう。
また、空気が乾燥する冬だけでなく、夏も紫外線によって髪が乾燥しやすいので、保湿ケアは一年中必要です。加えて、夏は、皮脂詰まりを起こしやすいので、きちんとシャンプーをしたり、オイルクレンジングの回数を増やしていただいたりするといいと思います。シャンプーも、普段使っているものより、洗浄力の高いものに買い替えるといいでしょう。
くせ毛の原因は? ダメージケアを意識して
——髪質によって、ダメージの違いはありますか?
齊藤:くせ毛の方は、ダメージによってくせが出てしまっている場合があります。水分バランスが乱れてしまって、くせが出てくるんですね。どの髪質の方も、とにかく髪の毛が傷まないように保湿して保護することが基本ですが、特にくせ毛の方は、ダメージケアを意識してみてください。
——年齢によって、ダメージの違いはあるのでしょうか?
齊藤:基本的に、髪もお肌と同じで、30歳を過ぎたら下降線をたどっていきます。加えて、食事や生活習慣がひどい方は、一気に老化が進みます。だから、どんなライフスタイルを送っているのかによって、ダメージはまったく変わってきます。
お肌の老化と髪の老化はつながっている?
——お肌の老化と髪の老化は、つながっているんですね。
齊藤:そうですね。まぶたが下がってくると、老化現象は始まっています。また、東洋医学では、髪の毛のことを“腎の華”と表現します。“腎”とは、子宮系や泌尿器系のことを指していますが、性や生命をつかさどるところなので、そこが弱ってくると髪の毛にも影響が出てくるんです。だから、「若いときに比べて疲れやすくなったな」「体調を崩しやすくなったな」「ホルモンバランスが乱れやすくなったな」と感じたときは、老化が始まっていると考えていいと思います。
——ホルモンバランスが乱れる閉経後は、特にダメージが現れやすい時期なのでしょうか?
齊藤:一気に、“腎”が弱ってしまうので……。“腎”は、色で言うと「黒」なんですけど、「髪の健康のために、黒いものを食べましょう」と言われているのは、そういうことです。黒豆やわかめ、ひじき、こんにゃくなどです。“腎の華”というのは、「“腎”がきちんとしていれば、きれいな花が咲きますよ」ということ。つまり、髪の毛のことなんです。
ただ、残念ながら、女性は閉経後はどうしても“腎”が弱ってしまうし、年齢とともに筋肉量も減ってきて、タンパク質が髪の毛に使われにくくなります。代謝も悪くなるので、タンパク質を摂取しても、内臓や筋肉に優先的に使われてしまうんですね。髪の毛は二の次になってしまうんです。だから、年齢を重ねたら、タンパク質を意識して取ったほうがいいです。
——ほかに、老化のサインはありますか?
齊藤:「髪が扱いづらくなった」「セットに時間がかかるようになった」「シャンプー中に髪の毛が絡みやすくなった」といったことも、老化のサインです。生活習慣の影響で早い方だと、30歳後半ぐらいから老化して、抜け毛が多くなったり、ハリコシがなくなったりする方もいます。40歳代でバリバリ働いて、ストレスを抱えてる方も、髪の毛に現れます。そして、50歳代になると、閉経後にハリコシがなくなり、抜け毛がすごく増えてきて、60歳代になると、髪の毛が半分くらいに減っているということも……。睡眠やストレス、食事など、その方のライフスタイルによって、老化の進み方に違いが出ると思いますね。