アラフィフ作家の迷走生活 第8回

こんな妄想は、ヨガに対する冒涜?

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20代後半からヨガを続けている小説家の森美樹さん。2018年に、AV男優さんが企画したヨガのワークショップに参加したのだそう。ヨガとセックスの共通点から、森さんが新たなヨガの楽しみ方を提案します。

*本記事は『cakes』の連載「アラフィフ作家の迷走性(生)活」にて2018年2月17日に公開されたものに、一部小見出しなどを改稿し掲載しています。

30代は、私にとって第3次性的迷走期だった。周囲が結婚や出産に湧きたつ中、片思いの相手を追いかけて福岡や宮崎に飛ぶも体よくあしらわれ、飛行機がポケモン柄だったことだけを慰めにしていたのだ。年齢的には浮ついた日々を、たるみはじめた身体とともに送っていた。地に足がついていない私は、余程危うかったのだろう。ひょんなことから、ある男性と知り合った。

彼のオススイッチがオンになった瞬間

性の研究者と名乗る男性である。名前は伏せておくが、都内の一等地に性の相談所として事務所まで構えていた男性(仮にSとしておく)と私は、最初は性を抜きにした茶飲み友達だった。セックスのセの字もない、それこそお茶の出涸らしのように色気のない関係だ。

ところが、私の約7年にわたるヨガ歴が判明したとたんSの態度が軟化し、やがてアメーバのようにいやらしく溶けたのだ。まるで私のあらゆる穴や毛穴から侵入するように。

いきなり私の魅力に目覚めたとか? とは、ネガティブ志向の私は思いませんよ。ただ、私も女の端くれ、Sのオススイッチが何らかの拍子でオンになったのはわかった。お酒を飲みながら(お茶からお酒へ昇格)、Sをつぶさに観察する。「ヨガ」という単語の連発。Sのセックス観は、ヨガに左右されるのかもしれない。

そんなエピソードもあり、私は今でもヨガを続けている。先日、某AV男優さんが企画したヨガのワークショップに参加してみた(普段は、ノーマルなヨガ教室に通っております)。AV男優さんが企画したからといって、アクロバティックなポーズ限定とか裸でトライとか、非日常を演出するのではない。「ヨガで身体をほぐして、気持ちよくセックスしようね!」みたいな明るいコンセプトだった。

AV男優さんの知人だというヨガインストラクターの女性が、まずエネルギーの出入り口とされている7つのチャクラについて説明。ちなみに、おへその下に位置する第2チャクラは、感情と性を司るという(これはいずれ詳しく調査したい)。サクッとした座学の後、ごく初歩的なポーズから、やや難易度の高いバランスポーズまで、ていねいにおしえてくれた。

女性達の後方で、一生懸命ヨガをやるAV男優さんはとてもキュートで微笑ましい。しかもトレーニングウエアという健全な格好にもかかわらず、濃密なフェロモンが匂い立ち、参加者女性達は全員もれなく高揚していた。

ヨガとセックスの共通点

「ヨガ」と「セックス」でググってみると、けっこう興味深い記事が出てくる。ヨガでイける身体になる、とか、イキまくって困るタントラヨガ、とか(これもいずれ詳しく調査したい)。

実は以前紹介した膣トレにも、ヨガに似たポーズがあるのだ。ヨガには骨盤や丹田を意識したポーズが数多あるので、多少なりとも影響するのかもしれない。そもそもヨガの神髄は瞑想だよ、とヨギー達のお叱りをうけそうだが、つまりは無の境地に達するのだから、エクスタシーも瞑想の一種ではないか。

とても個人的な感想で申し訳ないし、更なるお叱りをうけそうだが、ヨガのインストラクターってセックスが上手そうじゃないですか。基本スレンダーで、いわゆる性的アピールとは真逆な体型の方が大半ですが、身体の深部まで熱くやわらかいイメージがある。ひとりでも熱くとろけて、相手ありきのセックスなど要らない気さえしてくる。ひとり昇天、みたいなね。

小さな感覚を、大きな妄想で快感に変えよう

昇天するのはふたりでもひとりでもいいのだ。私が提案したいのは、セックスのためのヨガではなく(これも勿論いい)、セックスに並ぶヨガだ。セックスって、やらないよりはやるほうが健康にもいいだろうし、リラックス効果もある。でも、現実的にパートナーがいなかったり「今はセックスに興味ない」って人だってかなりいる。そういう人が陥りがちな思考が「私は女として終わっている」というもの。「そんなことはない!」と、私は声を大にして否定する。女は一生女で、性はセックスだけに留まらない。

ヨガって、自分の中にとことん入り込める時間なのだ。「身体の声を聴きましょう」なんて、ご立派なセオリーはこのさい無視。「身体が伸びて気持ちいいなー」という小さな感覚を、大きな妄想で快感に変えようではないか。

最近私がハマっているのが、自分をフィギュアスケーターに例えた心のコスプレだ。立位のバランスポーズのさいに、「ここは氷上。今の私は羽生選手」みたいに目をとじ、自己中な色気をチャージ。すると、あら不思議。難しいバランスポーズもセックス前のほどよい緊張感に変換できる(私だけ?)。未来のセックスパートナーを呼び込む勢いでヨガをやったっていい。今より身体がやわらかくなれば、それこそアクロバティックなセックスだって楽しめるかもよ。

そんな妄想はヨガに対する冒涜だ! と烈火のごとく叱咤されてもいい。難しく考えては身体も心もかたくなる。

性は、心身をやわらかくし、生をまっとうするためにあるのだ。

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アラフィフ作家の迷走生活

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴る連載です。

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