「生命科学アカデミー」片倉教授に聞く 第4回(最終回)

浴びてしまった紫外線対策に「ウロリチン」の時代がやってくる? その理由とは

浴びてしまった紫外線対策に「ウロリチン」の時代がやってくる? その理由とは

人生100年時代と言われる今、健康で疲れにくい身体を保つことや、知的好奇心を持って学び続けることは人生をよりよく生きるためのキーワードとなりそうです。そんな中、「老化は病気、適切な治療を行えば改善するかもしれない」──という研究が、生命科学の学問ジャンルで進んでいます。

「fracora(フラコラ)」は、その最先端を走る研究者の声をYouTubeチャンネル「生命科学アカデミー」で発信。老化のメカニズムや健康に美しく生きるヒントをお届けします。

第1シリーズのテーマは、「長寿遺伝子」。食を通じて長寿遺伝子を活性化させる研究について、九州大学農学部・大学院農学研究院の片倉喜範(かたくら・よしのり)教授に全4回にわたってお話しいただきました。

最終回では「ウロリチンのすごい!最新研究 肌や毛髪への抗老化効果」をタイトルに、ウロリチンが全身にもたらす画期的な効果について解説します。

※本記事はYouTubeチャンネル「生命科学アカデミー」で配信された内容を、ウートピ編集部で再編集したものです。

ウロリチンを塗ったマウスの背に毛が

──最先端の研究で判明した「ウロリチン」の存在によって、「老い」を遠ざけることのできる時代が到来していることがわかってきました。引き続き片倉先生にお話をうかがいます。

片倉喜範教授(以下、片倉):今回は、ウロリチンにはどんな機能があるのかお話ししたいと思います。まず、うちの研究室で実験したのが「育毛効果」。マウスの背中に生えている毛をすべて剃り、何も塗らないマウスとウロリチンを塗ったマウスでどのような違いが現れるか検証しました。

3週間ほどやり続けると、ウロリチン群のマウスに毛が生えてくることがわかってきたのです。まだ存在していませんが、将来的にウロリチンを配合した育毛剤が販売される可能性もあるかもしれない。そんな期待を抱く結果でした。食べられる成分でもあるので、頭皮に塗る以外の新しいタイプの育毛剤開発につなげられるかもしれません。

片倉:また同時に、肌に対する効果も確認することができました。年を重ねるとハリがなくなってきたり、シワが増えてきたり、さまざまな肌トラブルに見舞われると思います。そういった状態の皮膚の細胞に、直接ウロリチンをかけてみる実験を行いました。

その結果、細胞内にある長寿遺伝子が活性化され、シワが改善し、セラミド合成やバリア機能が高まることがわかったんですね。もしかしたらウロリチンを皮膚に塗ることで、若返りが期待できるかもしれない。そんな結果が少しずつ出始めています。

ウロリチンがコラーゲンを分解する酵素をブロック

片倉:シワ改善の指標では、ヒアルロン酸の合成がウロリチンによって高まることがわかっています。また、コラーゲンの分解が抑制されることも確認できました。コラーゲンって増える分には問題ないのですが、分解されるとシワが増えてしまう。なので、その動きは抑制したいですよね。

片倉:そこで「抑制活性」の数字を見ると、ウロリチンが増えるごとに、コラーゲンを分解する酵素を阻害する率が上がっていることが明らかになったのです。

──年を取るとコラーゲンが減少するといわれますが、分解されてしまっているのですね。

片倉:はい。ですので、分解を阻害するウロリチンを増やしてあげればいい。肌の美白・ホワイトニング効果に対してもウロリチンは有効で、シミの原因となるメラニン合成を抑制する働きを持っています。メラニンのもとになってしまう酵素チロシナーゼを阻害する機能があるんですね。

──肌によいヒアルロン酸の合成を高め、コラーゲンの分解やメラニン合成を抑制する働きでシワやシミにも効いてくるのですね。

片倉:そうですね。もうひとつ、うちの研究室で行った実験で非常におもしろい結果が出ました。紫外線を浴びた「後」の皮膚にウロリチンをかけると、細胞が修復されることがわかったのです。

紫外線を浴びると、細胞内のDNAに老化の原因となるような傷が入ってしまうのですが、そこにウロリチンを与えると、傷が修復されて紫外線を浴びた効果が薄まることが明らかになりました。日焼け止め・サンプロテクトが紫外線を浴びる「前」に塗ることで効果を発揮するなら、ウロリチンは誤って日光を浴びてしまった「後」で有効になる。こういった化粧品は、まだ存在しないのではないかと思います。

これからの研究結果にも注目

──素晴らしいですね! ちなみにウロリチンは「食べる」「飲む」ことでも体の内側からケアして全身の若返りに導く成分とお聞きしました。塗った時と同じ効果がお肌にも期待できるのでしょうか?

片倉:研究のスタート地点は「塗る」だったのですが、現時点では「飲んで」も大丈夫なのか、といったポイントを検証しています。紫外線を浴びたあとにウロリチンのサプリメントを飲めば、皮膚の状態が改善されるのかどうか。そういった研究を進めています。

──実現したら、浴びてしまった紫外線をなかったことにできるのでしょうか?

片倉:それは難しいですね(苦笑)。日光を浴びてしまったら、なるべく早くサプリメントを飲んだ方がよい。そういった方向に落ち着くような研究をしています。あとは、ウロリチンが皮膚に限らず、脳や筋肉にも作用するのか──といった観点からも検証しています。サプリメントで摂取したウロリチンが脳機能にどのような影響をおよぼすのか。認知機能を維持し、ボケ防止につながるのか、筋肉疲労をどう改善できるのか、といったポイントですね。

全身の組織に対してウロリチンがどんな機能を持っているか、今後の研究で明らかにしていきたいと考えています。

■動画で見る方はこちら

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