「生命科学アカデミー」片倉教授に聞く 第3回

注目の若返り成分「ウロリチン」に期待が高まる理由

注目の若返り成分「ウロリチン」に期待が高まる理由

「人生120年時代のわたしたちへ」
の連載一覧を見る >>

人生100年時代と言われる今、健康で疲れにくい身体を保つことや、知的好奇心を持って学び続けることは人生をよりよく生きるためのキーワードとなりそうです。そんな中、「老化は病気、適切な治療を行えば改善するかもしれない」──という研究が、生命科学の学問ジャンルで進んでいます。

「fracora(フラコラ)」は、その最先端を走る研究者の声をYouTubeチャンネル「生命科学アカデミー」で発信。老化のメカニズムや健康に美しく生きるヒントをお届けします。

第1シリーズのテーマは、「長寿遺伝子」。食を通じて長寿遺伝子を活性化させる研究について、九州大学農学部・大学院農学研究院の片倉喜範(かたくら・よしのり)教授に全4回にわたってお話しいただきました。

第3回は「発見!若返り成分ウロリチン 細胞再活性化を引き起こす」をタイトルに、長寿遺伝子のサーチュインと細胞リサイクルのオートファジーを促す「ウロリチン」という成分について解説します。

※本記事は上記YouTube動画で展開された内容を、ウートピ編集部で再編集したものです。

自己流カロリー制限のリスクを回避するには?

──いつまでも健康で美しくいるために、どうしたらよいのか。その方法を九州大学農学部の片倉教授にお聞きする中で「カロリー制限が有効」という説が出てきました。ただ、自己流で取り組むと栄養が偏ってしまいますよね。そこで「食べて若返りが図れる」研究が進んでいる、とお聞きしました。

片倉喜範教授(以下、片倉):「カロリーを制限した食事」とひと口に言っても、バランスの取れた栄養を摂りつつ、摂取カロリーを30%減少させることは難しいですよね。自己流で行うのは危険ですし、判断を誤れば栄養失調になりかねません。

──年齢によっても、必要な栄養やバランスは異なってくるでしょうし。

片倉:子どもと成人では違う栄養素が必要になりますからね。そうなると、摂取カロリーを減らすことでアンチエイジングを実現することは現実的ではありません。ならばカロリー制限によって引き起こされる体内の反応を、適切な「食品」を摂ることで同じ反応を起こせないか? 我々はそう考えて研究をしてきました。

食べて、長寿遺伝子を活性

──どんな研究内容なのですか?

片倉:カロリー摂取を控えると、長寿遺伝子(サーチュイン)の活性化が起こります。もうひとつ、分解された古い細胞が新しく元気な細胞に生まれ変わる「オートファジー」のメカニズムが活発になる。

我々はこの2つを、カロリー制限でなく「食品」で活性化できないか模索しました。そして数年ほどかけて明らかになったのが、「ウロリチン」の存在。ザクロの中に含まれるエラグ酸が、腸内細菌によって分解されると生まれる成分なんです。生命科学の分野では論文も登場し、少しずつ注目が集まっているんですよ。

──最近になって発見された新しい成分なんですね。

片倉:はい。このウロリチン、体内で長寿遺伝子のサーチュインとオートファジーの両方を同時に活性化できることもわかってきました。我々もそういった成分に初めて遭遇しましたので、ポテンシャルが大いに期待できるのではないかと思います。

これまでは、ウロリチンが皮膚や腸管の細胞にどういった影響を及ぼすのか……といった観点で研究を進めてきました。そして2022年になってから、ウロリチンを食べたり飲んだりすることで腸管で消化され、そのよい影響が皮膚に現れる可能性を示す結果が出てきたのです。

「ウロリチン」に期待が高まる理由

──体内に取り入れることで、内側からケアできるのですね。

片倉:「内的美容」というキーワードが最近流行ですが、まさしくそれに当てはまる成分がウロリチンですよね。化粧品のように、皮膚に直接ウロリチンを塗り込むわけではない。皮膚にはバリアがあるので、有効な成分を塗り込んだとしても、効果的に体内に取り込めるわけではないんです。であれば「食べる」ことで体内をめぐった成分が皮膚によい影響を与える、内的美容の考え方を活用した方が得策です。たとえばウロリチンは皮膚のバリア機能やセラミドの合成を高めたりします。

──すごい成分が発見されたのですね! このウロリチンが、長寿遺伝子のサーチュイン、細胞をリサイクルしてくれるオートファジーの両方を同時に活性化する……というのはどういったメカニズムなのでしょうか?

片倉:細胞の中には、エネルギーの生産工場といえる「ミトコンドリア」という組織があります。ミトコンドリアが壊れるとエネルギーがつくれなくなってしまうので機能の低い細胞しか生まれず、体がどんどん弱くなってしまうのですね。そこにウロリチンをもたらすと、まずオートファジーが活性化される。ダメージを受けたミトコンドリアを壊し、分解されたものを原料に、今度は元気なミトコンドリアに生まれ変わらせてくれるのです。

──細胞のリサイクルが活性化されるのですね!

片倉:ミトコンドリアの新陳代謝を高めてくれるわけです。それによってアンチエイジングが実現できる。ミトコンドリアはエネルギーを生産する筋肉に多く存在しているのでは、と皆さんは考えると思いますが……最近の研究では「脳」や「皮膚」でもよく機能していることが明らかになってきました。さまざまな組織でミトコンドリアが活性化することで、全身のアンチエイジングが可能になるんですね。

「ウロリチン」を効果的に摂るには?

──ミトコンドリアがいる、あらゆる細胞組織に効いてくるんですね。ところで先生、ウロリチンが含まれるザクロって手軽に購入できるイメージがあまりないのですが……どうしたらよいでしょうか?

片倉:体内に入れることを考えると、手軽なのはザクロジュースですが……たしかに一般的なスーパーマーケットやコンビニエンスストアで置いてあるところは少ないかもしれませんね。ウロリチンは量を多めに摂ることで結果が出やすいこともわかっているのですが、ザクロジュースを何リットルも飲むのは得策ではありません。

そこで有効なのが、サプリメント。ザクロから抽出したウロリチンを濃縮してあるので、効率的に成分を摂れるのではないかと思います。継続的に飲むことによってアンチエイジング・抗老化を実現でき、若返りも可能になるのではないでしょうか。

■動画で見る方はこちら

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この連載をもっと見る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

注目の若返り成分「ウロリチン」に期待が高まる理由

関連する記事

記事ランキング