フラコラカルチャー「睡眠美容」第1回

つもり積もった「睡眠不足」が招く8つの心配 皮膚科医・岩本麻奈先生が解説

つもり積もった「睡眠不足」が招く8つの心配 皮膚科医・岩本麻奈先生が解説

5月9日(月)に「fracora(フラコラ)」が主催するオンラインイベント「フラコラカルチャー」が配信されました。今回のテーマは「睡眠美容」。

皮膚科医の岩本麻奈先生をゲストに迎え、寝ている時間にキレイを磨く方法をレクチャーしていただきました。

全3回にわたってお届けするイベントリポート、初回は睡眠不足によって引き起こされる症状について、詳しく紹介します。

※本記事は「フラコラカルチャー」で配信されたイベントを、ウートピ編集部で再編集したものです。

日本の女性は、睡眠時間が少ない

まず、OECD各国の1日あたりの睡眠時間を比較した表を見てみましょう。日本は極端に睡眠時間が短いことがわかりますね。また、男性より女性の睡眠時間が少ないのは、日本とイタリアだけ。

家事・労働・子育てなど、日々の仕事に追われて寝る時間を削っている日本人女性の現状が見えてきます。

こうして積もり積もった睡眠不足は、どのような症状につながるのでしょうか?

睡眠不足って怖い!その理由8つ

なぜ睡眠不足が怖いのか、その答えを一言でいうと、大事な人生を台無しにしてしまう可能性があるからです。睡眠不足がもたらす8つの症状について、細かく見ていきましょう。

①生殖機能が落ちる

アメリカの生殖医学会の学会で、「男性の1日の睡眠時間が6時間未満の場合、パートナーの妊娠率は43%低下する」という報告がありました。テストステロンが多く分泌されるノンレム睡眠(=深い睡眠)を一定時間確保しなければ、正常量の性ホルモンが出ず、例え睡眠時間が足りていても、睡眠の質が悪いと精子数や精子の正常形態率が低下すると言われています。

また、不妊に悩む女性はそうでない女性に比べて、睡眠時間が1時間ほど短いこともわかっています。つまり、睡眠不足は男女ともに、性ホルモンや妊娠する確率の低下につながる可能性があるのです。

②細胞が老化する

睡眠時に関係のある代表的なホルモンは二つあります。1つ目は、成長ホルモンです。これは成長期のうちは細胞の生育や成長に使われ、大人になると細胞の修復を担う大事なホルモンで、体が成熟した25歳頃から急激に減少します。私は50歳を過ぎているため、大変少ない量で体のメンテナンスを頑張っている状態です(笑)。

もう1つは、抗酸化作用で有名なメラトニンです。メラトニンの主な役割は体内時計の調整で、抗酸化や免疫も司ると言われていますが、成長ホルモンと同じく年齢とともに減少してしまいます。

しかしこれら2つのホルモンは、質の良い睡眠によって上手に活用することができます。眠りが深くなる第1〜第2周期では、成長ホルモンとメラトニンがより多く分泌されています。この力は年齢を重ねてもそれほど失われません

寝入りばなにぐっすり眠るという睡眠の前半の質をキープすれば、2つのホルモンの恩恵を十分に受けられるのです。

③自律神経の不調を引き起こす

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。図に書かれている通り、昼間は交感神経が優位ですが、18時以降に曲線が交差し、夜のリラックスモードに入ります。しかし睡眠不足は、自律神経の乱れを引き起こす原因になります。

コロナ禍で戦時下でもある今、ストレスも積もり積もって、私たちはオンとオフの切り替えがうまくできず、交感神経が優位な状態が続いています。自分が思っているよりも長く心と体を解放するリラックスタイムを作ることが大切です。

④免疫力の低下

睡眠不足によって、ワクチンの効果が減弱してしまうという研究結果もあります。白血球やリンパ球などの免疫に関係した細胞は夜の間に作られるため、睡眠時間が少ないと満足な量を生み出すことができないのです。

⑤記憶力・学習能力の低下

寝不足が続いたとき、計算ができなくなったり、忘れ物が多くなったり、理性的な判断ができなくなったりする、誰もが経験することですね。脳内の記憶は、睡眠中に整理されます。そのため、睡眠不足になると、学習能力のパフォーマンスが落ちてしまうのです。

⑥認知症のリスクが高まる

質の悪い睡眠が続くと、認知症のリスクも高まります。認知症の元になると言われているアミロイドベータの排出は、睡眠中に行われます。アミロイドベータが蓄積されると、いずれ脳萎縮につながってしまうと言われています。

⑦太りやすい体になる

睡眠不足になると、食欲を増すホルモン、グレリンの濃度がアップします。一方、食欲を抑制するホルモン、レプチンの濃度は低下。また自律神経が乱れ、代謝機能も低下するため、総合的な作用で太りやすい体になってしまうことがわかっています。

⑧睡眠障害は発がんリスクもアップする?

発がん性のリスクは、図のように高いものから順に4つのグループで分類されています。上から2番目「おそらく発がん性がある」という分類に、「サーカディアンリズムを乱す交代勤務」と書かれています。これは夜勤など、夜に起きていけないといけない職業の人を指します。昼夜逆転した生活を送っている人は、十分に気をつけてください。

「睡眠美容」レポート第2回は6月6日(月)公開予定です。

■動画で見たい方はこちら

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