親と子を対象としたフェムテックイベント「センシュアル・ライフ produced by WOMB LABO〜親から子供へ伝える大事なカラダのこと〜」が、伊勢丹新宿店の本館6階子供フロアで、4月12日まで開催されています。初潮を迎える女の子のためのキットや子供も使えるデリケートゾーンケアアイテムなどを販売するほか、デリケートゾーンを知る子供向けセミナーや、大人へと成長して変化していくからだについて知る親子向けセミナーなどを行います。
子供への性教育に自信が持てない親や子供に向けて発信
以前、この連載でもレポートしたように、伊勢丹新宿店では2021年3月と7月、2022年3月とこれまで3回にわたってフェムテックイベントを開催してきましたが、今回は初めて保護者と子供を対象に開催しました。
同イベントを主催する子供雑貨アシスタントマーチャンダイザーの山下真里佳(やました・まりか)さんはイベント企画のきっかけについて「子供に性教育をする立場である保護者が、その必要性は理解しつつも、どう伝えればいいかわからなかったり、抵抗があったり、夫婦間の認識にギャップがあったりするという話をよく耳にします。そんな親子に向けて、発信ができればと思いました」と話します。
20年以上、フェムケアの啓蒙活動を行う森田敦子(もりた・あつこ)さんと共に同イベントをプロデュースするフェムテック・ウェルネスメディア「WOMB LABO(ウーム ラボ)」のディレクターである岡本佳央理(おかもと・かおり)さんも、「大人の女性のフェムテックが注目される一方で、性教育をどう子供たちに伝えればいいかわからない、というお悩みがよく聞かれました」と言います。
シングルファーザーの需要も想定 初潮を迎える女の子向けのキット
商品展開の柱は下記の3つ。
1.産前産後のママとパートナーのためのマタニティケアアイテム
2.子供のころからデリケートゾーンケアをあたり前の習慣にするアイテム
3.初潮を迎える年頃の女の子のためのアイテム
マタニティケアアイテムや膣トレグッズ、デリケートゾーンケアアイテム、吸水ショーツ、サニタリー用品、ジュニア用のブラジャーやショーツなどを販売しています。

日ごとに増すからだの負担や出産前の会陰ケアなど「出産をもっと快適に、ハッピーに。」という思いを込めて開発されたマタニティケアシリーズ「インティメール」。左から、リリーフオイル8,800円、STMクリーム6,600円、バーシングオイル11,000円
イベント会場で印象的だったのは、親子で一緒に学びながら心身ともにケアするための限定キット「MY FIRST PERIOD CARE KIT」。箱にオリジナルリーフレット、吸水ショーツ、サニタリーパッド、デリケートゾーン用ソープが詰められた、生理のためのスターターキットのような商品です。
産婦人科医の松峯寿美(まつみね・ひさみ)先生監修のもと制作されたオリジナルリーフレットには、子宮や外性器など、からだの仕組み、生理用品の選び方、デリケートゾーンの洗い方などが、たくさんのイラストと共にわかりやすく丁寧に解説されており、子供だけでなく親も一緒に学べる内容。キットおよびリーフレットの制作にあたっては、「(生理について親子で語り合うことが難しいこともある)シングルファーザーの方にも役立てて欲しい」(岡本さん)と言います。
紙芝居や人形を使って、子供が「デリケートゾーン」を学ぶセミナー
売り場にはセミナールームを併設し、親子で『カラダのことを知る』ための4種のセミナーをオンラインも合わせて開催中。
中でも注目したいのが、3歳から小学校低学年の子供を対象とした『ぼくのわたしの大切なカラダ』と題する子供向けセミナー。講師は「WOMB LABO」ディレクターの岡本さんとコンテンツ企画を担当するRachel Tamiyaさん。子供にわかりやすいように紙芝居や人形を使い、「プライベートゾーン」「デリケートゾーン」はどこを指すのかやその洗い方、そして人に見せたり触らせたりしない大切な部分であることなどを学びます。
産婦人科医を招いて、子供たちへの性教育の伝え方を解説
子供たちへの性に関することの伝え方に悩んでいる親に向けては、松峯先生と植物療法士の森田さんによるセミナー『親からこどもへ伝える大事なカラダのこと』(4月9日午前 11 時〜)が用意されています。同セミナーでは、自分のからだを知ってどのように大切にしたら良いか、何からどのように子供に伝えれば良いかなどを学びます。セミナーは幼児から中学生の子供を持つ親80組が対象ですが、オンラインでの募集開始から1週間で8割が埋まるほど盛況だったそうで、関心の高さ、必要としている人の多さがうかがえます。
※予約受付は終了いたしました(4/1時点)
ワコールと共に『おとなへの一歩を迎える女の子たちへ』を開催
初潮が始まりそうな年齢、始まって間もない頃の女の子とその保護者向けのセミナー『おとなへの一歩を迎える女の子たちへ』(4月9日午後2時〜)では、岡本さんと「ワコール ツボミスクール」の上地朋子(うえち・ともこ)さんが講師を務め、年齢と共に変化していく自分のからだについてや具体的なケア方法を学びます。
ほかにマタニティ期の方や産後期の人とそのパートナーを対象とした『パートナーとも学べる!産前産後のカラダの変化とセルフケア』も4月3日に開催されました。
デリケートゾーンについて知ることは、男の子も女の子も大切
3歳から、しかも男女問わずに「プライベートゾーン」「デリケートゾーン」について教えることに対し、山下さんは「健やかに育って欲しいと思う親の気持ちは、男の子に対しても女の子に対しても同じ。デリケートゾーンについて知ることは、男女共に大切で、それは自分を大切にすることにつながる。それを先入観のない小さな頃に正しく知ってほしい」と力を込めます。
個人差はあるものの、まだまだ性教育に対してはオープンにしにくいムードがあるのが現実。こうして百貨店のベビー・子供服雑貨フロアという開放された場に、親子で性について話すきっかけをつくることは、大きな意味があると感じます。