ヨーグルトや甘酒は腸にいい? 「東洋医学的デトックス『腸活発酵』のススメ」

ヨーグルトや甘酒は腸にいい? 「東洋医学的デトックス『腸活発酵』のススメ」

1月22日(土)に「fracora(フラコラ)」が主催するオンラインイベント「東洋医学的デトックス『腸活発酵』のススメ」が開催されました。本イベントには、日本かっさ協会会長の島田淑子(しまだ・すみこ)さんが登場。東洋医学的デトックスをはじめる最初の一歩、「腸活発酵のススメ」についてお話いただきました。

※本記事は「フラコラカルチャー」で開催されたイベントを、ウートピ編集部で再編集したものです。

島田淑子さん/鍼灸師・美容師・国際中医薬膳師・調理師。東洋医学ライフクリエイティブ協会会長日本の「かっさ」の第一人者。日本で初めてのかっさ書籍「かっさマッサージ」(KKベストセラーズ)を出版、「魔法のかっさプレート」(永岡書店)は17万部のベストセラーに。

島田淑子さん/鍼灸師・美容師・国際中医薬膳師・調理師。東洋医学ライフクリエイティブ協会会長日本の「かっさ」の第一人者。日本で初めてのかっさ書籍「かっさマッサージ」(KKベストセラーズ)を出版、「魔法のかっさプレート」(永岡書店)は17万部のベストセラーに。

「かっさ」は東洋医学的なデトックス法

そもそも「かっさ」とは、どのようなものなのでしょうか。

「『かっさ』は、肌をこすることで滞った血を浮き出させて流す、『血(けつ)』に対するデトックス法です。この滞った血、質の悪い血のことを『瘀血(おけつ)』と言います。東洋医学には、この『瘀血』を外に出すことで血液の流れを良くしていく、という考え方があります」

「瘀血」が不調の原因に

島田さんによると、瘀血はあらゆる不調の原因になるとのこと。瘀血によって、どのようなトラブルが引き起こされるのでしょうか。

身体のさまざまな痛み、冷えやのぼせ、コリの原因、肌の不調、婦人科疾患、心臓疾患、脳疾患など、瘀血はいろいろな病気の原因になる可能性があります。東洋医学では、特に更年期以降の女性の不調を『血の道症』と呼んで重要視してきました。これも、瘀血が関わっています。

瘀血が生まれる背景には、冷え、ストレス、食事があります。まず『冷え』は、皆さんもご存知の通り、体が冷えることで血のめぐりが悪くなってしまうことを指します。体が冷えて滞った血が、瘀血となるのです。次の「ストレス」については、ストレスによって気の流れが悪くなります。気が流れなくなることで血も流れなくなると東洋医学では考えるため、ストレスによっても血の滞りがおこります。最後に『食事』です。この食事が、最も深く瘀血に関係しています」

瘀血をつくりだす食べ物とは?

瘀血を生み出す食べ物はできる限り避けたいもの。どのような食品に気をつければよいのでしょうか。

「1つ目は、単純糖質を多く含んでいる食べ物です。単純糖質とは、果物に含まれる果糖、ブドウ糖、果糖とブドウ糖が合わさったショ糖などのこと。中でも砂糖やブドウ糖など血糖値をいっきに上げてしまうものは、血液の流れを悪くします。いわゆる、血液ドロドロ状態になってしまうのです。2つ目は、辛いもの。東洋医学では、辛いものを頻繁に食べると体内で瘀血が生まれやすくなると考えられています。さらに、肉類の過食、甲殻類・魚卵類、山菜、乳製品、アルコールなども、瘀血をつくりだす食べ物としてあげられています」

腸が嫌いなものは?

島田さんは、瘀血を排泄するためには「腸活」が必要だと言います。そのために大切なのは、まず腸の嫌いなものを知ること。一般的に、ヨーグルトや甘酒は「腸にいい」と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

「腸活は、まず腸が嫌いなものを知ることから始めましょう。例えば食品添加物を多く摂取すると、腸内で働いている善玉菌が嫌がると言われています。続いて、精製糖質。これは逆に、腸内で悪さをする悪玉菌の好物です。そして最後に、未消化タンパク。これはあまり広く知られていませんが、腸活をする際に忘れてはならない、腸が嫌がるものの一つです」

実際にどのような食材を腸が嫌がるのでしょうか。

1. ヨーグルト

「腸にいいと思われがちなヨーグルトですが、実はヨーグルトに入っている『カゼイン』は消化されにくいタンパク質の一つ。腸のために毎日食べるよう推奨されてきたヨーグルト。意外にも、腸は嫌がっているかもしれないのです」

2. パン、パスタ、うどん

「小麦に使われているグルテンは、タンパク質のなかでも特にネバネバしている成分。体内で消化されにくく、腸内で未消化タンパクになり、アレルギーの原因にもなると言われています。それが腸壁に貼りついてしまい、腸のタイトジャンクションを緩め、体の外に排泄しなければならない毒を微細な穴から再吸収してしまうのです。

この一連の流れが、原因不明の体調不良やお肌の不調など、さまざまな問題を引き起こすことがわかり、近年『グルテンフリー』という言葉が広まりました」

続いて、身体に良いとされている発酵食を正しく取り入れるポイントも見ていきましょう。

1. 甘酒

「甘酒は、急激に血糖値を上げる糖質が多く含まれる食材です。そのため一度に摂取する量は『おちょこ1杯分』がベスト。飲む回数は、1日に最大3回までと言われています。体に良さそうな発酵食も、摂りすぎは禁物です。アンバランスな血糖値が体に与える影響は、想像以上に大きいのです」

2. 発酵食

「発酵ブームにより、世の中にさまざまな発酵食品が出回るようになりました。発酵食品は腸内細菌のえさになるため、腸にとってメリットの多い食べ物です。特におすすめなのは、タンパク質を発酵させたもの。未消化タンパクを腸に送らないためにも、肉や魚などのタンパク質を一度発酵させてから食べると、腸がとても喜びます」

日本かっさ協会が考える「腸活」とは

島田さんが会長を務める日本かっさ協会では、3つの「腸活」を推進しています。

1つ目は、未消化タンパクを腸に送らないようにすることです。そのためにも、カゼインやグルテンが含まれる食品は、できる限り避けましょう。肉や魚などのタンパク質を発酵させ、吸収しやすい形状で腸に送り届けるのがおすすめです。

2つ目は、自分の腸内細菌を『育菌』すること。日本かっさ協会では、育菌が腸活の近道になると考えています。世間では、腸内細菌を直接腸に届ける『プロバイオティクス』を市場で多く目にしますが、その多くが胃酸で死んでしまいなかなか腸まで届かないといわれています。死んでしまったプロバイオティクスも腸内細菌のエサになることが昨今わかってきましたが、そこで重要になるのが『プレバイオティクス』という考え方です。これは、自分の腸内細菌にえさを与える活動のこと。1回あたりの摂取量に気をつけて甘酒を飲むなど、腸内細菌のえさになる要素を積極的に摂取しましょう。

3つ目は、ダメージを受けた腸を「修復」する食事習慣です。日本かっさ協会で特におすすめしているのは、発酵させた骨付きの肉をスープにした『発酵ボーンブロス』です。長年の食生活で傷ついてしまった腸を修復するのに最適なスープだと言われています」

「瘀血」の排泄は「便」から

体内に「瘀血」ができてしまった場合、どこから排泄させればよいのでしょうか。東洋医学的には、ずばり「便」からと考えられています。便秘中に瘀血のデトックスをするのは難しいため、まずは「腸活」から始める、というのが日本かっさ協会の考え方だそうです。

「今まで食事の話をしてきましたが、食事と同じくらい大切なのが、スムーズな排便につながる『リラックスできる身体づくり』です。自律神経のなかには、活動時に優位になる交感神経と、安静時に優位になる副交感神経という二つの神経があります。ストレス社会を生きる現代人は交感神経のスイッチが入りっぱなしだと言われており、食事をしても消化できず、吸収も排便もできない状態に陥りがちです。いい排便を促すためにも、交感神経にちゃんとスイッチが入る、リラックスできる身体を目指しましょう」

リラクゼーションも取り入れて

とはいえ、仕事や家庭で忙しい現代女性たちが、リラックスするための時間を捻出するのは難しいもの。けれど島田さんは、そんな時代だからこそ「人の手に任せる」ことも大切だと話します。

「リラクゼーションのための時間は、決して贅沢なものではありません。副交感神経にスイッチを入れやすくする身体をつくる、とても大切な行為です。あたたかい湯船につかるなど、家でリラックスすることももちろん大切ですが、ときには人の手に任せてゆったりと過ごすこともおすすめです。マッサージなどへ行き、体がとろけるような体験をする。それが、現代人の、消化・吸収・排泄、そして自律神経のバランスを整えるために、とても大事な行為になってきているのです」

東洋医学的デトックスのまとめ

最後に、ポイントを島田さんにまとめていただきました。

「最初に始めてほしいのは、瘀血を排泄する準備のための腸活です。発酵食を摂るとともに、『タンパク質を発酵させて摂る』という習慣をつけると、腸は喜びます。そしてリラクゼーションも併用してください。ゆったりと心が休まるリラクゼーションは、消化・吸収・排泄、自律神経のバランスを整えてくれるため、副交感神経にしっかりとスイッチが入る体を作ることができるでしょう。

東洋医学では、腸と肌は密接につながっていると考えられています。お肌の調子がちょっと悪いかもと思ったときは、まず目の前の食事から見直してみましょう。食事を通して、『自分の腸は大丈夫? ちゃんと吸収できてる? 消化できてる? 排泄できてる?』と、自分の体と向き合うきっかけにしていただければ幸いです」

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