ソーシャルエンタープライズとして、事業を通して様々な社会課題の解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)は、コーポレートメッセージ「あらゆるLIFEを、FULLに。」のもと、あらゆる人が自分らしく生きられる社会を実現したいという想いから、一人ひとりが抱える様々な課題に光を当てたドキュメンタリーフィルムを制作。年齢に基づく固定観念や偏見や差別「エイジズム」をテーマにした『年齢の森-Forest of Age-』を特設サイトで公開しました。
また、同社は全国18歳以上の男女2000人を対象に「エイジズムに関する調査」を実施。調査結果を抜粋して紹介します。
約8割が「エイジズム」を知らないと回答
調査を行ったライフルは、エイジズム(ageism)について以下のように説明します。
エイジズムとは、年齢に基づく固定観念、偏見または差別のことです。高齢者や若者に対する周囲からのエイジズムは世界中に蔓延していますが、人種差別や性差別と比べて認識されにくいと言われています。特に高齢者においては、老いや年齢を背景に無自覚な自己否定につながり、心身の健康に大きな影響を及ぼしています。
「エイジズムを知っていますか?」と聞いたところ、全体の約8割(77.9%)が聞いたこともなく、全く「知らない」と回答し、「見聞きした程度」という人は13.4%でした。一方で、エイジズムを「知っている・理解している」という人は1割にも満たない8.7%に留まりました。
してしまった行動は?
「これまでにあなたがしたことのある、年齢を理由とした発言や行動」について尋ねたところ、「年齢を理由に人に席を譲った」が全体の38.0%で最多回答となりました。
回答が多かった項目は「人が何かを思い出せない理由を年齢や老化のせいにした(34.4%)」「人がケガや病気をした理由を年齢や老化のせいにした(24.6%)」「人が転んだり、息切れした理由を年齢や老化のせいにした(24.3%)」と続き、自分自身や相手に対して記憶やケガ、病気を理由にした言動があったことが分かりました。
さらに、「年齢に関する冗談を言った(23.7%)」「親しくない相手に対して、名前でない年齢に関連した呼び方をした(16.7%)」、高齢あるいは若いに限らず年齢を理由にした「エイジズム的行動」*が明らかになりました。
*年齢を理由とした発言や行動を「エイジズム的行動」と定義。
年齢による差別をなくすためにできそうなことは?
「どのようにしたら年齢による差別をなくすことができると思いますか?」と尋ねたところ、以下の自由回答(回答群より一部抜粋)を得ました。
お互い相手の立場になり、いずれその年齢になる又は、その年齢もあったなと思い出して気遣うことができればいいと思う(26歳 女性)
年齢によって異なる能力を互いに理解し合う(19歳 男性)
高齢者を労わる心が、時として差別的にある場合があると思う。仕事に対しての年齢制限や、免許の返納など差別のようにも思える、仕方のない事です。(75歳 男性)
自分から、年だからと言わない。前向きに生活する。(69歳 女性)
なるべく先入観を持たずに、相手を単純に一人の人間として見ること。(36歳 女性)
朴蕙彬(パクヘビン)先生からのアドバイス
映像制作でアドバイザーとして参加している新見公立大学の朴蕙彬先生の「無意識のエイジズムを防ぐためのアドバイス」を紹介します。
エイジズムを防ぐために重要な概念として、「ステレオタイプ(固定観念)」があげられます。例えば、高齢者に対する固定観念に「高齢者は弱い」がありますが、実際に高齢者の体力や健康状態は飛躍的に改善されています。しかし、年齢を理由に就労や社会活動などが制限されることは多々あります。このように、事実に基づいていない固定観念とその危険性について意識することが無意識のエイジズムを防ぐための第一歩です。また、エイジズムがすべての年齢に向けられるものであることから、高齢者ではない自分に課せられているエイジズムはないかを考えることも重要です。
■「エイジズムに関する調査」概要
調査期間:2021年6月11日~2021年6月12日
調査方法:インターネット
調査対象:全国18歳以上の男女2,000名
■特設サイト「年齢の森」
特設サイトでは、ドキュメンタリーフィルム『年齢の森-Forest of Age-』の映像や、エイジズムについて考えるきっかけになる調査データが掲載されています。