「お酒が大好き」な女性が増加している。
小泉今日子、真木よう子、吉高由里子がプライベートで「お酒が大好き」と発言。テレビでは、マンガ『ワカコ酒』が来年1月BSジャパンにてドラマ化。BS-TBSでは『おんな酒場放浪記』が放映中だ。
お酒好きの女性=「ほろ酔い女子」がなぜ増加しているのか。また秋におすすめのお酒を、女性向けに情報を発信する「ビール女子」「女きき酒軍団」「酒女倶楽部」「のみねーと」に聞いた。
帰りに一杯! 「ほろ酔い女子」が増加中
「日本酒はアミノ酸たっぷりでお肌にも良い。日本酒はオンナの飲み物だ」という「酒女倶楽部」代表の高野朋美さんは次のように語る。
「わたしもフラリと日本酒を飲みに行きますが、同じようにひとりで飲んでいる女性をよく見かけます。意気投合して、その場で友達になることも」
「唎酒師」の資格を持つ女性が集まり、オリジナル日本酒の制作も行う「女きき酒軍団」の入江亮子さんはこう述べる。
「ここ数年でおしゃれなバルタイプの日本酒専門店などが一気に増えました。女性だけで満員だったり、日本酒イベントもどこも盛況だったり。どこに行っても“ほろ酔い女子”に出会います」
女性の社会進出と、作り手の世代交代
では、なぜお酒が好きな女性が増えているのか。
美味しいビール情報満載のWEBマガジン「ビール女子」編集長であり、自身もクラフトビールのブルワリーに務めていた経験を持つ瀬尾裕樹子さんは「今は、仕事も男女差別なく能力で評価される分、女性にとって飲む機会が増えた」ことを理由の一つに挙げる。
「女きき酒軍団」の入江さんは「日本酒が本当においしくなったこと、醸造家が若手に世代交代したこと、微発泡酒など飲みやすい種類の増加、入りやすい日本酒専門店の増加、そして食中酒としての日本酒が認識されたこと」と分析している。
お酒好きのプロが教える今、美味しいお酒
では数あるお酒の中で、お気に入りを見つけるにはどうしたら良いだろう。
「まだ“ビールは苦い”という先入観を持っている方もいますが、ビールにはたくさんのスタイルがあり、その中には絶対にお気に入りが見つかると思うので、積極的に色んなビールを試してみて」(ビール女子/瀬尾さん)
「同じお酒を、冷やと燗、両方で飲んでみることです。純米大吟醸やにごり酒など『冷やで飲むもの』と言われているものでも、燗にしてみると面白いですよ」(酒女倶楽部/高野さん)
酒女倶楽部は11月に『オンナの日本酒――女性のハートが選ぶお勧めの酒』を出版。厳選72銘柄が掲載されているのでこちらもぜひ参考に。
女性のための日本酒サイト「のみねーと(nominate)」の大室元さんは「ひやおろし」をおすすめする。
「春までに仕込んだお酒を一度だけ火入れ(加熱殺菌)して、夏の間、涼しい蔵で貯蔵・熟成。暑さの峠も越えた秋頃に、火入れをせずに(冷えたまま)大桶から木樽へおろしてきたお酒。それが『ひやおろし』。落ち着いたまろやかさを感じる、岐阜で育成されたお米『あさひの夢』を全量使用した、味わい深い『御代櫻(みよざくら) 純米原酒』は適度なバランスの酸を感じるお酒です。冷やしてワイングラスでお楽しみ下さい。
また、この季節ならではの『どぶろく』もおすすめ。長野県の『みそのたけ十二六(どぶろく)』は瓶の中で酵母が生きていて品質の変化が早いため、賞味期限が20日間という期限があるお酒ですが、お酒のツブツブ感、発酵したピチピチ感がとても楽しい、非常に甘いお酒です。アルコール度数は6度と軽めなので、日本酒ビギナーの方にもおススメしています」(nominate/大室さん)
女きき酒軍団の入江さんも「ひやおろし」が美味しいという。
「秋の食材にはやや濃醇なタイプのお酒がぴったりです。まずは常温(冷)で楽しんで、そして次にお燗を。大き目のマグにお湯を半分くらい入れて、そこに飲んでいるおちょこを浸けるだけでもできます。お燗にすると急にまろやかさが増して、優しい味わいになるだけでなく、今まで感じなかった旨みも出て、本当に楽しいですよ」(女きき酒軍団/入江さん)
オススメ銘柄は、五橋純米ひやおろし、純米七冠馬ひやおろし、榮川純米酒だそう。
女性のアルコール依存症も増加! 「泥酔」は御法度
1954年に飲酒する人口の13%だった女性の飲酒率は、2008年の調査ではほぼ男女差はなくなり、20代前半では女性が男性よりも上回るという結果が出ている。(参考:e-ヘルスネット)
それに伴って、女性のアルコール依存症も増加しており、80万人いるアルコール依存症の2割が女性といわれている。(参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)。男性よりも血中アルコール濃度が高くなりやすく、乳がんや胎児性アルコール症候群など女性特有の疾患のリスク増加、早期に肝硬変やアルコール依存症になりやすい、という傾向もある。
いくら美味しいお酒に出会っても量はほどほどに。アラサー女子はあくまで「ほろ酔いで色っぽく」を心がけて、お酒を楽しみたいものです。
取材協力:女きき酒軍団/ビール女子/のみねーと/酒女倶楽部『オンナの日本酒――女性のハートが選ぶお勧めの酒』(ドリームシップ)
(編集部)