『あさイチ』(NHK総合)で司会の井ノ原快彦(36)の“セクハラ批判”が話題になっている。
10月15日の放送で、40代以上の女性へのセクハラが増えているというテーマを取り上げた。有働由美子(45)アナウンサーに対して、同僚の男性アナウンサーが「(そのスカーフは)熟女仕様ね。くすんだ顔色も明るく見える」とコメントしたことについて、視聴者から「セクハラではないか」との意見が寄せられたという。有働アナが「気にしていません」と言うと、井ノ原は「この人は強いからいいっていうことじゃない」と有働アナへのセクハラとして批判し、視聴者たちから「よくぞ言ってくれた」と絶賛された。
さて、この井ノ原の“セクハラ批判”に対して「彼もセクハラを受けてきたからでは」という意見がマスコミ関係者から出てきた。そこで男性へのセクハラについて取材してみた。
男性は強いから容姿をからかってもいい?
「井ノ原くんはジャニーズの中では異質の顔立ちです。V6の他のメンバーは、中性的な美少年風だったり大きな目の正統派のアイドル顔だったりと華やか。ですからデビュー当時は井ノ原くんは“ブサイク”と言われていました。『イケメン』という言葉もない時代に、容姿のことを言われ続けた彼はセクハラされる女性の気持ちが分かったのでは」
と話すのは女性週刊誌のベテラン記者。
ジャニーズタレントの容姿への揶揄では、最近、東京スポーツが『破格ギャラなのに・・・SMAP中居がヘアメークから“嫌われる”事情』(2014年10月18日)という記事があった。記事には「中居くんの髪をブローしたとき、たとえ1本でも髪の毛が抜けたらもう大変。その毛をジッと見つめながら、この世の終わりのような表情で『抜けた・・・』ってつぶやくらしい。だからヘアメークも仕事しながら気が気でない。プレッシャーがハンパないから誰も担当したくないんだ」というベテランのヘアメークのコメントが載っている。
「面白い記事でつい笑っちゃいますね。平気で笑う裏には、中居くんほどのスターなら薄毛を揶揄しても傷つかないだろうという先入観があるからです。有働さんへのセクハラと同じ構造です」(女性週刊誌記者)
オバサンは人生経験豊かでたくましいから傷つかない、男性は強いから容姿をからかってもいい。デリカシーのなさは両者とも同じだ。
女性上司からセクハラ被害を受ける20代男性が増加
2012年に厚生労働省に寄せられたセクハラの相談件数は5,838件で、そのうち549件が男性からのものであった。男性へのセクハラの実態はどうなのか。人材コンサルタントの女性は言う。
「男性でセクハラ被害を相談してくるのは圧倒的に20代が多いです。上の世代の男性たちは、女性の同僚からホテルに誘われたら“俺はモテた”と喜んだかもしれませんが、今の20代は不快に感じることも増えているんです」
実際、どんなケースがあるのだろうか。男性へのセクハラについて取材経験のあるノンフィクションライターの杉浦由美子さんは言う。
「20代の男性で、女性の上司や先輩からホテルに誘われた、というケースがいくつもありましたが、男性からすると誘いを断って失礼にならないか、女性に恥をかかせては……と考えてしまうのでややこしくなります。女性側も自分がセクハラの加害者になりえるという意識が薄いように感じますね」
「キス強要」羽生結弦はダメだけど高橋大輔は大人だから?
8月には、橋本聖子参議院議員(50)がフィギュアスケートの高橋大輔(28)にキスした写真が週刊誌に載り、「セクハラ」として批判されたが、橋本自身はセクハラとは捉えてなかったようだ。また、ワイドショーで女性文化人(50)が「羽生結弦(19)くんだったら許さないけど、大ちゃんは大人だから」と“大目にみろ”ともとれるコメントをした。
今年7月に男女雇用均等法が改正され、セクハラには同性に対するものも含まれると明示しているが、女性も自分がセクハラの加害者になる可能性についてしっかりと考える必要がある時代と言えるだろう。
(木原友見)