口腔環境を整えて口臭ケア 第4回

お酒の飲みすぎで口がくさい…歯学博士が教える原因と予防法

お酒の飲みすぎで口がくさい…歯学博士が教える原因と予防法

マスクをする生活が続き、今まで気づかなかった自分の口臭に気づくという声をよく耳にします。そこで、口臭の原因やセルフケア法について、『すべての不調は口から始まる』(集英社新書)という著書が話題で、口腔衛生や口臭に詳しい歯学博士の江上一郎医師に連載でお尋ねしています。これまでの記事は次の回を参考にしてください。

【第1回】口臭の原因はアレだった! 自分で確認する方法は?
【第2回】だ液と緑茶で…口臭の発生源『舌苔』のセルフケア法
【第3回】タマネギ、ニンニク…口臭が発生しやすい食材は?

今回の第4回は、お酒を飲んだ後や翌日にも気になる「酒くさい」口臭について、その原因や予防策を江上医師に聞いてみました。

江上歯科の江上一郎院長

江上歯科の江上一郎院長

アルコールが分解されて発生する有害物質が口臭の原因に

江上医師は「お酒による口臭に悩む人は多い」と言い、まずはお酒が体内でどうなるかについてこう説明をします。

「お酒に含まれるアルコールは、胃や腸で吸収されたあとに肝臓に集まります。そして肝臓でアセトアルデヒドという有害物質に分解されます。このアセトアルデヒドは毒性が強く、残っていると肝臓を傷つけるほどです。これも分解されて無害な酢酸になり、筋肉や心臓などの臓器に移動してさらに分解され、最終的に水と二酸化炭素(炭酸ガス)になって体外に排出されます。ただし、アセトアルデヒドを分解しきれなかった場合は口臭が発生します」

では、大量に飲んだときやお酒が弱い人は、口臭が発生しやすいということでしょうか。

「アセトアルデヒドを分解する機能は体格や体質などによって個人差があり、また、飲む量によってかなり異なります。お酒に弱いということはアセトアルデヒドを分解する酵素が少ないといわれます。

そのため、お酒が弱い人、またお酒を飲む量がその人の分解機能の限界を超えた場合は、分解しきれなかったアセトアルデヒドが血液中に流れていきます。そうすると臭気が発生して、呼気や皮膚(ふ)から流れ出るようになります」

アルコールは水分を蒸発して口内を乾燥させる

「酒くさい」においは、アルコールを分解する過程で発生する有害物質が原因だということです。お酒を飲んだ翌日にもにおいが気になると訴える人もいます。これはなぜなのでしょうか。江上医師はだ液に注目してこう話します。

「前回までの記事で、だ液には消臭作用があると伝えました。アルコールには液体が蒸発して気体になる揮発(きはつ)性があります。体内のアルコールが蒸発する際に、舌の表面や口内の粘膜の水分も蒸発するので口内は乾燥します。また、睡眠中はだ液の分泌量が少ないため、さらに口内が渇いてだ液の消臭作用が働かず、起床時に口臭が強くなるのです。

また、お酒を飲むと、その日の深夜や翌日に口内やのどが渇くことがありますが、それはアセトアルデヒドを分解するために体内の水分が多量に使われているからです。これも口臭の原因となります」

歯周病があるとお酒のにおいはさらに不快に

次に江上医師は、「歯周病がある場合は、とくに不快なにおいがします」と話し、次の説明を続けます。

「歯周病の場合は、歯垢(しこう。デンタルプラーク)で増殖したばい菌が、第1回でお話しした揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)などのガスを発生して口臭を引き起こします。つまり、歯周病がある人がお酒を多量に飲むと、『歯周病・お酒・口臭』の3つがそろい、混じり合って強烈なにおいになります。

さらにアルコールは、歯の根を支える歯槽骨(しそうこつ)に活性酸素を発生させるため、口内を酸性にして歯周病を悪化させます。お酒と歯周病の相性は最悪です」

Halitosis concept of cartoon tooth with bad breath on the green

お酒と同じ量の水を飲む、すきっ腹にお酒を飲まない

では、お酒を飲む際に口臭を予防する方法はあるのでしょうか。江上医師はこうレクチャーします。

「もっとも心がけるべきことは、飲みすぎないことです。お酒を飲んで頭痛や吐き気がするときは、アセトアルデヒドの分解能力が限界を超えているというサインです。

次に、飲酒中の『水分の摂取』がポイントになります。お酒と同じ量の水を飲むことが、お酒による口臭予防の得策となります。

また、空腹時にお酒をがぶがぶと飲まない、何かつまみを食べながら飲むなどもにおいの予防になります。

こうした飲みかたは、二日酔いや、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、腎臓病などの内臓の病気の予防としてもよく言われることです。つまりは、健康に悪影響を及ぼさない飲みかたこそが、口臭をも予防すると言えるわけです」

Для Интернета

聞き手によるまとめ

飲酒の際に、有害物質であるアセトアルデヒドを分解できないと口臭が強くなること、それを防ぐには分解できなくなるまで飲まないこと、だ液の減少を避けるためにお酒と同じ量の水を飲むことなど、健康に配慮した飲みかたこそが口臭予防のコツだということです。「お酒は口臭の元」ということを覚えておき、周囲の人のためにもこれらを心がけ、におわない程度にお酒を楽しみたいものです。

次回・第5回では、空腹時の口臭と即効ケアについてお尋ねします。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)

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